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第22話 ファイーアの街

 その後、俺達は一旦家に戻り、改めてミリアナを『魔人化』した。・・・その反動で欲情した彼女については、まあ、美味しく頂きました。これがまた非常に良かったものだからついつい楽しんでしまい、アリアの氷の眼差しに晒され、居た堪れない気持ちになったが、これもベッドの上で()()することで事なきを得た、というかごっつぁんでした!


 で、魔人化したミリアナの身体的な変化だが、なんと右眼の色が深い赤色になっただけであった、所謂オッドアイになっただけだ。姉さんはもとより俺やアリアに比べても変化が少なかった。これってなにか法則性があるのだろうか?ちなみにステータスはこんな感じだ。


 氏名:ミリアナ=ヴァレンティ

 年齢:18歳

 種族:魔人族

 魂の位階:Lv.7

 職業:魔剣聖(防御、魔防、敏捷が大幅上昇、攻撃力が極大上昇、剣、大剣使用時に威力補正大)

 所属/ランク:討伐者ギルド/S

 【汎用スキル】               

  ・剣、大剣術…剣、大剣系のスキルを強化…豪剣士の職業が選択可能。

  ・体術…徒手空拳系のスキルを強化…武闘家の祝業を選択可能。

  ・身体強化法…魂魄力オドを用いた身体強化が可能となる。魔導術による強化と併用可。

  ・料理…料理が上手になる。『料理人』の職業選択が可能。

 

 【固有スキル】

  ・精霊契約…精霊との契約が可能。又、契約精霊に準じた『精霊魔法』を行使可能

  ・精霊深化スピリットダイブ…契約精霊と同化する事で全能力極大強化。制限時間は30分。 

  ・多重精霊深化マルチスピリットダイブ・・・解放条件未達につき使用不可

  ・召喚:魔剣…魔剣を召喚可能(召喚可能:グラム)

  ・魔眼『羅刹眼』…敵の急所、弱点を見破る。使用する度に魂魄力オドを消費し消費量は敵の強さに比例。

  ・魔人連鎖デモニアックチェイン(1)…自らと同じ想いを持つ者を魔人化できる。 発動条件は自らの体液を摂取させる事。 


 こんな感じで、『剣聖』が『魔剣聖』となって強化されている他、魔剣の召喚が可能となったり、一人だけ、且つ条件が若干ややこしそうな魔人化も出来るらしい。又、未解放スキルだが多重精霊深化という如何にも強力なスキルが追加されている。ミリアナに聞いた所、以前には無かったらしいので魔人化の影響だろう。更に、魔眼『羅刹眼』だ。なんだ、このチートな性能は!? 急所や弱点が見破れるってどういう事?・・・唯でさえあんなに強い彼女が更に強くなる事請け合いである。

 

 ・・・なんか俺よりも優遇されてる感が否めないのだが、どういう事なのか?


「う~ん、そうですねぇ。 推測ですが、レオさんの魔神鎧装『アモン』がそれだけ強力だからではないでしょうか? 実際、『精霊深化スピリットダイブ』したミリアナを一瞬で撃破した程ですから。 あのような真似はたとえ『勇者』でも不可能ですので。・・・実際、私も吃驚したんですよ?」


 とは、アリアの見解だ。確かにあの鎧による強化は尋常では無かった。正直、まだまだ振り回されてる感覚なので、もっと使い熟す必要がありそうだけど。


 で、現在俺達はヴォルカンの住まいを後してから1週間(8日間)かけてファイーアの街に到着していた。ファイーアの街は住民の数は約2万人と決して大きな街では無いが、対大型魔獣対策として、街を囲う外壁は15mと高くそして堅牢なつくりになっている。外壁の周りには深く掘りが巡らせてあり、街に入るには、正面の可動式の橋を降ろしてもらう必要がある(平時は開門中は降りっぱなしだが)。

 又、街の中だが、路面は石畳で均されており、下水なども完備されている。街の家々も基本石造りであり、全体の景観にマッチしていると思う。街のメイン通りには馬車や竜車などがのんびりと行きかっていて、側道には人々が談笑しながら歩いていた。


