地区予選リーグのやべーやつ
~東海大相模原 監督~
秋季の地区大会の抽選があった。
同じリーグには脅威に思えるチームはいないと思われ、その中では相模原恒星が2位通過しそうな印象。
いつもであれば控えメンバーを中心にリーグ戦を進めるが、今年はレギュラーの方からリーグ戦に出たい旨を伝えられた。どうやら愛川総合のエースがとても良い投手らしい。小耳には挟んだことがあるが、それほどなのか。そのほかにも連合チームにもとても良い投手がいるらしい。本人談によるとうちのエースよりも上だと言う。恐らく彼の性質的に見間違いであるが。
仕方なく、愛川総合戦と四校連合戦はレギュラーの希望者をスタメンに入れることにした。
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2日目、四校連合戦。確かに彼を見た時にそのチームには似合わないエースの風格を漂わせていた。
同じ北相地区の高校。しかし、名前を聞いてもピンとこなかった。また、驚いたのは津久井西の大井くんだ。スカウトからも彼の打撃力は目を見張るものがあると報告を受けていたので単独出場すら難しいようなチームにいるのが驚きだった。でも、おかげさまで副産物が出来た。今日は梅原を調整登板させる予定だからだ。大井くんレベルが相手だとより効果的であろう。
試合が始まった。
驚きの連続だった。
エース西原くんは初回から150km近いストレートを連発。控えが多いとはいえ打撃力に自信がある選手でさえも快音が響かない。
バックはお世辞にも上手いとは言えない守備だが、これまで当たったどの連合チームよりもレベルは高いだろう。特に二遊間は中堅と遜色ない印象だ。
梅原が珍しく投げにくそうな顔をしている。ここまで6回を投げて無安打に抑えているものの、やはり5番の大井くんはとても脅威に感じている印象。その大井くんを上回っているのが2番の上島くん。ヒットこそ出ていないが梅原の球を軽くフェンスギリギリまで飛ばす。
8回。やっと試合が動いた。ここまで1安打だったことから打撃力に自信のある選手を代打として連続投入。これが功を奏し3安打2得点で先制。
その裏、ついに大井くんにツーベースヒットを打たれる。
しかし、そのあとも逃げ切り2-0で勝利。監督生命で一番緊迫したリーグ戦といっても過言ではなかろうか。
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なんとも素晴らしいチームがあったことか。
一位通過こそしたが、そのあとの愛川総合戦も苦戦する予想外のリーグ戦となった。
油断は禁物。そう思っていたがやはり生徒たちにはまだ心の隙間があったのだろう。
県大会準々決勝、松栄にコールド負けを喫した。