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第4話 レオニスの過去と姉の愛

魔人化お姉さんの瞳の色変えました。赤→黄金

「え?」


 突然の俺の告白にアリアが口を半開きにして硬直した。普通ならお間抜けな表情の筈なのに此処までの美人だとこんな表情でも華がある。美人補正値高過ぎだろ!?・・・などとどうでもいい事を俺は考えていた。


「だから俺はあんたの裸見てもムラムラしたりしない、というか出来ないの!・・・まあ、心因性のもので原因も検討ついてるんだけどね」


「!!そうですか。・・・・・・宜しければ教えて頂けませんか?心因性という事は、一種のトラウマなのでしょうから、私も何か治療のお役に立てるかもしれませんし。・・・それに、こういう言い方は卑怯なんでしょうけど、つい先程、私自身の恥部をお話しましたし」


 そう来たか!・・・確かに俺は彼女自身の思い出したくも無いであろう話を聞いてしまったが・・・。しかしあれは、・・・いや、言えんな。勝手に話したんじゃん!とはとても言えない。


 なんてこった。空から美女が降って来たと思えば、急遽暴露大会になってしまった。しかもガチのトラウマ暴露とか、救いが無さ過ぎる!勇者と剣聖については後で半殺し確定として、今は話すしかないかぁ。


「分かった。あんたの言う通りだ。俺だけが聞きっぱなしなのは不公平だろうし、話すよ。でも、長い話になるぞ。・・・更に言うとオチは最悪だから覚悟しとけよ?」


 と、一応の脅しを付けてから俺は当時を思い出すべく眼を閉じて語り出した。


「俺には二つ上の姉がいたんだ。俺が言うのもあれだけど綺麗な人だった。俺と同じ黒眼黒髪で。両親は5年前に流行り病で無くなっててさ。丁度、姉さんが成人の儀を受けた年だったんだけど、姉さんは『無能者』でさ。職に就くのも苦労したんだけど、なんとか町医者のご厚意で看護手伝いとして雇ってもらえたんだ。そう、俺は『ご厚意』だとずっと思ってた。・・・でも、違った。・・・あの医者は、あの糞野郎は、姉さんの身体目当てで仕事を宛がったんだ! 連日、糞野郎に好きにされながら姉さんは俺には何も言わず、辛くなる度に『精神制御マインドセット術式』で誤魔化してたんだ。・・・バカな俺はそんな事全然気付けなかったよ。


 それから2年経って、今度は俺が成人の儀を受けた。俺は少しでもマシな、仕事につけそうな職業スキルを望んだ。でも、俺も『無能者』だったんだ。俺は姉さんに泣いて謝ったよ、情けなくてさ。でも姉さんは「わたしに任せなさい!」って笑ってた。

 でも、俺も成人した訳だし何か稼ぎを入れたいって思って、俺は自分を売る事にした。所謂男娼紛いの事をするようになった。自分で言うのもなんだがそこそこ顔も良かったからか、割といい客取れたんだよ。主に狙ってたのは討伐帰りの女討伐者で、そういう女は昂ってる事が多いから結構良い金になった。俺は俺で多少年は食ってても良い女を抱けるんで案外こういうのもいいかなんて思ってたよ。

・・・ホントバカだったよ。姉さんがどんな思いで俺を食わしてくれてるのか知りもしないでさ。


 まあ、同じ家で暮らす姉弟だ。姉さんも俺が何をやって金稼ぎしてるか気付いてさ。滅茶苦茶怒られたし、思いっきり叩かれて怒鳴られた。「二度とやらないで!お金は自分が稼ぐから」ってな。で、姉さんは町医者に給料のアップをお願いしたらしい。・・・その代償が街の人間10人による輪姦だった。精神制御術で無理やり抑え込んでいた心がとうとう限界を迎えて、姉さんは壊れてしまった。」


 できるだけ端折ろうとしたがやっぱり長くなってしまったので、一旦区切りを入れることにした。

 で、アリアの方をふと見遣ると、なんと滝の様に号泣する彼女の顔があった。

 えぇ~!?そこまで泣くか!?自身と重なる部分でもあったか?でも、キツイのはこの後なんだけど。


「ううううううううううぅぅ~。ご、ごめんなさい。なんか涙が止まらなくなっちゃって・・・」


「だ、大丈夫か?・・・もう聞くのやめとくか?正直この後の方がキツイぞ?」


 号泣しっぱなしのアリアにハンカチを渡してやった。彼女はすかさず鼻をかみやがった。マジか、それ新しく買ったばかりなのに・・・。


「いエ!ゴゴまで聞いたガラには最後までギギまス。・・・ハンカチは後で洗ってかえしまフ。」


 鼻が詰まってるのか、ぐずついた声でアリアが答えて来た。ホントに大丈夫か?と思いつつも俺は続きを話す事にした。


「ええと、どこまで話したか・・・。あぁ、姉さんの心が壊れてしまった所からか。


 心を壊した姉さんは、街の広場で奇声を上げたんだ。人が上げられない様な大きな声で、それでも姉さんだって気付いた俺は広場まで全速で向かった。・・・そこには丸裸で狂った様に声を上げ続ける変わり果てた姉さんがいたんだ。俺は何が起こってるのかさっぱりだったが兎に角姉さんの元に向かった。