「ここが、ファイーアの街ですか。 長閑で落ち着いた感じで、とてもいい街ですね!」


「だよね! あたしもアリアの下に行く前にこの街で立ち寄ったんだ。・・・あの時のあたしは心に余裕が無くなってたけど、それでも少し心が安らいだからね!今ならもっと楽しめそう!」


 と、アリアとミリアナがはしゃいでいる。彼女達は王都や長い事最前線の殺伐とした場所にいたから、余計にそう感じるのかもしれないな。 俺としては、此処よりデカい街を知らないから、長閑と言われてもピンとこないな。・・・そろそろ昼だし、軽く飯でも食ってから討伐者ギルドに顔だそうか。・・・俺、見た目が結構変わっちゃったけど、分かってもらえるだろうか?


「そろそろ昼だし、料理屋で飯にしないか? 一応、お勧めの店があるんだが。」


「「賛成!(です!)」」


「儂も賛成じゃ!ひさしぶりじゃし楽しみよのう。」


 アリアとミリアナが声を揃えて答える。 二人の仲はこの数日で急速に良くなってきている。よく二人きりでなにやらお話をしては盛り上がってるし。・・・内容聞こうとしたら、「秘密です!」と言われてしまったが。ヴォルカンにそれとなく尋ねても、「女子おなごは秘密があるからこそ、より魅力が増すものじゃ。 野暮な事を聞くで無い。」と一蹴されてしまった。・・・まあ、いいけどね。


 それから俺達は俺がひいきにしている食堂にやってきた。


「いらっしゃいませ! 本日は四名様ですか!?」


 と、店の看板娘であるエミリさん(15歳)が元気よく声をかけてくれた。


「あぁ、久しぶりだね、エミリちゃん。 おすすめランチを4人分でお願いできる?」


「はい!・・・ええぇと、もしかして・・レオニスさん!? どうしたんですか!?その髪と眼の色は!?」


「ですよねー。気になるか、やっぱ。・・・まあ、色々あってね。イメチェンってやつ?」


 やっぱり来ました、この突っ込みが。適当に誤魔化すしかないんだけど・・。


「はぁ・・・でも、相変わらず格好いいですね! それに美男子ぶりに磨きがかかった感じでいいですよ! ・・・あ、ピピンと来ました。そちらの銀髪のすっごい美人さんが彼女さんでしょ!?」


「えぇ!?そ、そんな美人だなんて・・・でも、はい。今日入籍させて頂く予定です・・・。」


 エミリちゃんの言葉に、頬を染めながらもしっかり言う事は言うアリア。


「わぁ!すごーい! おめでとうございます!!・・・あれれ?そちらの金髪グラマーな美人さんもなにやら只ならぬ仲のように思えますが・・・?」


 今度は、ミリアナが被弾する。ミリアナは茹蛸よりも顔を真っ赤にして両の掌を左右に激しく振りながら、わたわたと否定する。


「ち、違うから!! あたしはそんなんじゃなくって!・・その・・ただの仲間だよ、仲間!!」


「ふむ~ん。なるほどなるほど・・・。どうやら前の人の事を少し引き摺ってるようですが、そちらはすっぱり忘れた方がいいですよ?完全に切れてますから。 それよりも今胸の内に芽生えた気持ちを大事にしてください! 『恋の伝道師』であるわたしからのアドバイスです!」


「あ、本当に職業が『恋の伝道師』なんですね。」


 エミリちゃんの言葉に思わず鑑定したアリアが呟く。


「え!? お姉さん、『鑑定』できるんですか!? ますます凄いです!」


 そう、エミリちゃんの職業ジョブは『恋の伝道師』。実際料理屋で働く傍ら、恋愛相談も商っており、固有スキル『恋の糸』という、よくわからんスキル持ちだったりする。彼女曰く、過去から未来の恋愛に関する『糸』が視えるそうで、それを元にアドバイスをしてくれたりするのだ。・・・今回は勝手にやったんだから金取らないよね?


