悪役令嬢観察日誌、今日も悪役令嬢のお嬢様はヒロインをいじめる日常です。あ、私はただのお嬢様に仕えるメイドでございます。
「あらあら、そんなところにぼやっと立たれているからですわぁ」
今日もうちのお嬢様は絶好調でございます。私はああやってしまったと思いながら、お嬢様の
上から目線発言と高慢と言われるあのお嬢様笑いを聞きます。
「おーほほほほほほ、あなたみたいな庶民がいていいところではありませんのよ、出ておいきなさい!」
取り巻きに囲まれたお嬢様が宣言すると、そうよそうよと取り巻きお嬢様たちが追随します。
お願いだからこの日常もうやめたいです。
私は何とか冷静になろうとします。しかしこの前、この足を引っかけられて転ばれたお嬢様、元庶民のマリア様が王太子殿下と中庭で逢瀬とやらをされているのをみたので気が気ではありません。
王太子殿下の婚約者はこの侯爵令嬢、リリーローゼ様であり、マリア様じゃないのです。
ああ、どうしましょうどうしましょう。
「うう、ひどいです。リリーローゼ様、私は」
「庶民は庶民ですわ、カフェテリアは貴族のみが使えますの」
ああ、はい、でもマリア様は男爵令嬢です。つい最近、男爵が見つけだしたという昔誘拐されて、下町に捨てられたというご令嬢なのですわ。
ええ、証拠もありますのに。
「お嬢様、そろそろ次の講義のお時間です……」
「あら、もうそんな時間、皆さんそろそろまいりましょう」
「はい、リリーローゼ様」
ああ、腰ぎんちゃく達が頷き、ふんと鼻を鳴らすお嬢様の後をついていきます。
でもああ、下手をしたら私の雇用がこれは危ないかもしれません。
だって、庶民庶民とずっとマリア様をお嬢様はいじめています。マリア様は王太子殿下の想い人、なら婚約破棄されて、いじめた罪によりお嬢様は断罪され……下手をしたら私も辺境に……。
それは阻止しないと! 私はどうやって阻止しようか、このときから計画を練り始めたのです。
まず観察、そこから始めました。マリア様は少しどんくさいというか、下町に最近までいたので礼儀を知らない、そしてお嬢様は高慢ちき……失礼、高飛車、ああまあ……。
うーん、あまり人に対して親切ではないです。
私はこのいじめる構図を何とかしないとと考えました。
仕方ないので、私は館に手紙をしたため、メイド長にこの現状を伝えました。
これを憂いたメイド長が、執事に伝え、執事経由で旦那様に伝わり……。
長々とした手紙がお嬢様のもとにやってきて、この時からお嬢様は少しおとなしくなられたのです。
上に立つものは下にのものの模範とならなければならない、というような内容がびっしりと書かれていたらしいです。なんでしたかオブリージュ?でしたか。
さすがにお父様から叱られ、お嬢様も反省……されたのですかね。
マリア様を表立っていじめることもなく……ですが、まあ使用人には変わらずでした。
それでもまあいいんです。御幼少から見てきましたから、私からしたらまだお小さいお嬢様の記憶があり、かわいいものでしたわ。
しかし、いじめたという事実は変わらず……ここからなんというか王太子殿下に好かれるようにしないと、下手をしたらこんやくは……ああ雇用が!
私は仕方なく今度は直接、奥様に手紙を書くことにしました。私はもともと奥様付きでありまして、奥様の乳母の娘でした。なのですが、お嬢様についてここにくることになったのですはあ。
「……はあ」
今度は長々とした奥様のお手紙がお嬢様に届き、お嬢様は王太子殿下にたいしての過剰アピールをやめたのです。追っかけられなくなるとなぜか気になったのか、王太子殿下がお嬢様に会いに来られる回数が増えましたわ。
おとなしくなったお嬢様が割と新鮮なのか、今までとは違う反応を示すようになったようです。
今度はマリア様がなぜか焦った様子になったようです。私はマリア様の侍女と仲良くなり情報を聞き出しましたところ、なぜか王太子殿下にアピールをするようになり、それが嫌になったのか、殿下からの連絡とやらがなくなったみたいです。やれやれ。
ああ、卒業パーティーです。
「私はここに婚約……」
破棄、破棄はやめてください! と私が会場の片隅で焦っていると……。
「ここに婚約者のリリーローゼとの婚姻式が来年に決まったことをここに宣言する!」
ああ、焦りましたわ、王太子殿下の横にはにこにこ顔のお嬢様、あ、なぜか片隅で悔しそうな顔をしたマリア様がいます。
雇用が、雇用が……何とか守られそうです。
しかし、婚約破棄まで考えたとかなんとか中庭で言っていた時には焦りましたが、やっとなんとか修正できました。
もうこんな苦労はごめんです……。でも私はお嬢様について王宮にいくらしいです。はあ、ため息きかありません。
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