 俺に気付いた姉さんはこう言った。「ごめんね。ごめんね。・・・お姉ちゃん頑張ったんだけど、もう無理みたい・・・。」ってな。その後すぐに右手に持ってたナイフを胸に突き刺した。「スキル解放、魔人転生デモニアック・リンカネーション!」ってスキルを解放しながら。俺は見てるだけしか出来なかった。 


 そこからの変化は劇的だったよ。一瞬だけ姉さんを黒い光が包んで光が止んだら姉さんの姿が変わっていた。黒髪は赤髪に、黒い瞳は黄金に輝く眼に、肌は褐色、おまけに背中には真っ黒な羽まで生えてた。

 そして言った。「これが私の固有スキルの力・・・こんなに素晴らしい力!―――ハハハハッ!!こんな事ならもっと早くに使えば良かった!もうわたしを縛るものは何も無い――――!!!!!」って。その直後に街中から炎が噴き出した。噴出した炎はあっという間に街の人を一人残らず焼き殺した、俺以外の全員を!幼子も老人も皆!・・・俺は何が何だか分かんなくなって姉さんの目の前で茫然とするしかなかった。


 それから姉さんは俺の前まで来て、俺を押し倒した。で、魔法かなんかであっという間に素っ裸にされて、・・・。今まで感じた事も無い凄い快感だった。行為の間、俺はぼんやり姉さんの話を聞くだけだった。・・・さっきまで話した内容もこの時聞いた事なんだ。俺は何も知らなかったから。俺に苦労させない為に身売り同然で町医者に従ったのも、10人もの男に輪姦まわされたのも!全部、全部、俺の為だった!


 なんでそこまでって思うよな?・・・姉さんは男として俺を愛してしまったって言ったよ。だから俺が男娼紛いの事をやってるのが嫌で、更に金を稼ぐ為に多くの男に抱かれて。でも、姉さんはそれでも良かったって言ったんだ。男達の一人が昔姉さんが振った男で、姉さんがやっている事を俺にばらすって言われて、それで心が壊れてしまったって。街を燃やしたのも俺と姉さんの事を知る者を無くす為だったって。・・・そして最後に「ごめんね」って言って何処かに行ってしまった。


 俺は後悔したよ。だって全部俺のせいだ。俺が姉さんの事に気付いてやれればあんな事にはならなかった。俺が軽い気持ちで男娼みたいな真似をしなければ!姉さんは必死で俺を守ろうとしたのに、俺自身が勝手に汚れる真似をして!・・・姉さんを壊したのは俺だ。俺なんだ。俺が何も知らない馬鹿だったから!」

 

 突然抱き締められた。その抱擁はすごく温かくて力強くて・・・そしてこう言った。


「貴方が悪いんじゃない!!貴方は唯、お姉さんの役に立とうとしただけです!確かに不幸な行き違いはあったのでしょうが、それでも決して貴方の罪ではありません!・・・だからどうかそんなに泣かないでください。」


「だけど!姉さんは心を壊れて、魔人になって人を殺したんだ!何百人も!!街も真っ赤に燃えて…!」


「それでも決して貴方のせいではありません!・・・もし貴方に罪があるというならそれは、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()、その事だけです!」


「――――!!!、どういう意味だよ!!?俺が姉さんに向き合ってないって言ったのか!!!!?」


 俺はアリアの言葉にカッとなって彼女を引き剥がして怒鳴りつけた。俺と姉さんの事をロクに知らない女になんでそんな事を言われなきゃいけない!?俺はぶん殴りたくなる衝動をなんとか抑えて彼女を睨みつけた。


「そうです!! 貴方はお姉さんの本当の想いに向き合えていない!気付いていない!・・・・・貴方はお姉さんが今の貴方の様に苦しむ事を願ったとでもいうのですか?確かに、私は貴方の話を聞いただけでお姉さん本人の事は知りません。でも、それでも貴方への深い愛情が伝わってきました。そんな方が今の苦しむ貴方を見たいと思うはずがありません。・・・それに何故貴方は此処にいると思っているのですか?」


「・・・どういう意味だ?・・・そんなの姉さんが俺に愛想を尽かして―――」


「そんな訳ないでしょう!!!! 貴方の為に決まっているじゃないですか!!!・・・禁忌を犯してまで結ばれる事を望んだ人が、どうして別れる選択をしたのか?そんなの一つしかない。貴方を傷つけてしまったからです。それを知ってしまったから、自分が縛ってしまえばもっと傷つける事が分かったから、貴方と別れる選択が出来たんです!だって、お姉さんの愛は貴方だけに向いているから、愛してるからこそ貴方から離れたんです!


 私は男女の愛を経験した事はありませんが、愛って感情は見返りを求めないものだと考えています。家族愛だってそうです。唯々深く相手の事を想う、それが愛だと思うんです。・・・だから、最後の言葉が「ごめんね」だったのでは無いですか? 自分が求めてしまった結果、貴方を傷つけてしまったから。

 私はそう感じましたし、そうであると確信しています。・・・そして、お姉さんの深い愛に感動しています。」


 そう一息に語ったアリアはずっと涙を流し続けながら俺を真っ直ぐな瞳で見つめている。

 俺は・・・そんな彼女の言葉に圧倒されていた。



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