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第24話 街中の迷宮へ

「そんな!?・・・・・ど、どうして・・・あぁ、ロイが・・・」


 恋人のロイがよりによって魔王と交戦していると聞いたレミリアは茫然自失となっていた。仕方無いだろう。()()とは魔族たちの頂点として君臨してきた者達で、魔族内での派閥のトップであり、最強の存在だ。今でこそ、『大魔王』の傘下に収まり行動しているが、魔族社会は完全な弱肉強食。ようは強いから『魔王』なのだ。・・・正直Aランクレベルでどうにかなる相手じゃない。それこそSランク級の討伐者や『勇者』達のような特級戦力が相手取るものなのだ。


 ただおかしい点もある。そもそも人族各国はそれぞれ『護国結界』を張り続けており、魔王といえど侵入は困難を極める筈で、少なくとも町中に突然現れるなんてのは不可能なのである。

 では、何故街中に発生した迷宮ダンジョンの中に出現出来たのか? 俺が足りない頭をもどかしく思っていると、


「街中に偶然発生した迷宮・・・そこに転位してきた『魔王』。魔王が出現した原因は恐らく『迷宮間転位ダンジョンドリフト』によるものと思われます。」


 アリアが己の推察を述べる。迷宮間転位ダンジョンドリフト?・・・初めて聞くスキルだな。


「迷宮間転位は非常に希少な固有スキルのひとつです。・・・現在このスキルを保持しているのは、第一級勇者:リリーナ=メルフィス様だけの筈。おそらく魔王との戦闘中になんらかのトラブルに見舞われた結果、魔王と共に迷宮間転位を行ったものと。で、運悪く街中で発生したばかりの迷宮に転位してしまったのかと。

 ですからレミリアさん、まだ希望はあります。勇者リリーナ様はロイさん達と共闘して魔王に臨む筈ですから、暫くは時間が稼げる筈ですから。・・・リリーナ様からは後で詳細を聞き出す必要がありそうですが。」


 アリアがレミリアを励ますように努めて明るく言った。最後の言葉だけは他者に聞かれぬ様に声を潜めて。


「とはいえ、時間がありません!私達もその迷宮に向かいましょう! 転移門術式ゲートで向かいますので、迷宮の位置情報を頂けますか?」


 と、駆け込んで来た受付嬢に声をかけるアリア。その間に俺は、まだ不安に震えているレミリアの両肩に手を置いて、安心させるように声をかける。


「大丈夫だ。俺達が必ずロイ達を救い出すから。それに俺が滅茶苦茶強くなったのは説明したろ? だから、あいつが戻ったら笑顔で迎えてやってくれよ?」


「・・・レオニス君・・・うん。わかった。」


 よっし!それじゃあ、早速魔王退治と行こうか!!

 俺と、アリア、そしてミリアナの三人は転位門ゲートで街中の迷宮まで一気に転位した。ちなみにヴォル婆はギルドで留守番だ。レミリアの面倒を見る様にお願いした。






 街中の迷宮に到着すると、迷宮入口を護衛しているファイーア駐在の騎士達と複数の討伐者達がなにやら揉めている。・・・どうやら迷宮に入ろうとする討伐者達を騎士達が押し留めているようだ。まあ、迷宮はともかく魔王が中にいるんじゃ並みの討伐者では一瞬で血祭りだから、騎士団達の行動に理があるよな。・・・だが、こちらも時間が無い。押し通るか。


「取り込み中悪いが、そこを通してくれ。 時間が無いんだ。」


「ま、待て! 中は本当に危険なんだ! 一般の討伐者では歯が立たない敵がいるんだ!!」


「知ってるよ。『魔王』がいるんだろ?・・・だから行くんだよ。どいてくれって。」


「レオさん。・・・ここは私が。 私は、第13代聖女アリアレーゼ=オニキスです。魔王討伐の為に馳せ参じました。それと、こちらは、剣聖ミリアナ=ヴァレンティです。・・・通して頂けますね? 時間が無いのです。」


 言葉と共にアリアとミリアナが討伐者ギルド発行のライセンスプレートを差し出した。騎士はそれを見るなり態度を一変させる。・・・さすが、Sランク討伐者は違うな!俺もSランク目指そうか・・。


「ほ、本物!? 本物の聖女様と剣聖様!!? わ、分かりました! 発生したばかりの迷宮故内部の状況が良く分かっておりませんので、十分に警戒をお願い致します!」



 アリア達のおかげで無事迷宮内に侵入できた俺達は、全速力で最下層を目指す事にした。アリアの生態関知術式での反応から、ロイ達の命がいよいよ不味い事が判明したからだ。


「予想よりも状況が悪いようですね。急ぎましょう!!」


 俺は『アモン』を召喚、ミリアナは『精霊深化スピリットダイブ』を発動して、音を置き去りにするような速度で移動を開始した。『アモン』を纏った俺の身体能力は精霊深化したミリアナをも軽く凌駕する。なので、一人で先行しようと思ったのだが。


