表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
18/40

第18話 レオニスvsミリアナ

 剣聖ミリアナの独白を聞いた俺とアリアはしばし茫然としてしまった。なんというか驚くポイントが多すぎだろ!?勇者が女になったとか、新しく任命された聖者がその勇者を犯しまくって、恋人の剣聖に一部始終を視る事を強要したとか・・・。勇者と剣聖の過去とアリアの件についても動機も含め、正直重すぎるし。

 

 アリアの様子を伺えば、俺同様に語られた内容に驚愕しているようだ。・・・そうだよな。彼らがやった事は許されない事だけど、優しいアリアからすれば心中は複雑だろう。互いにもっと言葉を尽くしていればこんな事にはならなかった気もするし。・・・いや、人生にタラレバは無いからな。


「ねえ、アリア・・・。もう一度聞くけど、アシュレーの女性化については、あなたは本当に狙った訳じゃないの?」


「ええ。私が呪術式に組んだのは『男性機能消失』だけです。そもそも性転換なんて術式を私は知りません。」


 男性機能消失だけでも男的には死に等しいのだが・・・まあ、発動条件がアレなら因果応報という所か。

 そうなると勇者の女性化はいよいよ謎だけど・・・多分そこはどうでもい筈だ。もうそこは問題じゃない。剣聖ミリアナが()()()()に此処に来たのかが問題なのだ。


「そう。・・・ありがと。答えてくれて。・・・それならいいの。・・・じゃあ、あたしと本気で戦って。そしてあたしを殺して。」


「「!!」」


 そう来たか!・・・話の流れ的に予想はしていたが・・・。だがそれは・・・、


「お断りします。私には貴方を殺す意志はありません。それは最初からです。・・・まして、貴方の話を聞いた今では余計にそんな気になれません。」


 まあ、断るよな。だが、剣聖ミリアナは自らの戦気はどんどん高めてきている。これは・・・覚悟したほうがいいな。


「・・・そうだね。勝手な思い込みであなたを酷い事して、挙句に殺してくれなんて虫が良すぎるよね。・・・でも、あたしも引けない!あなたを本気にするのは簡単!・・・・・そこの男を殺すよ?」


「――!!、本気で・・言っているのですか?」


 アリアの気配が一瞬で戦闘時のそれに変わる。確かにアリアは近接戦も強いが・・・ここは俺がやらないとな。


「いいぜ?相手してやるよ、剣聖さん。但し、俺もあんたを殺す気は無いから、手足ぶった切って動けなくするところまでだ。」


「へぇ。・・・このあたしにデカい口叩くのね?・・・いいよ。・・・やろうか!!!」


 瞬間、剣聖ミリアナの魔力圧が莫大に増加した。纏った鎧が輝きだし、背負った大剣まで禍々しさを増大させている。・・・あれは『魔剣』の一種か?更に隣に控えていた巨大が白狼まで甚大な魔力を放出し始めた。・・・あれは、精霊獣か!また厄介なの連れてるなぁ。


 ちなみに精霊獣とは、獣型の精霊全般を指す言葉で、精霊は世界を構成するシステムの一部と考えられている。やつらの最大の特徴は『魔法』をほぼ無制限に駆使出来る事だ。と、いうのも『魔法』は自然の理に直接干渉、行使する為の『法』だからである。対して、人族は体内魔力を用いて『魔導術』という形で強引に世界に干渉する事で類似現象を展開するものである。


「アリア!剣聖は俺が相手をする!だから、あっちのデカいイヌッコロの相手を頼む!」


「了解です!ミリアナは紛ごう事無き強敵です。決して油断なさらぬように!――――さあ、ラース!久しぶりに私が相手をしてあげますよ。かかって来なさい!」


 アリアが勇ましい啖呵を切りながら未覚醒状態の『神滅の錫杖』をヒュンヒュンと両手で廻してからビシッと白狼に先端に向ける。・・・もはや聖女では無く完全に武闘者である。様になっている。


「よし、ラース! 久しぶりにアリアに遊んでもらえ!・・・無理はするな、捕まらない様に立ち回れ!

 じゃあ、こっちも始めようか。あたしは、剣聖ミリアナ=ヴァレンティ!、いざ勝負!」


「俺は、魔刀聖レオニス=アーカイン!、行くぞ!!」


 俺は召喚した自らのゴッドスレイヤー『神断の大太刀』を脇構えの型に構え、ミリアナを迎え撃つ。


 ミリアナの踏み込み。速い!踏み込み動作が伺えた次の瞬間には袈裟懸けの斬撃が俺に飛んできていた。なんという踏み込みと剣速だ!・・・だが、こちらも負けてはいない。素早く体を横に倒しながらの横薙ぎ一閃!こんな重い大剣とは打ち合わない。脇構えで刀先を後ろに構えているので相手は俺の大太刀のリーチを掴めていない筈。俺の刃がミリアナの左腿を刈り取るべく迫る。


 キィン!!!


