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第25話 勇者リリーナ vs 魔王サブノックス

【SIDE:リリーナ】


 レオ達がギルドに向かう時刻まで時は遡る。


 私は、自らの固有スキル『迷宮間転位ダンジョンドリフト』を行使した。傷ついた仲間を救い、且つ魔王『サブノックス』を自分諸共滅ぼす為に。


 そして今、想定外の事態に陥っている。元々、廃棄迷宮(既に攻略され迷宮核を破壊され、放棄された迷宮)に転位する予定だったのが、どういう訳か全く異なる迷宮に転位してしまったのだ。それだけならまだしも、その迷宮最深部には丁度迷宮攻略に赴いていた討伐者パーティがいたのだ。


 私は非常に困った。このまま魔王を道連れに自爆術式を行使すれば、この討伐者達を巻き込んでしまう。私の都合で巻き込んでしまった彼らを道連れになど許されない。しかしこのままでは彼らが魔王に蹂躙されてしまう。・・・元々無関係な者達をこれ以上巻き込みたくは無かったが、仕方無く彼らのリーダーと思しき男性に声を掛けた。


「そこの方! 私は、グランダル公国認定勇者リリーナ=メルフィスです! 貴方方を巻き込む形になり誠に申し訳無いが、この魔王『サブノックス』を討伐する為、協力を要請する! ついては勇者のパーティ強化で貴方方を強化したいので、私をパーティに入れて欲しい!!」


 私は一気に捲し立てた。その間も目線はサブノックスから離すような真似はしない。こいつは数ある魔王の中でもかなりの強敵であり、残虐な奴だからだ。正直、勇者のパーティ効果(勇者をリーダーに置いた際に、パーティ全体の全ステータスが強化される)を加味しても、彼らの実力ではサブノックスに対抗できないと私は考えている。 パーティ申請をしたのは、少しでも彼らの生存確率を上げる為だ。・・・隙をみて彼らには脱出してもらい、その後は予定通りに・・・、などと考えていると、討伐者のリーダーから返答があった。


「事態がほとんど呑み込めて無いが、ヤバいのだけは分かった! 俺はこのパーティを率いているロイだ!ランクはA!他の奴らははランクBだ。・・あんたをパーティリーダに変更した!! 指示を頼む!!」


 ロイさんは余計な質問は無しに私の意を汲んでくれた。かなり優秀な方のようだ。だが、やはりAランクとBランクではサブノックス相手は無理だろう。なので、私は、


「ありがとう! では、皆には後方からの支援術式によるバックアップと援護射撃をお願いします。近接職の方も後衛職の護衛に徹してください! 決して前に出ない様に!!」


「な!? それじゃあ、実質貴方一人で相手取る事になるぞ!?」


「それしか対処する術が無いのです!! ご理解ください!」


 私はそれ以降の問答を打ち切り、サブノックスに集中する。なんとか彼らを逃がす隙を作らないと!

 暫くこちらの様子を静観していたサブノックスが口を開いた。



『グフフッ。さて、相談事は終わったのか? そろそろ()()を再開しようか。」


 

 くそ! 遊びといったか。確かに奴は強大だ。正直今の戦力で奴を打倒するのは不可能に近い。だからといって諦める訳にはいかない。私には彼らを巻き込んでしまった責任があるのだ。


 本来は、私と私の本来のパーティのメンバーであれば奴を討伐することが出来た筈だった。しかし、戦闘中の思わぬアクシデントから戦力バランスを崩してしまい、一気にこちらが壊滅しかけてしまい、パーティの全滅を避ける為、『迷宮間転位』で強引に奴とパーティを分断して私が相打ち狙いで仕留めるつもりだったのだが・・・。更に悪い事にはこの迷宮はどうやら()()()()()いたらしい。ッその証拠に奴は、この迷宮の核を取り込むことでこれまでの戦闘でのダメージを回復したばかりかその力を増している。・・・全くついていないにも程がある。でもやるしかない!


