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死神

作者: 篁 昴流

かつて自己のHPに掲載していた作品ですが、サーバーのサービス終了に伴いこちらに供養として再掲。

『死神』

 人を死へいざなう悪神 

     [新小辞林 第三版より]


「・・・・・・ざけんなよ、コラ」

 一本の電柱の頂上に胡坐を組んで座った、オフホワイトのシンプルなワンピースを身につけた小柄な少女が、小型の国語辞典を片手に、おもむろにそう呟いた。

「死へいざなうだ~?しかも言うに事欠いて悪神だ?冗談じゃない!ったく、勝手にイメージ作り上げた挙句に辞書にまで載せやがって。そもそも見た事あんのか?っての。 偏見にも程ってもんがあんぜ、そう思わねぇ?」

 なぁ、シルビア? と少女が顔を後ろに反らす。

少女の後ろには、少女とは対照的な、全身黒ずくめの服をまとった、端整な顔立ちの青年――シルビアが、宙に浮きながら、呆れたような・・・いや、明らかに呆れた表情で少女を見下ろしていた。

 シルビアは、ため息を一つつくと、

「シーマさぁ、いい加減その言葉遣いどーにかならない訳?上品にしろ、とは言わないけど、女の子なんだから、せめてそれ相応の言葉があるだろう?」

「いいだろ、普段の喋り方ぐらい。 カミサマの御前ではちゃんとやってんだから。それより、さっきの答えは?」

「まぁ、いくら普通の人間には見えないからって、確かに変な偏見は持ちすぎだな。オレ達は人を死なせてるんじゃなくて、死んだ人間の魂をちゃんと送り届けてるだけなんだからな、しかも神の命令で」

「少しは有難がってもらっても良いくらいだぜ。オレ等が居なけりゃ、死んだ人間はそれこそ路頭に迷う事になるんだからよー」

 シーマは、ふてくされた様子で足を組みなおす。

 と、シーマのワンピースの裾が、ヒラッと捲れあがった。だが、シーマに気にする様子は全く見られない。

 まったく、どうしてシーマは女らしさってものを取り戻せないのか。

再び盛大なため息をつきながら、シルビアがシーマの隣に移動して来てその腕をつかんで立ち上がらせ、

「シーマ、そろそろ今日の仕事の確認」

「へーへー、分かってるよ」

 ゴソゴソと、シーマが胸のポケットから携帯死籍帳を取り出し、今日の、お迎え、を確かめる。

「今日は―――、一人。佐崎 美奈、21歳。一週間前に交通事故にあって昏睡状態に、で、今日の午後4時28分がお迎えの時間」

 美奈、と言う女性の名前を聞いて、シルビアの目が一気に鋭くなる。

「女性か!やりがいがあるね、今日の仕事は」

「そりゃお前だけだよ!この女ッタラシ!」

 行くぞ!とシーマはさっさと空へ飛び出していく。

 その後を、ニヤニヤとした表情を浮かべたシルビアが追いかけていった。



 シーマとシルビアの二人は、病院の屋上に降りると、もう一度死籍帳を開いた。

「それにしても、この娘もかわいそうに。こんな若さで死ぬなんてさ、しかも、この交通事故、ちょっといわく有り気だね」

「ああ、ただの事故、じゃねぇよな。犯人は捕まってるし、書類上は解決してるみたいだけど、恨みが濃い……、殺されたって考えた方がいいなこりゃ」

「ひょっとしたら、一筋縄では行かないかもね、この仕事」

「ったく、素直なヤツであってほしいね」




 ピッ・・ピッ・・・・・ピッ・・・ピッ、と不規則に心電の電子音が鳴り響く、真っ白な壁の殺風景な病室の中、やはり白いシーツとフトンのベッドに、女性が横たわっている。

 その横では、医者と数名の看護士があわただしく動いていた。

 

 ピ―――――――――


 と、電子音が、心停止の音を響かせる。

 その後、しばらく懸命な蘇生処置が行われたが、電子音は心停止音を響かせたままだった。

「16時28分、ご臨終です」




(何、コレ? 私、死んだの?)