「レオさん! 敵の魔王がどのランクかも分かりません! 単独潜行は避けてください!」


「だが! ロイ達が!!」


「分かってます! 私とミリアナは短距離転位で随時レオさんに追いつく形で進みますので、そのつもりでお願いします!・・ミリアナ!私から離れない様にお願いしますね!」


「了解!・・・でもあたしもレオに付いていけるくらいにならないとだよね。未解放スキルに期待するしか無いのかなぁ?」


 え?そんなの可能なの!?・・・やはりアリアはいろいろとチートな感じがする。まあ、今は助かるからいいか! それにしても、ミリアナがちょっと元気が無いというか、俺との能力差を気にしているようだ。

 まあ、『アモン』による能力増強は途轍も無いのは事実だ。・・・だが、強力な力には大概リスクがあるように、『アモン』にも実はリスクがある。この鎧は俺の魂魄力『オド』を餌にして力を発揮する。

しかも連続的にゴリゴリ魂魄力オドを喰ってくれるので、長時間の使用ができないのだ。だから本当は強敵に接敵してから使いたいのだが、今回は移動速度が大事なのでそれが出来ない。それもあって俺は急いでいる訳だ。

 ちなみに魔力は枯渇しても具合が悪くなる程度だが、魂魄力の枯渇は即、死を意味する。なので、『アモン』の鎧の特性について、俺はまだ詳しく話していなかったりする。変に心配されたくないし。



 幸い、ロイのパーティが粗方迷宮内の魔物を掃討してくれていた様で、移動中、ほとんど魔物に邪魔されることは無かった。・・・だが、奥に進むにつれて、濃厚な魔力が荒れ狂う様が俺にも感じ取れる程だ。間違いなく『魔王』と勇者、ロイ達が戦っているんだろう。しかもアリア曰く、場所が迷宮最深部、要するに一番奥らしい。・・・マジで持ちこたえてくれよ?


 ちなみに俺は強化された身体能力に任せて全力疾走しているだけだが、アリアの移動方法は大分異なる。なんと、飛行しているのだ。 俺も爆炎術式を足裏に発生させて疑似的に飛んだりするが、アリアのは所謂『飛翔』といっていいレベルだ。・・・人って羽が無くても飛べるみたいだ。

 この飛翔術式?は複数の術式を組み合わせて成立させているらしいのだが、制御が複雑らしく、開発者のアリア以外でまともに使える人がいないらしい。マジで俺の奥さんチート過ぎる!

 ミリアナも基本は俺と同じ移動方法だが、狼型の精霊と同化してる為か、四本足走行をしている。丁度、アリアとミリアナの移動速度が同じくらいなので、俺に引き離されると、転移門で俺の近くに転位してくる、の繰り返しで三人がほぼ同じ速度で迷宮を走破している状況だ。

  

  

 まさしく破竹の勢いで最深部に向かう俺達。途中で時折魔物が、ミノタウロスだろうか?が数体立ち塞がったが、鎧袖一触、すれ違い様に文字通りバラバラにされていた、ミリアナの手によって。流石剣聖様だ。魔人化した俺でも『アモン』が無ければ全く歯が立たなかったくらいなのだから、やっぱりミリアナは強いな。それに・・・こういった戦闘時には凛々しく美しい彼女だが、普段の印象は、真逆というか、時折妙に可愛らしい表情とかするので、ギャップ萌えな感じでちょっとクラッとしてしまう。いやいや、俺、アリアと入籍したばかりだし!・・・そもそも不謹慎だよな、今考えるのは。。


 その他、迷宮内部には様々なトラップが多く設置されたりしているのだが、ロイ達が解除したのに加え、アリアが早々に罠検知して無効化してしまう。飛翔術式を使い続け、転移門も多用しながらである。本当にこの子はどうなってるのだろう?なんというか万能すぎるよね。まあ、おかげで俺は唯ひたすら最深部に向けて爆走するだけで済んでいる。



 そうして、俺達三人はとうとう迷宮最深部に辿り付いた。そして、そこには、左手と左脚を切断されて、息も絶え絶えのロイと、もはや命が尽きているとしか思えないロイの仲間達、そして、衣服を裂かれ、2mを超える牛角を生やした大男に組み敷かれ、凌辱されようとしている一人の女の姿があった。




 その光景を見た瞬間、俺の意識は一瞬で真っ白な炎に焼かれたように白熱していた。









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