 捉えたと思った瞬間、俺の大太刀とミリアナの大剣がかち合い鋭い金属音を奏でる。―――嘘だろ!?なんで追いつける!?・・・ミリアナは袈裟懸けの軌道を刹那に反転させて俺の大太刀を迎え撃った。


「マジか!?なんつー剣速だよ!!!!? 反則だろ!!?」


「いいね!!!久しぶりだよ、このヒリついた感じ!!!! あんたはホントに強い!!!」


 あまりに速い切り返しに俺が驚いてるのに対し、ミリアナは凄絶とも言える笑みを満面に浮かべて狂喜した。・・・あ、こいつ戦闘狂ってやつだ。だが、俺も負ける訳にはいかない!俺が負ければアリアはこいつを生きたまま押さえる事が出来なくなる。


「あんたこそな!!流石は剣聖様ってか!」


「そうとも!あたしこそが、『最強の剣聖』だ!!!!!」


 そこからは互いに動きを入れ替えながらの剣閃の応酬だ。縦横無尽に互いの刃が飛び交い、互いの肌を僅かづつ削り合っていく。俺としては剣速を維持したいので刃を極力合わせず、回避し切りたいが、相手の剣技がそれを許さない。

 しばらく打ち合いをしてから、一拍置くべく距離を取ろうとした矢先、ミリアナが突然頭を振り回して長いポニーテールの先端についた球状の髪飾りを俺の顔面目掛けてぶつけて来た。髪の毛も武器かよ!?

 背中ごと背後に反り返る事でなんとか回避した俺は、お返しとばかりに右足を振り上げてミリアナの顎を狙うも、彼女は顔を右に逸らす事で回避。だが、回避しきれず頬が浅く切り裂かれた。


「痛ッ、やるね!」


 振り上げた右足の勢いを利用して俺は宙返りを打ちながら牽制の一閃を繰り出すもミリアナは後ろに下がって回避した。・・・だが、これで距離が取れた。なんとか一息つける。


 仕切り直した俺達は、互いの間合い一歩手前まで近づき機を探り合う。向こうの大剣のリーチは長い。

 そこにアリアから声が掛かる。


「レオさん!ミリアナの大剣は『魔剣グラム』。その剣で付けられた傷には回復阻害の呪いが掛かります。ですので深い傷は即致命傷になりますので注意ください!」


 向こうはイヌッコロもとい精霊獣『ラース』と戦闘中だが、どうやらラースはあくまでの牽制のみを目的としているのか、むしろアリアの猛攻をなんとか回避してさばいている状態だ。と、いうかアリアさん?貴方、後衛職の『聖女』だよね?なんでそんなデカい精霊獣相手に近接戦で圧倒してるの?・・・あ、イヌッコロが派手に蹴飛ばされた。10メートルは吹っ飛んだな。痛そう。。


「・・・あんたとの剣の勝負は凄く楽しいんだけど。このままだとラースのほうが制圧されちゃいそうね。・・・しょうがないか。正真正銘の本気でいくよ!――――『精霊深化スピリットダイブ』!!!」


「――!!!しまった!!」


 ミリアナの発声と同時、アリアと戦っていた精霊獣ラースが即座にミリアナの背後に移動し、そのままミリアナの体内に溶け込む様に消えた。直後、ミリアナの全身を激しい白光が包んだ!


精霊深化スピリットダイブを使われた! レオさん、下がって! 今のミリアナは―――!!」


 アリアが焦ったような声を出す中、俺は突然ゾクッと寒くなる感覚を覚え、咄嗟に正面に大太刀を構えた。直後、凄まじい衝撃が俺を襲い、数十メートル程吹き飛ばされた。なんとか転倒は避けられたが今のは一体―――!?

 

「へぇ。ホント凄いよあんた。この状態のあたしの一撃を受けられるなんてね。」


 俺が元いた位置にはいつの間にかミリアナが立っていた。

 だが、その姿がこれまでと異なっている。ブロンドの長髪は髪留めが外れて風に巻かれるが如く波打っている。そしてその頭部には・・・獣耳。そう、ケモミミが生えていた!更にしっぽまで生えている。なんだあのあざとい恰好は!?ちょっと触りたい!!・・・なんて言っている場合じゃなさそうだ。纏う魔力圧から覇気からこれまでとは別人である。一体何が起きたんだ?


「これはね。あたしの固有スキル『精霊深化スピリットダイブ』。精霊と同化して全能力を大幅強化するスキルだよ。・・・ごめんね。・・・もう勝負にならないから、すぐ終わらすよ。」

  

 その言葉と同時、またも悪寒を感じて大太刀を自分の右方に構える。そしてまたも衝撃で吹き飛ばされるが、流石に二回目なら少しは往なせるかと思いきや、今度は正面からの悪寒に溜まらず大太刀を構えると再度剣撃による衝撃を受けて今度こそ吹き飛ばされた。――――不味い!体勢が崩れた!

 そして・・・既にミリアナが俺の眼前にいた。


「終わりだね。・・・きっとアリアが蘇生してくれるから・・ごめんね。」


 そういってミリアナが剣を振り下ろす。俺は体勢が崩されていて回避できない!

 と、その時、誰かが俺を横に突き飛ばした。・・・そして身代わりにミリアナの斬撃を受けた。





 「あ、あああああぁ、なんで、あなたが・・・」


 


 俺の目の前で、血塗れになって地に付しているのは・・・・・、

 



「ア、ア、ア・・アリアーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!」 





 俺の代わりにミリアナの斬撃をその背に受けたアリアだった・・・・・・・・・・。





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