 病院の入院服をまとった美奈が、呆然とした様子で自分の両手をみつめながらポツリと呟いた。

 そんな美奈に、後ろから誰かが声を掛けてきた。

「察しが良くて助かるよ。佐崎 美奈さん」

(誰!?)

 バッと、後ろを勢いよく振り返ると、そこには宙に浮かんだ青年と少女の二人組み、シルビアとシーマが美奈を冷静な眼で見据えていた。

 訝しげに二人を見る美奈に、シルビアが近づき、やんわりと迎えの言葉を告げる。

「死神です。あなたの魂を、お迎えにあがりました」

(死神?私、地獄行きって事?)

「それは、審判で決まることです。我々にはわかりませんよ。死神は、神の命により死んだ人間の魂をきちんとお送りするのが、仕事ですから」

「じゃあ行こうぜ、死んだって自覚できてるなら話は早い」

 ほら、とシーマが差し出した手を見て、美奈は、嫌と叫びながらその手を払い除けた。

(嫌よ!まだ、まだあの世なんかに行く訳には行かないわ!)

「どうして?人の魂は死んだまま放っておけば、地上に拘束されてしまい、天に上がる事が困難になる。今のうちに逝ったほうが、あなたの為ですよ?」

(ダメ!嫌よ!私、このままじゃ死んでも死にきれない! わたし……私は、殺されたのよ!?成仏なんて出来るもんですか!)

 美奈のその叫びに、シーマとシルビアは、同時に顔を見合わせて、大きくため息をついた。

「「やっぱりか」」

 ガクッ、と項垂れる二人に、美奈がくってかかった。

(そうよ、チョット!アンタ達死神なんでしょ?! だったら、私を殺したヤツも、いえ、私を殺すよう仕向けたヤツも死なせてよ!出来るでしょ?死神だもの)

 私だけが死んでたまるか。

 必死の形相で一気に捲くし立てる。

「いや、それは……」

「あのなー、勘違いすんなよ!」

 シルビアを遮って、シーマが詰め寄る。

「オレ達死神は神の命令を受けて、死んだ人間の魂をきっちりと上へ届け審判を受けさせるのが仕事なんだよ。その、オレらが殺してるかのような言い方、止めろよな!?」

(そ、そうなの?ごめんなさい)

「え、いや、そう素直に謝られると……」

 美奈の意外に素直な対応に、シーマも戸惑った声になる。

「美奈ちゃん、君は素直でイイ子だ。だから、それだけに復讐なんて考えずに、キレイなまま上がるべきだと、オレは思うけどね」

「なんだよ、シルビア。営業用の喋りはヤメか?」

「チャチャを入れるな、シーマ」

(でも、私、どうしてもあの女だけは許せない!ねぇ、方法が無いわけじゃ無いんでしょ!? お願い!たとえ地獄へ落ちる事になったとしても構わない!あの女を殺す方法を教えて!どうすればいいの!?)

 美奈は、拳を震えさせながら二人に懇願した。

 その瞳には、美奈の硬い決意が浮かぶ。

 必ず、復讐してやる。

 そんな美奈を見て、シーマは、フーッ、とため息を吐き、

「とりあえずさー、話し聞かせてくんない?こっちが分かってんのは、アンタが殺された、って事だけで、詳しい事は知らないんだよね」

(……ええ)

 美奈は、一瞬躊躇い、頷いた。

「なんだかんだ言って甘いよね、シーマも」

「ほっとけ」



(私は、あの女、宮内 毬絵に殺された。いいえ、正確に言うなら、あの女が私を殺させたのよ。 私は、本当ならあの事故のあった日の3ヶ月後に結婚する筈だった。相手は同じ会社の先輩だった。彼は、将来を有望視されているエリートで実家も資産家と言う人なの。それなのに厭味なところも無くて、女子社員の憧れの的だった。それは、毬絵も例外ではなかったわ。でも、彼は何故か私を気に入ってくれて、私は彼と付き合うようになった。 けれど、それと同時に陰湿な嫌がらせが始まったの。家に無言電話が何回もかかって来るようになったり、ロッカーや引き出しの中が荒らされたり。会社に私を中傷するビラが撒かれた事もあったわ)

