第19話 決着
俺は何が起こったのか分からず茫然としていた。・・・アリアが、アリアが血塗れになって倒れていて、・・・どうすればいい、どうすれば!俺は倒れたアリアを抱き起しながら必死にアリアを救う術を考える。駄目だ!何も、何も思いつかない!!早く何とかしないといけないのに!!!
「レ、オさん・・・落ち着いて、・・・くだ・・さ、い。」
「落ち着けるか!!!どうすれば!どうすればいい!!?」
アリアの血塗れの掌が俺の頬を撫でる。・・・・あぁ、あぁ、早く何とかしないと!まず血を止めないと―――!
パァン!
アリアが手首のスナップだけで俺の頬を叩いた。超痛いんだけど!・・・だが、おかげで少し冷静になれた。
「少しは・・落ち着きましたか?・・・冷静なって・・・じゃないと、私死んじゃい・・ますよ?」
「あ、ああ。済まない。で、俺はどうすればいい?・・・何かあるんだろ?」
「はい。・・・思い・・・だして、第3のスキ・・ル・・を」
第3のスキル・・・!、あれか!『魔神転化』。確かあれは・・・、
魔人転化(4)…条件を満たした他者を魔人化する。必要条件は以下。
〈必要条件〉
対象者は術者の精を宿す必要がある。更に両者の合意ある場合に限り発動可。
又、魔人化の成功率は、その想いの深さに比例する。
「私は・・条件を、全て満たして・・います。先程、たっぷりと、注いでもらいました・・から」
出血多量で青かったアリアの顔に僅かに朱が差す。思い出して恥ずかしくなったか?
う~む。このスキル、なんとも発動条件がハズイのだが・・・確かにアリアは条件を満足している。・・・もう、これに賭けるしか無い! 例えアリアがどう変わったとしても、俺の気持ちは変わらない!!
「分かった。やるぞ! スキル解放『魔人転位!!!!」
瞬間、アリアの全身を激しく輝く白光と黒光が包み込んだ。ん?なんか俺の時とちょっと違うような?
などと考えている間に光が収まり、そのには怪我が完治した状態のアリアが居た。彼女はスッと立ち上がり、自分の身体の状態を確かめている。
「髪の色が銀色に・・・。あっ、これは!・・・フフッ素晴らしい♪」
何かに気付いたのか、なんだか嬉しそうにしているアリア。俺は、アリアが無事復活できた事に安堵しつつ、彼女の様子を伺った。
「♪♪ どうですか?気付きましたか?」
なにやら嬉しそうに胸の下で腕を組んだアリアがこちらを伺っている。・・・ん?なんだ?アリアが組んだ腕を僅かに上下に動かして・・・・・あっ!おっぱいがでかくなってる!?
「そうなんです!先程、魔人化する際にずっと祈ってたんですよ!そしたら、どうですか、この胸は!もうチッパイなんて誰にも言わせません!」
他に祈る事あるだろうに・・そもそも俺はチッパイなんて言ってないし、おっぱいが大きければいいとも思ってはいなかったが、それでも今のアリアはその魅力を更に増していた。綺麗で、可愛くて・・・なんていうかエロさが増している。髪の色が変わったのも要因か?・・・瞳の色は変わらず綺麗な瑠璃色のままだ。やはり俺の変化とはまた違った感じである。
そんな俺達の様子を唖然として眺めていたミリアナが声を掛けてくる。復活した彼女を見て涙を流しながら。
「アリア・・・。怪我、治ったの?・・・よかったぁ。・・でも、どうやって?それに纏う雰囲気も変わった?」
「ええ。私は『魔人』となったのです。こちらのレオさんと同じく。」
アリアがどことなく誇らしげに答える。
だが、ミリアナは、『魔人』の言葉に動揺する。
「魔人!?魔族になってしまったの!?」
「違います。・・・少なくとも私達の知る魔族とは違いますね。でも正直分からない事だらけでして。取りあえず、外見の変化は、髪の色とおっぱいの大きさくらいですね。」
なにかおっぱいの部分を強調しているが・・・密かに気にしていたのか?
