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継ぎ足し増えて遅くなりました。
おはようございます。清々しい朝ですわね。
天蓋付き寝台の中で失礼致します、改めて正式なご挨拶を。
わたくしヴィーことヴィクトーリア・フォン・シュナウザー(16才)昨夜王城の夜会で前世を思い出して倒れ、どなたかに寝込み?を襲われ撃退する為に即オチくん使用しそのまま逃亡した侯爵令嬢ですの。
昨夜鏡を見て衝撃受けました。
身長165cm、腰まであるサラサラストレートの銀髪にアメジストをそのままはめたような紫眼はクールなアーモンドアイ、手足はすらっと長くて腰の位置高く出るところは出てるのにウエスト細っそいモデル並みの8頭身。
前世の地味さとは真逆の美少女で自分で言うのもなんなのですが憧れマーメイドラインのドレスとかパリコレモデル並みに着こなせるなんて素敵ですわ!!!
ガチャ、カチャッ。わたくし専属侍女のハンナは部屋の鍵を持ってるので毎朝起こしに来ます。
シュナウザー家の朝は寝台の上で目覚めの一杯の紅茶から始まりますの。
このアーリーモーニングティーの習慣はブリーデン皇国に留学していた曽祖父が戻ってからだと聞いています。
「ヴィー様おはようございます。」
「おはようハンナ。気持ちよい朝ね。」
「今朝の紅茶はスリーランカ産のファースト・フラッシュです。ヴィー様の好きなミルクティーにしてます」
鼻に抜ける良い香り…春摘みの茶葉とミルクのほんのり甘い香りも良いですが前世の好みだと紅茶はストレートに限ります。
「明日から朝はストレートティーにして貰える?」
「ヴィー様好み変わりましたか?」
「紅茶そのものの香りや味を堪能したいのよ」
「分かりました」
5才からわたくしの傍にいて悩みとか色々相談していて、子供時代にイタズラした時、今でも淑女らしからぬ事をしたら諌めてくれる姉みたいな存在のハンナ(26才)身長167cm淡い茶髪にヘイゼルの瞳。代々シュナウザー家に仕える家系で王立ヴィルム魔法学園にも付いてきて貰いますの。
爵位持ちの子息令嬢は1人侍女付けれますのよ。
彼女の父は領地で執事長をしていて母は侍女長。2才上の兄がいて、彼はアル兄様の専属侍従していますわ。
まだ記憶完全に戻ってないから落ち着いた時に前世の話ししたいですわね。
彼女なら初めは驚くだろうけれど、受け入れてくれる位の器あるし信頼関係もあるつもりです。
前世庶民感覚だと着替えとか貴族令嬢として侍女に色々して貰うの違和感ありまくりで照れてしまうのですが、リゾート地への旅行で受けていた全身エステを思えば慣れですわね。
ハンナはゴットハンドの持ち主で、エステにメイク、ヘアメイクも得意ですし何処からか噂も最速で仕入れてきていて頼りになりますのよ。
話が逸れてしまいました。
紅茶を下げて貰い、まず寝台から降りて動きやすいヨガウェア(わたくしがデザインし作らせた)に着替えます。
毎朝の日課で体幹鍛える為にヨガをしていますの。
わたくしの部屋は本邸2階の庭に面した角部屋で東側と南側の角のテラス部分にミニ温室を作っていてヨガマットをひいてます。
魔道具でヴァリ島の温湿度に設定してるので、カラフルなフランジパニがいつも咲いている状態ですの。
仄かな花の匂いを感じながら朝日を浴びて太陽礼拝から屍のポーズ(名前はアレですけどリラックス出来ますのよ)まで、流れるように1時間たっぷり身体を伸ばし汗をかきます。
終わる頃に合わせて湯をハンナが用意してくれます。
猫脚のバスタブ内に夜は昨夜はバブル(泡)にフランジパニのエッセンシャルオイル入りでしたが朝は温室に落ちていたフランジパニと中庭に咲いている薔薇の花弁浮かべたフラワーバスなのでぬるめの温度にしてくれてます。
ハンナの芸術的なアート作品、綺麗で毎度入るのを躊躇してしまいますわ。
バスローブをはおり化粧水と保湿クリームで整えたあと髪を魔法で乾かし(魔法だと髪を傷めず便利!!)ブラシで梳かして貰ってる間本当に自分なのかしらとハンナが目を離してるすきに鏡越しほっぺた軽く抓ってみたり(地味に痛い)ぼーっと見惚れてましたが、決してナルシストではありませんよ?