「なんて事だ、君のようにか弱いお嬢さんをそんなやり方で脅すとは。酷い事をするヤツがいる」

「黙って聞け!」

(でも、誰の仕業かも分からなくて、私はすっかり精神的に参ってしまっていた。そんな時、彼からプロポーズされたの。 本当に嬉しかった。きっとこれから幸せになれるって、けれど……)

「あの事故って訳か」

(そう)

「けどさー、なんでその毬絵って女が仕向けたって分かるんだ?」

(事故の直前、私の携帯に電話がかかって来たの。 毬絵からだった。毬絵は私に、今から結婚祝いをあげるから受け取ってちょうだい、って言ってきたの。訳もなくゾッとして、どういう意味か聞き返そうとしたけど、次の瞬間には私は後ろから突っ込んできた車に撥ねられていたの。薄れていく意識の中で、それでも私は確実に聞いたわ。携帯電話の向こうで、毬絵が高笑いをしながら、受け取ってくれて嬉しいわ、って言ったのを!)

 予想以上の性悪さに、シーマとシルビアが、辟易とした声で呟く。

「最悪だな」

「それは、ひどいね」

 そんな二人の感想を聞いて、美奈が勢いを取り戻す。

(これで分かったでしょう!?私は、あの女がどうしても許せない!やっと、やっと幸せになれるところだったのに! だから、教えてよ、あの女を殺す方法を。私幽霊なんだもの、呪うとかタタるとか出来る筈じゃない!)

 シーマは一つため息を吐き、

「……確かに、その毬絵ってヤツを殺す方法は無い訳じゃあない」

「シーマ?」

(だったら!)

「でもな、それをすれば確実にアンタは地獄行きになるだろう。この先転生する事もなく、苦しみだけが待ってる。それでもいいのか?」

(かまわないわ!あの女も道連れよ!)

「アンタの子どもも一緒に地獄に落ちる事になるんだぞ?」

(……え?)

「子ども?」

 シーマの科白に、シルビアが驚いて美奈を見た。

美奈は目を見開いて、自分の腹部に手当てている。

信じられない……、そんな想いが美奈の胸の中を駆け巡る。

「知らなかったのか? まぁ、まだ一ヶ月チョイじゃ自覚無くても不思議じゃねぇか」

「シーマの方こそ、どうして?」

「コレだよ」

 コレ、とシーマがシルビアに死籍帳を開いて見せる。

「予定死なら、早いうちに書き込まれるけど、母親が死んで一緒に死んだ胎児とか、即死の事故死者とかは、いきなり出てくるだろ?」

「なーる。女の勘じゃなかったのかッ」

 バシッ!

っと、シーマが死籍帳でシルビアの頭をぶっ叩く。

(あか、ちゃん、私と陽介さんの……)

 放心したように、美奈がつぶやいた。

 そんな美奈に目線を合わせながら、シーマがはもう一度美奈に問いかける。

「どーする。復讐なんかして、あの女を道連れにするのはアンタの勝手かも知れないけど、赤ん坊まで地獄に道連れにするのは、流石に嫌だろ?」

(この子だけでも、別に天国へ行かせてあげる事は出来ないの?)

 美奈の声が震えている。

 無理も無い。

 死んだ後に、己の胎内に宿った子どもの存在を知らされたのだから。

 シーマは、淡々とした声で、

「悪いけど、それは無理だな。胎児ってのは個別で死んだ場合は生きてる母親の魂とは切り離れるけど、母親が死んで胎児も死んだって時は、母親の魂と繋がったままになるんだ。母親と胎児は、へその緒で繋がってるから」

(そんな……)

 へなへなとその場へたり込む美奈に、シルビアが手を差し伸べながら、

「美奈ちゃん、前世で深い関わりがあった人同士ってのは、来世でも近い人間関係で生まれるんだよ。きっと、来世でもその子の母親になれる。なんてったって、魂が繋がってるんだから。だからさ、上へ行こう?」

 

(……分かったわ)

「じゃあ、」

(けどっ! その前に、もう一度陽介に会いの。それくらいなら、いいでしょ?)