「そう。・・・まあ、少し見た目は変わったようだけど、アリアのままならいいわ。・・・じゃあ、続きをやりましょうか? 今度はアリアを傷つける様なミスはしない。確実に仕留める。」
気を持ち直したミリアナが大剣グラムを構え直した。・・・そうだった。アリアが復活できても、まだミリアナの攻略が残っている。正直現状では勝ち目が・・・。
「大丈夫ですよ、レオさん。第2のスキルの解放条件を満たした様です。・・・これで勝てます。」
「!」
第2スキルって確か、鎧を召喚するやつだよな?今のアリアには何か俺が見えない情報が視えているのだろうか?・・・まあ、もう手がないんだから何でもやってみるか!
「召喚、魔神鎧装『アモン』ーーーーーーー!!!!!!」
俺の召喚に答えて背後に漆黒の全身鎧のようなものが黒光と共に出現した。・・・どう着るんだ、これ?
などと悩む間もなく、俺の身体が漆黒の全身鎧に吸収された。俺の方が吸収されんのか!?
その瞬間、俺の全身に凄まじいまでの力の奔流が流れ込んで来た!これはやばい!!気をしっかり持たないと力に飲まれる!!・・・暫くして、なんとか力に飲まれずに落ち着く事が出来た。
「な、なに? その鎧は・・・・・発する魔力圧が、桁違い。・・・一体これは・・?」
「俺も今回初めて使うから、よく分かんねえ。・・・でも、これで終わりだ。少し痛むが我慢しろよ?」
俺の『アモン』モード?に慄いているミリアナに宣言して、俺は早速仕掛ける。手足を斬りつけて戦闘不能にしよう!
ザンッ!!
そして、次の瞬間には、四肢を全て両断されたミリアナが地面に転がっていた。ダメージがデカかったためか、精霊獣との同化も解けている。・・・・・いやいや、なんで手足ちょん切れてんの?俺、手足の筋だけ斬るつもりだったのに・・・。
「あ、あれ?」
「・・・ちょっとじゃないよ、これ。滅茶苦茶痛い・・・・・。」
「やりすぎです!!!何をやってるのですか!!!!!!」
そしてアリアに怒られた。・・・しかし何故?ん?なんか大太刀の形状と長さが少し変わってる?
いや、それよりミリアナの治療が先だ!切断した箇所から大量出血してしまってる。どうにかしないと!
「暗黒最上位回復術式!!」
慌てる俺を尻目にアリアが回復術式を掛けた。ん?ダークエクストラヒール?・・・聞いた事無い術式だが、効果は劇的だった。一瞬で切断面から手足が生えて、且つ出血も巻き戻るかのように体内に戻っていった。なんか知ってるエクストラヒールより回復力が上?ちなみに手足が生えた瞬間に切断された方はどういう事か消滅してしまった。
「ふぅ。・・・とりあえず大丈夫ですね。でも、レオさん、気を付けてください。危うくミリアナが死んでしまう所でした。」
「は、はい。済みません。・・・なんか『アモン』を纏った際に大太刀も形状変化したみたいで刃の長さが変わったのを見逃してしまった。」
「そうですか。・・・あ、そういえば私の『神滅の錫杖』もどうやら封印が解けたようです。どうやら『魔人化』が開封条件だったようですね。あと、魔神鎧装の方は・・・誰かを魔人化するのが条件だったようです。」
ほー。なるほどね。・・そういやアリアのステータスってどう変化したのかな?
