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衝撃の夏

(某高校野球専門誌、神奈川大会評)


今年の夏の大会は神奈川県の高校野球事情が動く前兆といっても過言ではないだろう。


優勝こそ名門の横浜だが、ベスト8の半分はノーシードという大荒れの展開となった。

☆は優先第一シード、◎は優先第二シード、〇は第一シード、△は第二シード

優勝:☆横浜(2年ぶり42回目)

準優勝:△市立横浜商業

ベスト4:松栄、◎東海大相模原

ベスト8:県立横浜商業、川崎橘、△鎌倉学院、〇桐蔭学園


顕著だったのは松栄の躍進だ。


これまでは2回戦突破がせいぜいで最高成績は12年前のベスト32。


今年の松栄は違った。背番号一桁のうち7人が1年生というフレッシュな顔ぶれ。関東のトップ勢が集結した。


投手陣も厚く、準決勝も延長12回の激闘の末敗れた。


1回戦をコールドで突破すると2回戦のブロック第一シードの神奈川商大付を完封で破る。その後の破竹の勢いでベスト4まで進んだ。


その松栄を1番苦しめた四校連合の存在も忘れてはいけない。


連合チームで最高成績となるベスト16の原動力となった宮ヶ瀬高校の1年生バッテリーも将来が楽しみだ。


県立横浜商業や川崎橘もノーシードながらベスト8入りした。


その他にも優勝候補の日大横浜を2回戦で破ってベスト16入りした川崎西商や少人数ながらも横浜学園・横須賀明成といった強豪を倒した光陵も注目すべきか。


<神奈川県大会2回戦 由比ヶ浜・三井(背番号1・2年)>


連合チーム同士の勝者と当たると決まった時、気が緩んだのかもしれない。


初戦を切り抜けて迎えた2回戦。予想の山北連合ではなく四校連合が勝ち上がってきた。


ただ、早く点を取ってあわよくばコールドで勝ちたい。それだけしか考えていなかった。


その思いは初回から砕け散る。


相手の先発は1年生ながらもエースらしい。言われてみれば体格もしっかりしている。


先頭のバッターボックスに立った時恐怖を感じた。強投手特有のオーラが出ていたに違いない。


初球ど真ん中。反応できなかった。球速表示を見ると142㎞。呆気に取られている間に三球三振。


気付けば8回。やっとの思いでフォアボールでランナーを出したが進めれず。


高校野球人生の中で一番の好投と言っても過言ではない。しかし、投手が変わっても最後まで相手を捉えることが出来なかった・・・。


<神奈川県大会4回戦 横浜金沢・とあるベンチ外選手(2年)>


試合前の準備を見て今年一番驚いた。


相手の連合チームの中に見知った顔がいた。津久井西の大井祥平。中学時代に対戦して打ち込まれた記憶がある。どうしてこんな連合チームなんかに?しかも4番じゃなくて5番?4番は一体何者なのか?


そんな疑問を頭に抱えながら試合が始まった。


連合チーム?なにそれおいしいの?


これがこの試合を表現する感想だ。


初回、連合の猛攻で6点を先制される。


そのあと見たことも聞いたこともない1年生ピッチャーに完ぺきに抑えられる。


そのあとチームが流れに乗れずまさかのコールド負け。


呆気に取られて皆動けなかった。

<神奈川県大会5回戦 観客>


今日の第1試合が注目カードだったので見に行った。

結果は拍子抜けするくらいに横浜の圧勝だった。

これなら、第2試合もという気持ちで第2試合を見た。


確かこのブロックは神奈川商大付のブロックだったな。第二シードは横浜金沢か。そこそこだな。

神奈川商大付と横浜金沢か川崎工業のどっちかかな。という予想だったが案内板を見てブロックを間違えていたのではないか?と組み合わせ表を何度も見た。


松栄?どこだ?四校連合?え?連合?


戦績を見ると松栄は神奈川商大付に完勝しているし四校連合は横浜金沢にコールド勝ち。もう意味が分からなかった。


実際試合を見ると余計意味が分からなかった。


連合の先発は上島くんというらしい。背番号2を付けているからエースではないようだ。


それにしてもこれでエースではない?序盤に点を取られたとはいえ平均130キロ後半のストレートにキレのあるスライダーとフォーク。今日の横浜の控え先発と同じかそれ以上だぞ。


松栄のほうも聞いたことない割にはとてもプレーが上手い印象。エースの上野くんは1年生らしい。これまた140キロ前半のストレートと130キロのツーシームと90キロのカーブがとても高いレベルで安定している。


息詰まる展開になってきた5回。連合チームの背番号1がマウンドに上がった。


投球練習を見た限りでは上島くんと同じくらいという印象を受けたがバッターと対峙したときのオーラを見て確信した。これ本物だ。


いきなり146㎞。もう訳が分からない。


気が付けば9回。5回裏に犠牲フライで点を取られてさらにギアが上がった松栄ナインを前に手も足も出ない。万事休すかと思われた。


ここまで連合チームは1年生バッテリーにしか注目していなかったがこの回他の選手にも目を見張ることとなった。大井くんだ。先頭バッターがフォアボールで出塁して送りバントで1死2塁。ノースリーからの4球目の甘い球を見逃さずに場外へ。なんだこれは。


その後延長戦へ。あの背番号1は140キロ後半を維持したまま13回へ。

松栄は投手4人がかりで抑える。しかしよくもまあ投手層が厚い。


13回。セーフティバントを処理できなかったところから崩れてしまった。

無死満塁という状況で力んで満塁弾を打たれたところで糸が切れてしまったのであろう。

その後は130キロ前半を超えることはなかった。


そのあと、松栄5人目のピッチャーにも驚いた。ここにきて150キロ投手は打てない。


いやしかし、いい試合を見た。

後で調べると松栄は1年生中心のチームらしいし連合チームの主力選手もまだ次の大会がある。


2年後が楽しみだ。

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