「ああ、いいよ」

「オレらも一緒だけどな」

(それは仕方ないわね)



 美奈を先頭に、三人がふよふよと空を飛びながら陽介のマンションに向かっていると、

(そーいえば、チョットだけ気になった事があるんだけど、聞いてもいい?)

「かまわないよ。美奈ちゃんの質問なら。なんなりと聞いてくれ」

(シーマさんと、シルビアさん、って、恋人同士なの?)

「「はあ?!」」

 美奈の爆弾発言に、シーマとシルビアが急停止して大声を上げた。

「冗談じゃねぇ!なんでオレがこの女ッタラシと!!?」

「オレの好みは、もっと色気のある美人なんでね。これ以上成長しないコイツは初めから対象にすらならないな」

(ふーん、仲はいいのね)

クスクスと口元に手をあてて笑いながら、

(死神って、そもそもどういうモノなの?神様が生み出してるとか?)

「……いや、オレ達も元々は普通の人間だよ」

(そうなの!?)

 予想外の言葉に、美奈が驚いて声を上げる。

「ああ、死んだ人間の中から、チョット難アリの人間が選ばれて死神に任命されるんだ」

(難アリって?)

「ま、色々あるけど、転生させる訳にもいかず、かと言って地獄に行かせるほどでもなく、って感じの微妙なヤツが大体かな」

(それって、どういう事なの?)

「これ以上は、チョットな。一応、守秘義務ってもんがあるからよ。ま、死神ってのは言わば、死後の世界の公務員ってヤツだ」

(ふーん、……あ、)

 突然、美奈がある一方を凝視して立ち止まった。

「どうした?」

(……毬絵)

 シーマとシルビアが、美奈の視線を追う。

 その先には、いかにも高そうな服やバッグを身につけた女性が、カフェのオープンテラスの一角に、座っていた。

「ありゃ、凄ぇや。あの女、相当色んな怨みかってるぜ。周りをドロドロした念の集団が取り巻いてる」

 シーマが顔をしかめながら毬絵を見る。

(そんなのが見えるの?)

「うん。死神は特別な眼を持ってるからね。でも、怨みつらみの念を弾き飛ばす、何かも彼女は持ってるようだね。本人の力とは思えないけど」

(…………)

「大丈夫か?」

 自分を殺した女を目の前にして、美奈がまた復讐の念を持ち始めてはいないか、とシーマが美奈を見る。

 何しろ、自分だけでなく、まだ存在にすら気付いていなかった子どもまで死ぬ事になったのだから、新たに毬絵を恨む気持ちがこみ上げてきても不思議ではない。

(大丈夫、この子がいるから)

 だが美奈は、生まれてくる事は無かったけれど、確かに自分に宿った子の母親としての母性が、恨みの心を中和しているようだった。

「あの女、待ち合わせだったみたいだぜ」

 シーマの言うとおり、美奈は丁度、店の隣に乗りつけてきた黒い高級車に乗り込んでいた。

 そのまま車は走り出し交差点で信号待ちをしている。

「オレ、チョット……。シーマと美奈ちゃんはマンションへ行ってて」

「ああ、分かった。 行こ」

(え、でも……)

「いいから、シルビアにはシルビアの考えがあるんだろ。それより、時間がなくなるぜ。あんまりこの世界に長居は出来ないからな」

(ええ、そうね)

 


 美奈とシーマは、陽介の部屋に窓からすり抜けて入った。

(陽介さん)

 陽介は、薄暗い部屋の中、電気も付けずにソファーに項垂れて座り込んでいた。

 時折、消え入りそうな声で、美奈……、と呟いている。

「病院からか、連絡はもう行ってるみたいだな」

(陽介さん、陽介さん! 私はここに居るわ!お願い、気付いて!陽介さん!!)