「まあまあ、エミリちゃん。俺らも腹減ってるからさ、注文よろしく頼むよ。」


「ハッ!、済みません! つい! だってレオニスさんがこれまでと違って凄く幸せに視えたので、嬉しくなっちゃって・・・」


 その言葉に、ハッとさせられた。俺はこんな少女にまで心配される程過去に捕らわれていたらしい。今の俺をこんなに喜んでくれるなんて、やっぱりいい子だな、エミリちゃんは。


「そっか。ありがとな、エミリちゃん。」


 微笑ましい気持ちになって、ついエミリちゃんの頭を撫でてしまう。


「えへへ。 じゃあ、お席まで案内しますね!」


 エミリちゃんが嬉しそうにはにかみながら俺達を席まで案内してくれた。



 席についても、まだ顔を赤くして俯いているミリアナに、アリアが声を掛ける。


「ミリアナ。 私はレオさんの第一夫人の座を譲る気はありませんが、それ以外であれば特に咎めるつもりはありませんよ。」


「な、何言ってるの!? あたしは別に!・・・・・・・レオの事は・・・」


 顔が赤いばかりか若干涙目になったミリアナが答える。・・・しかし、アリアも容赦無くブッコんでいくなぁ。 これまでの反省の意もあるのかもしれないな。 特にミリアナはもっと周りに自分の気持ちを話すべきだったと思うし。


「別に今結論を出して欲しい訳じゃないの。 ただ、私は貴方に対して、本音を話そうって決めたから。

 だから、貴方もどんな事でも、本音で話して欲しいと思っています。・・・それが、以前の私達に欠けていたものだと、思うから・・・。」


 アリアのその言葉に、それまで俯いてままだったミリアナがハッとした様に顔を上げた。そして、何かを決意した顔で答えた。


「うん!・・・そうだよね。 じゃあ、あたしも本音をいうよ。・・・その、レオとの・・エッチは、週一は確保したい!」


 オイオイ、こっちも凄いのブッコんで来たな。流石のアリアも目が点になってんじゃん。でも、そうか。ミリアナは俺とのエッチに好意的なのか・・・。うんうん!いいぞ!実にいい!俺も大歓迎だ!!


「・・・・レオさん?」


 アリアが半目で俺を睨んでくる。ハッ!?心の声が漏れ出たか?・・・いや違う!違うんだ!これは決して浮気心とかじゃなくてだな、その、男としての本能というか・・済みませんでした!!!!


「ハァ・・・。ミリアナ、良かったですね。レオさんは()()()だそうですよ?」


「え!?ホントにいいの!?」


「私から拒否する事はありません。 それでも私は彼の愛を疑ったりしませんから。 なんにせよ、ありがとう、ミリアナ。本音を話してくれて。・・・ここが真昼の食堂でなければもっと良かったのですが。」


「ハッ!? ゴ、ゴメン!!!・・・その、レオへの気持ちについては・・よく考えてみる。それから、ちゃんというから!」


 なんか纏まったみたいだな。・・・でも、俺の心の声完全にバレてない!? でも、そうだ。俺もアリアが一番という気持ちに揺らぎは無いぞ! ただ、ミリアナも2番目くらいにはいいなぁって思ってるだけだ。


「はぁ・・お主らはほんに、どこでもピンクな空気を作りおって。・・・まあ、()()というやつかのぅ」


 と見た目最年少(13歳くらい)の少女の姿の婆さんが語ってる。


「誰がババァじゃ!」 ガツン! 「アダッ!!」


 俺じゃべってねえだろ!? こいつら揃って勘が良すぎじゃねえか?それとも俺が顔に出過ぎなのか?


「フフフッ 後者ですね。」


 アリアさん・・・もはや貴方には俺の心が丸見えなんですか? もうなんでもいいや!さっさと飯食べよう!!


 などとやってる内に一通りの料理が届いていた。


「お待たせしました! では、冷めないうちにどうぞ召し上がりください!」


「「「「いただきます!」」」」


 

 俺達は眼前の旨そうな猪肉ふんだんの料理を楽しむのだった。さて、飯を食ったらいよいよギルドだな。






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