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第33話 地下神殿攻略①

 大聖母様との面会後、その日は休息と探索の準備に宛てる事にして、翌日から『地下神殿』の攻略を始める事になった。で、今は教会地下にある広大な地下洞窟を抜けて、『地下神殿』の入り口前に来ている。神殿は大理石で全体が建造されており、白く美しい様相なのだが、本当に神殿なのか?と思う程、気配が禍々しい。どういう訳か霊素が大分澱んでいるみたいだ。霊素の澱みが強い場所には決まって強力な魔獣が生息しているので注意が必要だ。加えて、神殿を警護する『守護機獣ガーディアンゴーレム』まで多数出るらしい。


 最も、今問題なのは神殿内の魔獣では無く、神殿入り口を警護している『守護機獣』だろう。

 その機獣は、なんというか金属で出来た竜の形状をしている。『ドレイク』とは真龍族が魂の劣化によって堕ちる『堕龍ロストドラゴン』とは全く由来が異なる、トカゲなどの爬虫類が魔獣化したものと言われている。とはいえ、元トカゲと侮る事は出来ない。魔獣化した際に、そのサイズは全長20m越えもザラで、炎や冷気、あるいは溶解液を吐きつける『ブレス』も使うし、非常に凶暴なのだ。『堕龍』と違い、魔法や多重結界による防御は無いので、そこは救いなのだが。


 で、今の障害はその竜を模した機獣ゴーレムであり、やはり全長20mを超える怪獣サイズと如何にも硬そうな金属で全身を覆われており、如何にも防御力が高そうなのだ。とはいえ、門番如き圧倒できない様では先には進めまい、と、いうことで一度俺一人で相手をすると申し出たのだが、


「いけません! 私達はあの機獣の情報もロクに持ち合わせていないのですよ!?しかも鑑定した結果、脅威度はSS級でした。しかもレオさんは『アモン』を封印された状態です。一人で相手取るなんで無謀過ぎます!」


 と、予想通りにアリアが反対する一方で、ヴォル婆が反論する。


『レオ坊がやると言ってるのじゃ。やらせてみればよかろう? 駄目そうなら、それから総出で倒せばいいじゃろうに。それにアリア嬢ちゃんなら即死しても蘇生できるじゃろ?』


「そういう問題ではありません!治るといっても痛みを感じるのには変わりありません。戦力不足下ならともかく、ここで無理をする理由はありません!」


 

 いや、無理をする理由ならあるんだよ。俺は死闘を繰り返さないといけないからな。だから、超級の機獣とか追い込むのに丁度いいと思うんだ。下手を打つと死ぬのだが、そうしないと位階を上げられないんじゃ腹を括るしかないだろう。


「ねえ、アリア。一度レオの望むようにやらせてあげてもいいんじゃないかな? 脅威度:SSの敵なんて早々探せないし、これを単独で撃破できれば位階は上がると思うんだ。それにレオは『アモン』が無くても強いし、もっともっと強くなる。実際切り結んだから分かるんだ。・・・あたしはレオを信じるよ。」


「ミリアナ・・・。そうですね。確かにレオさんとしてはチャンスかも知れません。ですが、本当に不味いと思ったら私は止めても介入しますよ?」


「ありがとな、ミリアナ。・・・アリア。心配かけて悪いけど、まあ、見ててくれよ。」



 それだけ言って、俺は、竜型の守護機獣の方へ向かった。



 さて、これから守護機獣とタイマンを張る訳だが、神殿の前のエリアは、実は滅茶苦茶広大だ。少なくとも1km四方の空間がある。高さも洞窟なのか?と思う程高い。・・・まあ、巨大な守護機獣でも存分に暴れられるってことだ。で、守護機獣はその広大な広場の中心に座している。遮蔽物もなにも無い空間であんなデカいのとやり合うのは本来悪手だが、自分を追い込むのが目的でもあるので、いっちょやってやりますか!


「『身体強化』、更に、『限界機動リミットアクセル』!」


 俺は汎用スキルの『身体強化』と固有スキルの『限界機動』を二重掛けを行った。実はこの二つは互いに干渉する事無く重ね掛けが出来るのだ。ちなみに何故か魔導術の『身体強化術式』とスキル『身体強化』の重ね掛けは出来ない。何でだろう?