 感極まった美奈が叫びだす。

 だが、陽介は気付く筈もなく、相変わらず項垂れている。

 そんな陽介に、美奈が縋り付く。

 触れようとしても、通り抜けてしまうのにもかまわず、美奈は陽介に必死で触れようとしていた。

(気付いてぇ……)

 そのまま、泣き崩れ座り込む。

「はぁ……特別サービスだからな」

(え?)

 言うが早いか、シーマは美奈に身体を合わせる。と、同時に二人の身体が混ざり合うように同化して言った。

「何?何をしたの……?」

「み、美奈?」

「え、」

 キョロキョロと周りを見回している美奈に、陽介が呼びかける。

 その声に、美奈は驚いて陽介の顔を見た。

「美奈っ」

「陽介さん、私が見えるの?」

 陽介が美奈を抱きしめる。

 呆然とする美奈の頭の中で、シーマの声が響く。

『特別サービスだからな!10分間だけオレの身体を貸してやる。アンタの幽体を表面に見せてあるから、見た目はアンタのままだ。けど、勘違いすんな、あくまでオレの身体だからな!』

「シーマさん、ありがとう」

 美奈は、納得すると、10分間だけの肉体で陽介の身体を抱きしめ返した。


「美奈、美奈、生きてたのか?それとも、僕は夢を見てるのか……?」

「いいえ、陽介さん。私は本当はもう死んでしまったわ。でも、コレは夢ではないの。死神が来て、私にチョット力を貸してくれたのよ。 陽介さん、お別れを言いに来たの」

「そんな、そんなバカな。だって、美奈は今僕の前にいて、こうして触れているじゃないか」

「本当の事よ。だから、お願い。陽介さんは、幸せになってね。私の分も。……そして、私のお墓に、私の大好きな向日葵の花を一杯もって会いに来て」

「美奈」

「それと、ゴメンね。 私のお腹に、私と陽介さんの赤ちゃんが居たの……」

「子、ども?」

「そう。 陽介さん、私の最後のお願いよ。この子に名前を付けて。男の子か女の子かは分からないけど、いい名前を。きっと、生まれ変わったら、また陽介さんと今度こそ幸せになって、この子を産むためにも、ね」

「ああ……ああ、そうだな。そう、ヒカル……光はどうだ?いつでも明るく人を照らす存在になるように」

「素敵!私、気に入ったわ。 光、今度こそ、会いましょうね」

 美奈が、お腹に手を当てて言う。

 陽介も、美奈に習ってお腹に手を当てた。

「……陽介さん、私、そろそろ行かないと」

「美奈、ダメだ!行かないでくれ!」

「そうはいかないわ。だって、もう決まった事だもの。……さようなら、陽介」

 美奈が、陽介から離れて別れを告げる。

「みっ……」

 陽介は、美奈に手を伸ばしかけたが、その手を握り、腕を下ろした。

「さよなら、美奈。また、な」

「ええ」

 また……、

 その言葉を最後に、美奈は陽介の前から姿をスッと消した。



「満足か?」

(ええ、ありがとう、シーマさん)

「じゃ、そろそろ行くか?」

(そうね、行かなきゃ、ね。……シルビアさんは?)