「・・・そうですね。今度こそ息の根を止めてあげますよ。」


 私は覚悟を決めて自らの愛剣である『聖剣デュランダル』を構える。この剣は魔族特攻効果のある聖剣であり、勇者の職業ジョブについた者にしか扱えない特徴がある。更に『勇者』の職業自体にも魔族特攻効果のあるスキルがあるからこそ、対魔族の特級戦力足りえるのだ。・・・先ずはこのアドバンテージを用いて奴を弱らせるしかないだろう。そして隙が出来たら討伐者達に脱出してもらえば・・。



『グハハッ! いくぞぉーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!! 』


 サブノックスが猛然とその手にある大斧で切り掛かってくる。私はすかさず身体強化術式に加え、自らのスキルを発動させて応戦する。 


聖雷纏速ディバインドライブ!!!!」


 聖雷纏速、これは私が勇者になった際に身に着けたスキルであり、魔族特攻のある聖気を帯びた雷を身体に纏うことで身体活性を図ると共に接触した敵にダメージも与える奥義とも言えるものだ。消費魔力は大きいがその分威力も見込め、身体能力も大幅向上できる。


 ギギギィン!!!!!!


 サブノックスの大斧と私のデュランダルの刃が激しく打ち合い、デュランダルが纏った聖雷が大斧を伝わってサブノックスの腕を激しく焼いていく。そう、生来纏速を発動した状態の私の剣は実質防御不可になる。ダメージを受けた奴は距離を取るべく後ろに飛び退こうとするが逃がしはしない。


 私は、下がろうとする奴に対して、追撃の刃を幾度も打ち付ける。更に討伐者パーティの皆からも爆炎術式や聖光術式等の援護射撃もあり、サブノックスの身体のダメージがどんどん積み上がっていった。


『チィ!! 鬱陶しい!!』


「まだまだ!!!」


 急造パーティとは思えぬ連携を熟して魔王を追い詰めていく。彼らが予想以上に出来る事に私は感謝しながら、少しでも奴を削るべく猛攻を続ける。奴が剛力に任せて私の剣を横に払い除け、私の身体もつられて横に退けられた。その隙をついて、討伐者パーティに向けて奴が業火の塊を飛ばした。

 不味いと思い思わず討伐者パーティを見遣ると、


聖域結界ホーリープロテクション!!!!」


 討伐者パーティの神官がすかさず結界術式を発動して業火を弾き飛ばした。その間隙を突いて私は奴に剣を叩き付ける。脇腹を深く切り裂かれた奴が私から大きく距離を取った。


『チィッ! 思ったよりやるでは無いか! ・・・雑魚と思っていた討伐者どもから大人しくさせるか。』


「させるか!!!」


 私は討伐者達に攻撃が受けられない様に追撃を掛けようとしたが、奴は結界術式を発動して私の攻撃を弾いた。


『ふん。・・・貴様ら如きにこの技を見せるのも癪だが、いいだろう! 『魔気解放マギバースト』!!!!』


 

 途端、魔王サブノックスに変化が生じた。元々2m近い長身で筋肉質な体に深紅の鎧を纏っていたのが、鎧がはじけ飛びその下の筋肉に覆われた身体が一回りどころか二回りは大きくなり、血色の長髪の左右に生えた牛角もその長さを増し、露わになった上半身には血の様に赤い入れ墨のような文様が浮かび上がっている。何よりも凄まじく増大した魔力圧により、周囲の空気までも重く感じられる程だ。


 明らかに増大した威圧感に私は思わず唇を噛み締める。これまで付けた傷も粗方回復されてしまった。しかも明らかにパワーUPしている。・・・僅かな希望が絶望に覆われるのを感じてしまった。


『さて・・・この技を使った以上、遊びは終わりだな。・・・死ぬが良い。』


 次の瞬間、私は危険を感じてほぼ癇だけで剣を前方に構えた。直後、凄まじい衝撃を受けて数十メートル程吹き飛ばされてしまった。不味い!と思い急ぎ体勢を立て直してサブノックスに立ち向かおうとしたその刹那の間に、無情にもサブノックスの一撃が『聖域結界』を砕き、討伐者パーティの面々を打ち据えていた。・・・パーティリーダーのロイだけがかろうじで立っているだけで他のメンバーは皆倒れ伏しててしまっていた。此処からでは生死も分からない。