「私のステータスはこんな感じですね。」
氏名:アリアレーゼ=オニキス
年齢:18歳
種族:魔人族
魂の位階:Lv.8
職業:魔聖女(全ての暗黒・神聖術式行使可能。攻撃、防御、魔防、敏捷が大幅上昇、魔導が極大上昇)
所属/ランク:討伐者ギルド/S、探索者ギルド/A、魔導士ギルド/A
【汎用スキル】
・魔導術(火、風、土、水、雷、光、闇、特殊)…括弧内の属性に関する魔導術の強化。
6属性の術を習得すると『大魔導士』の
職業が選択可能。又、光属性を修める事で
『神官』の職業が選択可能。
・杖槍術…主に長物系のスキルを強化…杖槍士の職業が選択可能。
・体術…徒手空拳系のスキルを強化…武闘家の祝業を選択可能。尚、職業:神官を得ている場合は
『武闘神官』の職業を選択可能。
・身体強化法…魂魄力オドを用いた身体強化が可能となる。魔導術による強化と併用可。
・家事全般…炊事、洗濯、掃除等が上手になる。『家政婦』、『料理人』の職業選択が可能。
【固有スキル】
・魔導創造…魔導術を任意に創造できる。
・召喚:ゴッドスレイヤー『神滅の錫杖』・・・ゴッドスレイヤーを召喚可能。
・召喚:『魔神の纏衣』・・・解放条件未達の為不可。
・眷属魔人化…他者を眷属魔人化する。発動条件は自らの体液を相手に飲ませる事。
・鑑定眼(極)…アカシックレコードとのリンクが強まった事であらゆる事象の詳細を知る事が可能。
・・・相変わらず、豊富なスキル群だが、やはり種族は魔人族と。職業は、『魔聖女』? 初めて見るな、これ。しかも『聖女』より強力になってる。他には、魔導術に『闇』属性が追加と。更に固有スキルが増えてるな。ん?召喚が増えてる。でもこれってヴォルカンに貰った錫杖だ。・・・そうか、専用武具になれば召喚で呼ぶことが可能ってことかな。・・・それと『魔神の纏衣』ってよく分からんな。『アモン』みたいに凄い性能があるのか?でも、今は使えないと。それと眷属魔人化と鑑定(極)か・・。
なるほどね。この鑑定眼(極)があったからあそこ迄断言できたのか。・・・眷属魔人化は、そのままだろうな。でも体液って・・・まあ、血とかでいいんだろうな。
「どうです、レオさん。なかなかの充実ぶりかと思うのですよ。一つ未解放のが気になりますが。」
「そうだな。俺としてもアリアが力を付けてくれるのは安心できるし、ホント性格が変わったりとか無くて安心したよ。」
「まあ、私としてはレオさんの様子からあまり危惧はしてませんでしたけど。・・・それより、レオさんもステータスに変化ありますよね?」
「え?そうなの?」
言われて自分のステータスを再確認した所、少しだけ変化があった。
一つは『魔神転位(4)』が『魔神転位(3)』になっていた事だ。・・・普通に考えると、あと3人は魔人化出来ると。でも、条件がアレでは、これ以上作るというのはハーレム直行という事ではなかろうか?・・・アリアが許してくれる気がしないし、俺はアリアだけで満足なのだが。
もう一つ、これは新しいスキルだな。固有スキルとして、『限界機動』というのが追加された。・・・例の如く解放条件未達成の注釈つきで・・・。なんだ?俺にハーレム作れっていってるのか?・・・あとでアリアと相談かなぁ。
「確かに追加されてるな。・・・ミリア! なんかミリアナの様子が変だぞ!?」
「えっ!?」
アリアが慌てて振り返ると、確かに彼女の魔導術で完治している筈のミリアナが苦しそうに悶えている。どこか痛むのか?俺達は駆け寄って声を掛けてみる。
「おい!大丈夫か!?」
「ミリアナ、どうしたの!?」
「ハァハァ・・・だ、大丈夫・・・て言いたいんだけど・・つらい。」
「どこか苦しいのか!?」
尋ねながらも、ミリアナの悶え方にピンとくるものがあった。・・・なんというか、発情してないか?
「これは!?・・・『ピュリファイ』!、『オールキュア』!・・・症状が改善しない。どうして?」
ミリアナが堪えがたい衝動に襲われているのか、左手をその健康的な内腿に挟み、自ら慰めている。が、収まる様子も無い。
「ご、ごめん。・・・でも、わかんないけど・・変な気分・・もう、堪えられないよ。」
呼吸も荒く、流石にこのままは不味いとどうしたものかと考えていると、
「誠に、誠に遺憾ですが・・・仕方ありませんね。・・・レオさん!ミリアナとシてしてください!! で、でも夢中になったら駄目なんですからね!分かっていますね!!」
・・・まあ、そうなると思いましたよ。でもラッキースケベだ!みたいな態度取ったらアリアに何されるか分からないので、黙って頷くに留めておいた。・・・こんないい女とヤレるなんてED解消できてよかった! アリア、ありがとう!・・・そしてごめんなさい!
俺の内心を察知したのか氷点下の瞳で睨んでくるアリアに目を合わせない様にミリアナを抱き上げ、再度、ヴォルカンの空き部屋を借りる事にした。




