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第35話 地下神殿攻略③

 『門番』を下して、地下神殿内部に入った俺達は、今の所順調に進行している。だが、魔獣やら機獣の類が出て来ないから、ではない。出て来る端から殲滅されているからだ。うちの女性陣に。


「ハァーーーーー!!!!」


 とミリアナが大剣型の魔剣グラムを振り下ろせば、狼型機獣は纏めて数体が真っ二つになるし、


「『暗黒雷網陣ダークスパークネット』!!」


 とアリアが一言技名発声すれば、網状に広がった雷撃が周囲の猿の魔獣達を焼き尽くし、


「フフッ、私の負けてられんな! それにしても魔人化による強化は凄いな!力が漲るようだ!」


 リリーナさんは流石、元一級『勇者』、今では『聖魔勇者』となった彼女は聖剣から何故か『聖魔剣』と化したデュランダルに黒雷を纏わせて周囲の敵をどんどん切り裂いていき、


「長年引退してたからこれはリハビリに丁度いいわね!」


 リラさんは再生した右脚の調子を確かめる様に高速で移動しながら弓で魔導矢を連射して魔獣も機獣も穿って始末していく。



 で、俺はいうと隣にいる新米聖女のマリオンちゃんの護衛という名の控え要員状態だ。つまりマリオンちゃんと喋っているだけだったりする。さぼっている訳では無いのだ。これはアリアが「レオさんは無理をし過ぎたのでしばらく休んでいて下さい!」を強く言うから仕方無しにそうしているのだ。


「でもお兄さんは少し休んだ方がいいとわたしも思うよ?回復術式は回復対象者の魂魄力オドを引き出して治療するものだから、あれだけ大怪我したお兄さんの魂魄力はかなり減ってる筈だしね。それに位階だって一気に二つも上がったんだから少しくらいゆっくりしても良いでしょ?」


 そう、先程の『門番』との一騎打ちの死闘で俺の『魂の位階』は二つも上がっていた。普通はこんな事はあり得ないのだが、仮にも脅威度:超級の敵を単独撃破した事と、苦戦しなかったものの魔王を単独討伐したのが利いているのでは?と皆は言っている。まあ、これでミリアナと同じLv.7になった訳だ。でもアリアのLv.8にはまだ及ばないし、リラさんのLv.10とか到達できるのかも不明なのだが。

 しかし、回復術士のアリアがなんでLv.8とか高レベルなのか、今の戦闘を見ていると分かる気がする。彼女は非常に珍しい万能型オールラウンダータイプの戦士だ。魔導術を巧みに操るし、近接戦闘も並みの前衛職を凌ぐ程であり、且つ回復術士としては世界最高峰と来ている。更に彼女の魔力マナ量は極めで膨大らしく、攻撃術式と回復術式を惜しみなく使い熟している。更に彼女は体術も優れているから、近接戦で錫杖や手足で攻撃を加えながら、ごく自然に攻撃術式を組み込んでくるので、敵からしたら悪夢だろう。・・・俺は彼女を守りたいと思って魔人化したのだが、もっと頑張らないといけないよな。我が妻ながら強くて綺麗で可愛いとか無敵過ぎる!


「ウフフッ、そんなに褒められたら恥ずかしいです!」


 ・・・しかも俺の心の声まで彼女には筒抜けらしい。ホントどうなってんだ?

 まあ、アリアの話を出したのは、なんというか『後衛職』ってなんだっけ?とふと疑問に思ったのだ。だって、アリアはどんどん前に出て戦いながら周囲の回復まで熟すし、弓聖のリラさんも弓使いだけどガンガン動いて敵を狩るスタイルなのだ。しかも精霊契約もしているから精霊魔法も使えるし。まあ、パーティ全員が『聖職』持ちなんだから当然なのかもしれんが、凄い豪華パーティだと思う。それなのに今回は殆ど俺の個人的な目的に付き合ってもらっているのでちょっと申し訳ない気持ちになってくる。


「何いってるんですか! お兄さんだからこの面子が集まったんですよ!それに皆も承諾した上での事なんですから全然問題ないです!」


 そうか、そうだよな! それに魔人化に関してはメンバー共通の問題なんだしな。


「そうですよ! そんな事よりみんなが張り切り過ぎてわたしが何も出来て無い方が問題だよ!」


「まあ、そうだよな。・・・もうすぐお昼だから昼飯食べたら少し戦闘を経験させてもらうって事で良いんじゃないか?皆、魔人化してから大した戦闘を熟してなかったから感触を確かめたいんだろうけど、半日も暴れればとりあえず満足すると思うんだよ。」


 そう、うちの女性陣はかれこれ数時間もこんな感じで暴れているのだ。『神殿』の広さは不明だが、相当なハイペースで攻略が進んでいるのは間違いないと思う。いやぁ、順調順調!