朝食用のモスグリーンと白のレースが素敵なワンピースに着替えさせていて頬が赤いのに気がついたハンナ。
「右頬が赤くなってますけど、何かしました!?あぁっ爪痕が!!!ちょっと目を離したら何してるんですか!!それに昨夜から何か今までと雰囲気変わった感じするのですけど。お悩みあるなら言って下さいね」
「ホント隠し事出来ないわね。まだ漠然としていてるの、ちゃんと話せるようになったら聞いてちょうだい」
「分かりましたお待ちしています」
ホントシミ1つなくてすべすべビスクドールのような肌。
日焼け止めクリームと軽くパウダーはたいて赤くなっている部分をカバーし、淡いルージュ塗って貰い髪は編み込みしてお気に入りの金色の薔薇細工のバレッタで留めて仕度終了。
さて、シュナウザー家では朝食と夕食は家族皆で取ると決まっています。
仲の悪い高位貴族の家族だとバラバラの時間に食事取るらしいですが、皆が揃って会話を楽しみながら食事しています。
母上とアル兄様が先に着席していて父上はまだのようですわね。
普段は王立ヴィルム魔法学園寮にいるアル兄様ですが、昨夜わたくしが倒れたのを心配して帰って来てくれてましたの。夜会が遅い時間に終わるので今日は休日ですのよ。
「おはようございます母上、アル兄様」
「おはようヴィー」
朝から眩しい微笑み頂きました。アル兄様が攻略対象者だとしたらヒロイン一発で射抜かれそうです。
「おはよう、昨日は倒れたのに大丈夫なの?」
「えぇ母上、一晩寝たらスッキリですわ」
低血圧で気怠げな母上色っぽいですわ。にこりと微笑んでおきます。父上が来ました。
家長の父上が最後に来て着席したら配膳スタートです。
今日は根菜類のスープにサラダ、今朝はオムレツにソーセージとザワークラウト添えてます。
パンはいわゆるドイツの黒パンに似ていて噛むとハーブの味がじんわり美味しいです。
チーズとハムは、そしてジャム瓶数種類置いています。
最近のお気に入りはローズヒップジャムですの。
飲み物は紅茶とわたくしの好きなマンゴージュースが冷えていて美味しいです。
フルーツは前世でよく食べていた種無しマスカットやマンゴスチンなど取り寄せた旬の物が並びます。
「ヴィー倒れたそうだな。まだ寝てなくて大丈夫なのか?」
「はい父上、あまりに華やかな夜会でしたので当てられたのか
急に目眩がしましたの」
「そうか、昨日の今日だから無理しないように」
「はい、そうしますわ」
よっしゃ昨夜の事はバレてない。と心の中でミニマムなわたくしガッツポーズ!!!これで完結してスッキリしましたわ。…と紅茶を含んだ所で…。
「…だが何やら看過出来ない出来事あったようだなヴィー」
「ゴフッ…ゴホッゴホッ…何の事ですの?」
飲みかけの紅茶にむせながら取り敢えずすっとぼけてみますが、麗しい顔して父親朝から暗黒面怖っ!!!やっぱり見のがし無しですか、まぁアル兄様が父に報告しない訳ないですわね…。ガックリ。
我が家では『見守りくん』と呼ばれている影の部隊を統括しているセバスじいが一度こっそり部屋に帰ってたわたくしを見逃すも訳ないですし。
朝食でする話では無いので、終わってからになりました。
そして現在父の執務室にて正座させられております。
テーブル、椅子に寝台の異世界で日本的正座!!
昨夜寝る前に、この世界と前世の記憶統合してて思い出したのですがこの国では百年に一度魔が強くなる時期に中央神殿にて祈りを捧げる儀式行う為、聖女様が異世界召喚されるのです。
先々代の聖女様が日本人で(異世界転移)色んな文化を持ち込んだとか。
それまで塩と胡椒味位で味気なく悲惨だった食文化に聖女様がもたらした大革命!!!