 そうそう、ちなみに今日の俺の防具だが、結構凄いものをつけている。と、いうのもヴォル婆が、『アモンを封じた事で、お主の防御力は紙同然じゃからの。特別にわしの秘蔵品を上げよう』といって、ポンとくれたのが何と『神鋼オリハルコン』製の軽鎧だったのだ。胸部などの重要箇所のみを保護する部分鎧ながら、オリハルコン自体が対魔導防御に優れているので、非常に心強い。オリハルコンは元々輝く様な白銀色なのだが、『お主には黒のほうがいいじゃろう』とどうやったのか不明だが、俺の鎧は漆黒色になっている。・・・別に黒に拘りはないから元の色で良かったのに、とは口にはしなかったが。


 そういう訳で、戦闘開始だ。強化を終えた俺は、全速力で竜型機獣に突貫を仕掛ける。


『ギュオオオオオオオオオォォオオオオーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!』


 俺の接近に気付いた竜型機獣が咆哮と共に、口から特大のファイヤブレスを放ってきた。・・・まあ、そんな直線の攻撃を素直に受ける必要は無いので、俺は更に加速して()()に回避する。ブレスは距離が離れるほど広く拡散するので、前方に回避するほうが容易なのだ。当然スピードが必要だが。地面を滑る様に身を低くしながらブレスを回避しながら、そのままの勢いで竜型機獣の横っ腹に『神断の大太刀』で切裂いてやった。金属質の機獣の装甲だが、あっけなく切り裂ける。相変わらす切れ味抜群である。

 そのまま勢いを殺さずに、今度は長い尾の付け根に刃を走らせる。こちらもあっけなく切断できた。そのまま、今度はその長い頸を切ってやろうと脚を踏み出す寸前に、嫌な気配を察知した俺は、反射的に後ろを振り返りながら大太刀を上下逆に構えた。と、次の瞬間凄まじい衝撃が大太刀に加わって、俺は数十メートルも吹き飛ばされてしまった。―――何故!?さっき尾は切断して無力化したはずなのに!!?


 吹き飛ばされつつも体勢を整えて着地した俺が見たのは、先程斬撃を見舞った箇所が物凄い勢いで修復されてる様だった。


「チッ、『超速再生』持ちかよ!」


 『超速再生』、そのままの意味だが、恐ろしく速い再生能力の事で、稀に魔獣が固有スキルとして持っていると聞いた事がある。しかしまさか機獣ゴーレムが持っているとは。唯でさえ固くて攻撃が通らないのに超速再生もあるとか反則級である。・・・俺の場合は攻撃自体は通せるが、即座に再生されるなら状況はさほど変わらない。・・・機獣ゴーレムの弱点は、身体の何処かにある『核石コアストーン』を砕く事なのだが、あの巨体で再生持ちだとどうしたものか。


 俺がちょっと攻め口を悩んでいる間に、竜型機獣がその巨体にそぐわぬ速度で俺に詰め寄り、そのデカい前足を振り下ろして来た。それを躱すと、今度は牙を突き立てようと噛みついて来る。更にそれをランダムに組み合わせて高速で繰り出して来た。


「おお!?回転上げてきたなぁ!・・・しっかしまだ『限界機動リミットアクセル』が使い熟せてないな。まだ動きにズレがあるか・・・。」


 などとボヤキながらも時に回避、時に大太刀で弾きながら竜型機獣の猛攻を凌ぎながらも、どうやって討伐するかを考えていた。 すると機獣の方が業を煮やしたのか、背中の装甲板がスライドして多数の副腕が飛び出して来た! 副腕の先端には球状の水晶のようなものが付いており、各々が光を放ち始めている。・・・非常に嫌な予感がするな。


 ヒュン! と寧ろ軽い音だけを立てて多数の水晶から光弾が連続して放たれる。―――これは不味い!地上にいたら回避出来ない!・・・じゃあ空に逃げるか、という事で魔人化してから密かに訓練していた技を披露することにした。


「先ずは上に躱す!」


 俺は光弾の弾幕を回避する為、一気に上空に飛び出した。そのままでは落下するだけなのだが、ここで新たな技が生きてくる。俺は自分の背中に意識を集中して、一対の黒炎の翼を形成し、そのまま宙に留まる事に成功した。


「ハハハッ!上手く行ったな『黒炎翼』! この黒炎は俺を焼かないからこうやって翼形状にすることが出来るんだよ! ついでに黒炎の大火力を制御することで―――――!!!!」


 そこから俺は音を置き去りにしかねない速度で高速飛行を始める。黒炎の出力と方向を制御することでかなり自在に飛ぶ事が出来るのだ。これまでは爆炎術式を利用してより高く跳んだり、方向転換したり疑似的な『飛行』を行う事で巨大な敵の頭を取っていたが、今度は正真正銘、飛翔しているのだ!こんな時に不謹慎かもしれんが、正直とても爽快である。・・・見た目は黒い翼が生えた魔族みたいになっているのが難点だが。


 三次元的な回避が可能になった事で、俺の回避性能は格段に向上した。結果、竜型機獣の猛攻撃を避けながら同時に何度も斬りつけることが可能となった。・・・が、やっぱりダメージを与えられてない。


「こうなったら、まだ使った事無いけど、あのスキルを出してみるか!」


 そう、俺は先日新しい固有スキルを手にしていた。どうやって?と言われればリリーナさんを魔人化した際に解禁になったのだ。魔人化させるにあたり、相手とのセックスが必須な辺り、どうしようもなくハーレム臭がするのが困りつつも美味しいと感じてしまう。本来、アリアだけで十分だと思っていたのに、実際、他の女と交わってしまうと、どうしても情が沸いてしまうといいますか・・・。だって仕方無くない!?どの子も滅茶苦茶いい女なんだから。・・・今度アリアとちゃんと話をしよう。黙っていると良くない気がする。あ、まだ戦闘中だった。気を引き締め直さねば!!


