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第13話 追いついた過去

 思い掛けず、ヴォルカンと一緒に食事を取ることになった俺達だったが、ヴォルカンの持つ豊富且つ珍しい食材をふんだんに使ったアリアの手料理の数々を美味しく、楽しく頂いた。


『ふぅーー!うまかったの! こりゃ嬢ちゃんはええお嫁さんになるぞい!!』


「そんなぁ! ありがとうございます!」


「いやぁ、マジで美味かった!!ありがとな、アリア!」


 などと食後もアリアの手料理を絶賛していると、ヴォルカンが徐に部屋を出ていき、また暫くして戻って来た。何かを手に持ちながら。・・・なんだあれ?・・錫杖?・・・随分古惚けてるが・・。


『嬢ちゃんや。今日の料理の礼という訳じゃないじゃが・・嬢ちゃんに丁度良さそうなもんをやろう。」


 と、アリアに古惚けた錫杖を手渡した。


「!!、これは・・・何か凄い力を感じますね!・・・これは一体?」


『ほっほっ。流石、よく分かるのぅ。その杖は『神滅の錫杖』と呼ばれるゴッドスレイヤーの一つじゃ。いつの間にかこの家に迷い込んでのぅ。適合者を待っておったのじゃよ。・・・どうやら嬢ちゃんで当たりのようじゃな。』


 ゴッドスレイヤー?・・・それってこれが召喚した大太刀と同じ?どういう事だ?


「確かに大きな力を感じるのですが・・・まだ不完全な様に見えるのですが、これは一体・・・」


『そうじゃの。・・・つまり今のお主のままでは使えぬということじゃ。 じゃが・・・気が付いとるのでは無いか?」


「!!、・・・はい。そういう事ですか。・・・でしたら有り難く頂戴いたします。」


 ?なんだ?話に付いて行けないんだが。・・・まあ、アレが最悪なまくらでもいいか。そもそもアリアの杖の使い方ってちょっとおかしいし。先日狩りに行った時なんて、数百m遠方の大猪に杖を槍みたいにぶん投げて一突きで仕留めてたし。どこの蛮族だよってレベルだったな。・・・なら、この錫杖でも問題は無いのだろう、きっと。


「?・・・レオさん?今失礼な事を考えませんでしたか?」 

「いや!全然!」


 アリアがジト目で俺を睨んでくるがスルーだ。藪を突いて蛇がでたら敵わない。


『それとじゃ。坊主にも褒美をやろう。我が龍生体を倒して見せたからの。・・・なにか欲しいものはあるかの?』


 お?俺にも何かくれるのか?・・・何がいいかな?あっ、そうだ。あるかどうか分からないが一応聞いてみようか?


「じゃあ、太刀ってあるかな?・・・俺は大太刀の召喚が出来るけど、大太刀だと長すぎて場所によっては扱いづらい時もあるから、少し短めの太刀があると助かるんだが。一応今まで使って来たのがあるんだけど唯の数打ち品だから、もし上等な太刀が貰えると助かる。」


『太刀か・・・・・・。うむ。良さそうなのが一振りあったの。少し待っとれ。』


 ヴォルカンは再度部屋を出ていった。・・・どうやらいい物が有るらしい。言って見るもんだ。


「レオさん。・・・なんだが急展開で私、ちょっと戸惑ってます。魔人の事。女神様から賜る『職業スキル』の事も、実際には分からないことだらけ。まして神の思惑を探り出して神に対面するとか、そのまま神話の出来事です。・・・まさか、「それは、俺が託された事」とか言いませんよね?私も共に行きますよ、当然!・・・それに、ふ、夫婦は一緒にいた方が絶対いいんですから!」


 ・・・全くこっちが言いたい事を先に言われちまったよ。でも俺も言うけどな。俺は自分の台詞で顔を真っ赤にして悶えているアリアに改めて気持ちを伝えた。


「ああ、もちろんだ。俺は君と共に有りたくて魔人化までしたんだから。なにがあっても離さないし、ずっと君を守ると誓うよ。・・・だから、俺と結婚してくれないか?」


 俺のプロポーズの言葉にアリアは一瞬眼を見開き、それから俺が大好きな花のような笑顔で答えてくれた。


「はい! こちらこそよろしくお願いします。とっても・・とっても嬉しいです。」


 俺達はどちらからとも無く歩み寄り、そして抱き合っていた。・・・アリアが空から降って来て20日程。俺の人生は予想とは全く違う方向に動き出した。これから様々な問題が押し寄せてくる気がしているけど、同時にワクワクもしている。この子と一緒なら何とでもなるって根拠は無くとも強く、そう思えた。ホント、ずっと女神の事は嫌いだったが、彼女に合わせてくれた事だけは感謝の念で一杯だ。



『やれやれ。ちょっと目を話すと主らは乳繰り合いよってからに。・・・・・・じゃが、一旦中断せよ。お主らにお客の様じゃ。なんぞ尋常では無い気配を持つものが我が広場に来たようじゃ。』 









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 同刻、


 火山地帯にある『主』ことヴォルカンの広場に、只ならぬ気を漂わせた者が足を踏み入れて来た。その姿は女性のものであり、後頭部の辺りで一つに束ねられた長い金髪は埃にまみれ、その白き肌も砂泥で汚れている。そして、空色の瞳には深い悲しみと共に抑えきれぬ憤怒の色を携えていた。その背に刃渡り1.5mもある幅広な大剣を背負い、更に、隣には全高2mを超す大きな白狼を連れている。

 

 そんな彼女は外套を靡かせながら広場中央に歩を進めていく。



 彼女の名は、ミリアナ=ヴァレンティ。ブレイブヤード王国が擁する剣聖であり、アリアのかつての友でありながら、過去に彼女を陥れた一人である。




「此処に・・・いるの、アリア。・・・とうとう・・・」





 そのカサカサに割れた唇から怒りと悲しみとも取れぬ、呟きが漏れた。








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