元の世界に返す方法なく(一方通行とか酷い)帰れないし義務を果して貰う代わりに聖女様の要望に答えた国王陛下がギルドの冒険家に依頼してこれまで無かった醤油や味噌、わさびにマヨネーズの調味料の素材を見つけたり、博識な方だったので日本的な知識や常識?をもたらしてくれました。
便利なアレもコレもこの世界に違和感なく馴染んでいて感謝しますわ。
そんな平和と知識の恩恵の聖女様、異世界あるあるタイミング!?でわたくしが王立ヴィルム魔法学園に入学する前に召喚の儀式が行われるそうです。
ここがラノベや乙女ゲームの世界なら確実にヒロイン様ですよね?
また話が逸れてしまいました。王都にたった一月しか住んでないのに初のお説教タイム始まります。
見下ろされる形からの4人の視線がかなり痛いですわね…。あぁ現実逃避したい。
前世関連のお話はアル兄様にだけ(ここ重要)軽くお話してたのまで報告されてしまい、秘密保持の為にハンナ含めた他の使用人は外して貰い父の執務室もといお説教部屋2に防音魔術かけています。
お説教部屋1は領地ですが、今それはどうでもいいですわ。
ここにいる4人紹介致します。
わたくしから見て真正面にいるのは父、ルドルフ·フォン·シュナウザー(43才)
身長185cm 銀髪ストレートの長い髪を後ろに束ね、アーモンドアイの紫眼はシュナウザー家の特徴ですの。
対人面では柔和な対応、交渉術に長けていて外務大臣をしております。
娘から見ても素敵な「麗しの外務大臣」ですの。
先に言いますがファザコンではないですよ?念の為。
シュナウザー家は代々猫科に似た使い魔で父は紫眼の前世ホワイトライオン似の魔獣で名はレーオンハルト様(♂)専用の絨毯の上に寝そべってる姿がとても優雅で幼い頃からわたくし『レオ様』と呼んでますの。
「昨夜の第1王子昏倒事件、いやアルがもみ消して無かった事になってはいるが犯人ヴィーなのか」
「真っ暗でどなたかすら見えませんでしたの。第1王子様…確かリヴァルド様(17才)ですわね」
即オチくん被害者第1号、次期王太子キター。最悪です。
同右側に母、シャルロッテ·フォン·シュナウザー(37才)
身長168cm 金髪のゆるふわウェーブを結い上げていて、透きとおる湖面のような碧眼は少し猫目でとても綺麗です。わたくし銀髪紫眼アーモンドアイは父に似ていて、顔立ちは国で1、2番を争う母に似ていると言われていますの。
先代国王陛下の王弟殿下(わたくしから見て母方祖父)が臣籍降下され出来た公爵家の令嬢が母で、侯爵家の父と夜会で出会い結婚しました。恋愛が政略と合致し問題なく結婚。
公私はきっちり分けてますが、私に切り替わると人目憚らずイチャイチャしていて羨ましいですわ。
母方公爵家は祖父の兄王に中々嫡子が生まれなかった時から現在も王族扱いのままですの。
祖父の使い魔はレッドドラゴンで幼い頃初めて見た時大きさと力強さに感動しましたわ。
現在公爵家は第1、第2王子の次に王位継承権あり数年前に爵位継いだ母の兄(叔父)使い魔ウォータードラゴン(王位継承権3位)その嫡男(従兄弟)使い魔アイスドラゴン(同4位)。祖父は引退と同時に王位継承権返上しています。
この国では男女関係なく長子より順に王位継承権あるので女子の母もドラゴン加護受けているのですが、嫁ぐ時に王位継承権は返上していますわ。
母の使い魔はホワイトドラゴン、美しい姿から名はローズホワイト(♀)皆からローズ様と呼ばれています。
そのままの大きさだと執務室ミチミチ密度になり窮屈な上、扉も出れないし移動も出来ないので普段は身体小さくミニローズ様になっていて、肩乗りウトウトしています。ピンクのリボンが可愛いですわ。
母は儚げな見かけとは裏腹バリバリ武闘派で令嬢時代に「華麗な戦闘白薔薇姫」なんて二つ名がついていますの。
知性と美ボディーは両立すると称し幼い頃病弱だったのにわたくし色々と鍛えられましたわね。(遠い目)
ローズ様との武勇伝で追加された戦闘(狂)の文字は怒られるので外しておきますわ。
当時12才と10才の子がいる既婚者と知らず、とある国の王子から見初められた逸話をもつ社交界の華ですの。
「襲われそうになったのですから当然の対処では?」
「初めて使った即オチくんバッチリ効きましたわ!!」
にっこりサムズアップします。
そしてやはり執事はセバスティアンですわよねーテンプレ。父の斜め後ろに控えてます。
身長190cm使い魔見た事なし、白髪赤眼で片眼にモノクルしています。
略してセバスじいは代々侯爵家の影といわれる見守りくん部隊(ほんわか名称ですが実情かなり怖い)出身で名前と見た目以外が一切謎なじいですの。
噂では父が生まれる前から同じ外見だとか。
いつ聞いても年齢が同じとか永遠の中二病ですの!?