 それからしばらくして周囲の敵を一掃した俺達は、敵が沸かなそうな小部屋を見つけたので、そこで昼食を取る事にした。

 BOX内には大量の食糧やら調理器具やらが収納されているので、料理上手のアリアとミリアナが準備をしてくれていた。


「でも、アリアレーゼ様の戦い、初めて見ましたけど、なんていうか、回復術士ってなんだろう?って思わされるくらい衝撃的でした!常に攻撃に参加して、しかも近接職顔負けの前衛での振る舞い!なんていうか痛快でしたね!!」


「ああ、ホントにな。前衛職がアレを見たら大半が自信喪失するだろう。もうアリア一人で良いんじゃないかって思われかねないな。」


「そんな事は!・・・あったかもしれませんね。実際、勇者パーティに加わるまで、ほとんどソロで迷宮とか遺跡巡りしていました。何故誰も私とパーティを組んでくれないのか不思議だったのですが、そういう事だったのでしょうか?」


 そういって、アリアは元気なく俯いてしまった。


 いかん!アリアが落ち込んでしまった。今のは俺の失言だった。唯、器用貧乏になりがちな万能型であれだけの活躍ができる事に驚愕しただけなのだが。俺自身はアリアとずっと一緒にいるつもりだし、アリアがどうして近接戦が出来る様に鍛え上げたのかは何となく分かっているんだ。


 回復術士はパーティの要だ。魔導士が居ないパーティでも成立はするが、回復術士不在のパーティは無理だ。最前線は当然として、長期の討伐クエストも満足に熟せないだろう。だからパーティに回復術士は必須。それ故に敵が最初に狙いのも回復術士だ。実際、一時期は戦場で回復術士の犠牲者が絶えない時期があったらしい。元々回復術士は攻撃手段がほとんど無い職業なので、魂の位階を上げるのが非常に難しいし、狙われた際には防御術式頼みに成りがちだったから。


 そういった過去の反省から、現在では回復術士も魔導士同様に攻撃術式を習得する事が推奨されている。本人達の負担は増えるが自衛手段が必要と判断されたからだ。アリアの戦闘スタイルはその辺を究極まで詰めたものなのだろう。従来不得手とされていた近接戦も熟せれば殺されるリスクは激減するし、意外性から相手の隙を突きやすいし。


「その通りです!流石はレオさん! 私の事を本当に理解してくれてますね!」


 先程とは一転して、大輪の華のような笑顔を俺に向けてくるアリア。・・・やっぱり可愛いな。


「ハイハイ、ごちそーさんですー。 それにミリアナ様、リリーナ様、それにリラ様も凄かったですよね!バンバン敵が倒されてくから、此処の敵が弱すぎなのかって思っちゃいます。でも雑魚でも脅威度:Aランク相当ですから、寧ろ強い敵の筈なんですけどね!」


 そうなのだ。此処の敵は決して弱くは無いし数も多いから本来なら苦戦必至なのだが、如何せん彼女達が優秀過ぎる為に弱く感じてしまうだけなのだ。


『全くレオ坊は幸せもんじゃのう。こんな強者で美人ばかりとパーティ組めるとは。他のパーティからやっかみで刺されるんじゃないかの?』


 本当にあり得そうで嫌だな。しかもメンバーの大半と俺が肉体関係あるとか知られたら本当に刺されるかもしれん。


「大丈夫ですよ。そんな輩は私が消し炭にしてあげますから。」


 満面の笑顔で言うアリア。それはそれで全然安心できない! 消し炭はやり過ぎじゃないか!?


「そんな事は無いぞ、レオ様! かような下衆な輩にはきつい仕置きが必要であろう!」


 リリーナさんまで乗っかってくるし・・・。まあ、本当に刺されない様に最低限の警戒はしていこう。

 ちなみに、料理当番のアリアが普通に会話に入ってきてるのは、今メインで料理をしているのがミリアナだから。『魔剣聖』というゴリゴリの戦闘職な彼女はアリアと料理がとても上手だ。アリアと比しても遜色ないくらい。前のパーティでも二人がメインで食事担当をしていたとかで、仲直りしてからは、前以上にお互いの料理の腕を高めるべく二人で研究、相談を重ねている。


 逆にリラさんとリリーナさんは料理は不得手というか、全くやらないとの事。公女のリリーナさんはともかく、リラさんは娘さんがいたくらいだからどうなのかと聞いたら、旦那さんがその辺達者だったそうで、センスの無い彼女はもっぱら食べる係だったとか。

 


 出来上がった昼飯の数々をワイワイ言いながら美味しく頂いた俺達は、神殿の最奥目指して探索を続行することにした。





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