「ぐううぅ、この・・化け物がぁ!!」


 ロイが仲間の仇とばかりにサブノックスに剣で切り掛かるも、奴は親指と人差し指だけでその剣をつかみ取ってしまった。


「フン、雑魚が!」


 そういって奴は大斧でロイの左腕と左脚を斬り飛ばした上に腹部に前蹴りを入れてロイを迷宮の壁に叩き付けていた。


「クッ!」


 すかさず私は奴に斬りかかるもあっけ無く剣を弾かれて、体勢を崩された所で右腿を大斧で斬りつけられてしまった。


「ぐぁあ!!」


『ガハハハハ!!! どうやらこれまでか?・・・貴様には我が部下を大分殺されたからな。少し憂さ晴らしさせてもらうか。』


 それからは一方的な蹂躙だった。脚を負傷した私は持ち前のスピードを殺され、満足に攻撃を躱す事も出来ずに全身を切り刻まれてしまった。だが、どういう訳か全て急所を外されている。何を考えている?


 それでも既に立ち上がる事も出来ずに私は地面に倒れ込んでしまっていた。


『さて・・・大分大人しくなったな。じゃあ、楽しませてもらおうか!!』 


 そう言って奴はいきなり私の鎧に手を掛け、一気に剥ぎ取ってしまった。アンダーウェアも同時に剥かれてしまい、私は裸体を晒す事になった。


『グフフフッ。やはりいい女だ、貴様は。これからこのサブノックス様が可愛がってやろう。・・・先代勇者だったお前の姉と同じようになぁ。』


「き、貴様ぁ!!!!」


 余りの怒りに動かぬ身体を無理やり動かして奴に殴りかかったが呆気なく腕を掴まれ、そのまま組み敷かれてしまう。そのまま奴はその汚らわしい舌で私の胸を嘗め回し始めた。更に奴の指が私の秘所をまさぐり始めた。先代勇者であった姉の惨たらしい最期を思い出した私は、屈辱と憎悪で頭が一杯になった。


「こ、この下衆がぁ!!! 殺すならさっさと殺せ!!!」


『ちと五月蠅いな。 『黙れ』。』


 途端、私は声が一切出せなくなってしまった。これは!? 言霊による束縛術式か!?

 更に奴は私が暴れられぬ様に両手両足を細い杭のようなもので地面に縫い付けて身動きがとれぬ様にしてきた。・・・そこからは、一方的な()()が始まった。




 どのくらい嬲られたのか、悔しくも私の意志とは関係なく奴に刺激された身体は奴を受け入れる準備を済ませてしまっていた。私は・・・姉の無念を晴らすために、こいつだけは、この手で殺そうとしてきたのに! 結局、姉と同じ屈辱を受けて殺されるのか。・・・無念のあまり眼から涙が溢れてきた。声を封じられた私では自爆術式すら使えない。もう、こいつに嬲られた挙句に殺される未来しか思い浮かばなくなっていた。


『グフフフッ・・・体は正直だな、勇者リリーナよ。散々手こずらせてくれたが、ここまでだ。これだけ濡れてくれば、俺を受け入れられよう。そうなればお前は完全に俺に屈服することになるなぁ』


「・・・・・・・」


 あぁ・・・ごめんなさい、姉さん・・・私、頑張ったんだけど、駄目だった・・・ごめんね・・。

 もはや抵抗する事もできず、私は唯、ぼんやりと眺めていた。

 

 その時、


 

  ゴガアアアアァンンンン―――――!!!!!!!!!! 







 凄まじい轟音と共にサブノックスの巨体が消え去っていた。代わって私の目の前にいたのは、漆黒の全身鎧を纏い、その全身から黒炎の如き闘気オーラを迸らせる『黒騎士』だった。






 









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