「……」
…と考えてたら目線合い、ニコリと微笑まれたのですが何故か震えが。心の声聞こえてますの?
同左側にアル兄様ことアルベルト·フォン·シュナウザー(17才)前世の事も信頼して話して、秘密にとお願いしてたのに全てばらされたのでブラコンは今日限り卒業させていただきますわ。
身長187cm 若かりし父とそっくりな銀髪紫眼ですが唯一母からゆるふわの髪型を受け継いでいてます。
父を支える為に早くから王都に出ていて、現在第1王子殿下付きの補佐をしています。
妹から見ても成績優秀で容姿も良く、超優良物件と噂の第1王子と2分する人気なのだとか。
物腰柔らかで見かけ完璧ですが、お腹真っ黒どころか暗黒面なので令嬢の皆様方騙されてますよ?
未来の姉様になられる方は二面性にさぞかし驚くでしょう。
アル兄様の使い魔は前世で激レアと言われていた白ピューマに似ていますがこの世界でも希少魔獣で名はフリード(♂)その美しさ半端なくずっと触っていたい毛並みですの。
隠匿魔法が得意な種族で情報収集の為よく出掛けてるようです。(忍獣かっ!?)
「ええ父上、頭痛いですけどそうです。ヴィーの様子見に来た私と付いてきた護衛が第1発見者で。
扉開けて漂ってた匂いで例のアレ使ったんだなと気付いたので、覚醒くん飲ませました」
「…わたくし正当防衛だと思いますの」
兄に予備まで渡してたとは、わたくしだけでは不安だった??
セバスじいはたまに未来予知が出来るそうで、何処から撃退くん&覚醒くん入手したのか気になります。
流石に意識不明で発見されるとすわ暗殺か!?の騒ぎになるのでナイスフォローですわアル兄様!!
目覚めた殿下は記憶が曖昧で、居合わせた護衛は扉前で待機させてたので何も見てないものね?って目力強めた黒い微笑みで口封じと上手く誤魔化してくれて助かりました。
第1王子昏倒(すわ暗殺)事件!は無かった事になりました。 (モミケシセイコウバンザイ)
「そうだ意識戻る前に殿下が俺の唯一…とか言ってたけど、まさかお前…!?」
「確かにそう言ってましたが、何か問題でも?」
「まさか、そうなのか!?」
父が食い気味に聞いてきます。
「あらあらまぁまぁ…そうなのヴィーちゃん!!!」
母が頬染めてます。ミニローズ様の白い頬が仄かピンク色になってて可愛いですわ。
「ゴホン‼詳しく聞こう。あちらの席に着きなさい」
すくっと立ち席に着きます。何気に全く足が痺れてないのは正座に慣れてますのね…くっ。
我が家恒例!?尋問タイム始まり、アル兄様に話してなかった部分は誤魔化そうと努力したのも虚しく洗いざらい全て吐かされました。セバスじいの眼光怖くて隠し事出来ませんの。
肩に乗ってるミニレンも一緒にカタカタ震えますわ。
「ヴィーこの振動気持ち良いにゃー」
「そう…良かったわね」
「私の大切なヴィーを暗闇でいきなり襲うとか殿下めどう報復してくれよう…」
父上ブツブツ五月蝿いです。
後日、げっそりやつれた殿下情報を兄様がこっそり教えてくれました。
父上、どんな報復しましたの?気になりますわ。
ありがとうございます。