「スキル解放『獄炎付与エンチャント・ヘルブレイズ』!!!」


 俺の発声と同時、大太刀に黒の混じった紫色をした炎が纏わり付いた。これが獄炎付与、スキルの説明文によると、切れ味の向上はもとより、紫炎を飛ばす事が出来て、且つ紫炎は敵が滅びるまで消えないらしい。これなら超速再生を阻めるかもしれない。


「よぉし!! 膾に刻んでやるぜーーーー!!!!!!!!!!!!」



 そこから俺はそれこそ制御可能な限界の速度で四方八方に飛び回り、敵の攻撃を回避しながらも縦横無尽に切り裂いていった。その結果、予想通り敵の超速再生は機能しなくなり、身体中をバラバラに切り刻まれた竜型機獣がその場にくずおれた。自分でやっといてなんだが、こいつが血とか内臓とかを持っていない機獣で良かったなぁと思える程にバラバラ状態だ。・・・あとは『核石』を砕いて終わりかなと思って、機獣のほうに歩み寄っていたら、突然、悪寒を覚えて思わずその場から飛び退いていた。反射的な行動だったので自分でも戸惑ってしまったが、結果的には正しかった事がすぐに分かった。


 と、いうのもそれまで俺が居た場所には長さで4m近くもある長槍が刺さっていたのだ。しかし、一体どこから?気配は全く感じなかったのに。それでも新たな敵を警戒して周りを見回していると、正面の竜型機獣の胴体部分(流石にデカすぎたので、完全にバラバラには出来ていなかった)から、如何にも怪しげな妖光ともいうべき赤い光が天を貫くかのように立ち昇った。やがて光が収まり、そこには、竜型機獣とは異なる真紅の装甲に覆われた、全長3m程の人型機獣が立っていた。その貌はドレイクのそれに良く似ているが、その他は全く異なる。全身の装甲はまるで竜麟で作られた鎧の様であり、威圧感が先程の竜型機獣より断然強い。良く視れば全身を紅い闘気オーラが覆っているのが分かった。どうみてもヤバさが段違いである。さっきのが脅威度:SS級ならこいつは脅威度:超級、即ち脅威度判定不能な奴ではないだろうか。・・・とりあえずこいつの事は『赤竜騎士』と呼ぼうかな。


 赤龍騎士が右手を前方に突き出すと、呼応するように長槍が奴の手元に戻っていった。奴は長槍をブンブンと振り回しながら、雄たけびを上げる。


『グオオオオォオオオオオオオオオオオオーーーーーーー―――――――――!!!!!!!!』 




 その雄たけびにスタン効果があったのか、一瞬だけ身体が硬直してしまった。そして次の瞬間には、奴は俺の眼前で長槍を振り下ろしていた。スタン状態から復帰した俺は、なんとか直撃だけは避けるべく左手の手甲で少しでも受け流せるように斜度を付けて攻撃を受けたのだが、想像以上の圧力により、左の前腕部をへし折られてしまった。叫び出したい程の激痛が走るが、それどころでは無いので黒炎翼の出力を全開にして横っ飛びに吹き飛ぶように回避する。


 一度間合いを取ろうとしたのだが、赤竜騎士は逃がさんとばかりに追走してくる、というか奴もいつの間には背中に蝙蝠の羽に似た翼を生やして飛びながら追いかけて来た。どうやら俺と空中戦をお望みらしい。いいだろう!受けてやる!・・・と言いたいところだがその前に折れた左腕を何とかしないと不味そうだ。相当高額なので使いたくなかったが『最高級回復薬エクストラポーション』をBOXから取り出して左腕にふりかけた。その途端、折れた骨が無理やり元の位置に戻りながら腕は完治した。これが又非常に痛かったりする。

 格の高い回復薬は回復効果と引き換えに激痛を伴う事が多いのだ。まあ、酷い怪我を無理やり瞬時に治す弊害だな。・・・ともかく、とりあえずは奴を戦える準備は出来た。先程のスタンは、雄たけびによる『気当たり』によるものだろうから、気を引き締めて掛かればなんとか耐えられる筈。


「さっきはいいのを貰っちまったが、もうそうはいかねえ!――――勝負だ!!!!!」



 俺は相手の強大さにすくみそうになる心を奮い立たせるために、あえて叫び声を上げながら赤竜騎士に突貫を掛けた。







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