「あー、アイツ、チョット野暮用が出来たらしくてな。ヨロシク言ってたぜ」

(そう、残念ね、もう一度会いたかったわ)

「悪いな、じゃ、逝こう」

 シーマは、美奈の魂をつれ、審判の門まで一気に上がっていった。

 門の前で、美奈を放す。

「ココからは、アンタだけの道だ。この先で、審判がくだり、この後の事が決まる。ま、ガンバンナ。ひょっとしたら、また何処かで会うかもな」

(色々ありがとう、迷惑かけちゃって)

「コレが仕事だからな。……あ、」

 シーマが声をひそめながら、

「あの特別サービスの事は、出来るだけ、内緒な。実は、あんまやっちゃマズイんだ」

 片目を瞑りながら、頬をかく。

(分かったわ。本当に、ありがとう)

 くすり、と笑みがこぼれる。

 そして、美奈は口元を引き締め、審判の門を潜って行った。

 シーマは、その様子を最後まで見届けると、即座に踵を返し、人間界へと戻った。




「シーマ、こっちだ」

「シルビア、どうだ?アイツの様子は」

 人間界に戻ったシーマは、シルビアの気配を探り、一つの高級ホテルへと飛んでいた。

「たいしたタマだよ、あの女。随分羽振りのいい事だと思ったら、やくざもんと繋がってる。……美奈ちゃんは、どうだった?」

「ああ、スッキリしたもんだったよ。チョット、身体貸してやった」

「全く、やっぱり甘いね、シーマは」

「人の事言えんのか?」

「おっしゃる通り」

「で?どうするんだよ?」

 シーマの問いに、シルビアがニッと意味深な笑みを浮かべた。

「ま、見ててごらん」

「?」


 しばらくすると、ホテルの前に救急車がやってきて、ホテルの中から一人の患者を運び出し、サイレンを鳴らしながら慌しく走り去っていった。

 ホテルのロビーには、しばらくの間野次馬が何人も集まり、ヒソヒソと運ばれていった患者の事を話しあっている。

「若いお嬢さんらしいねぇ……」

「突然部屋で苦しみだして倒れたって……」

「ロビーで対応した係員が……」

 どこからかぎつけているのやら、野次馬の情報はどんどん膨れ上がっていく。

 その内容と、先ほど運ばれていった患者の背丈などから推測するに…、

「シルビア……お前、まさか」

「そ、さっき運ばれていったのは、毬絵だよ。慌てて運んだって、もう助からないけどね。死因は心臓麻痺」

 シーマは、シルビアに美奈の子どもの死が浮かんだ死籍帳を見せたとき、そのまま渡しっぱなしだった事を思い出した。

 シルビアに死籍帳を出させると、ひったくる様にそれを取り返し、ページを開く。

 そのページには、はっきりと、毬絵の名が記されていた。

「お前、死籍帳を書き換えたな?!」

「まあね」

「まあねって、前にやった時の事忘れたのか!?あの時、年季が50年も増やされたじゃねぇか!またこんな事して、更にお前の年季が増えるんだぞ?」

「オレは慣れっこだからいいんだよ。どうしてシーマが怒るわけ?」

「だから!なんでオレにやらせなかったんだよっ!オレの方が今のところ残った年季が短いんだから……」

「だからだよ」

「?」

「シーマはもう何十年もこうして死神を続けてる、色々無茶するせいで、年季が延ばされたりしてさ」

「それは、シルビアだって同じ事だろうが!それに、オレの方が先に死んでたから、10年ほどオレの方が職歴長いけど、オレもお前も同い年なんだから、かわんねぇだろ」

「でも、オレはやっぱり女の子には優しくがモットーでね」

「オレを女の子扱いスンナ。大体、オレはお前のパートナーだろうが。これまでも、この先もよ」

 シルビアが複雑そうな表情でシーマを見つめる。

「さ、帰ろーぜ。どうせ、帰る早々査問会か始末書室直行だろうけど」

 そんなシルビアを気にせぬ様子で、腕を頭の後ろで組んだシーマが明るく言った。




「ばっかもーん!!!!」

 シーマやシルビアの属する死神たちの職場である、閻魔庁・日本管理局、第二課室に戻った二人を待ち構えていたのは、上司である二課課長・バサラの怒鳴り声だった。

 ビリビリと窓ガラスが震えるほどの大声を出しながら、ダンッ!と机を拳で叩く。

「コレまでも色々とやってきてくれたが、死籍帳の書き換えは二度とするでないと言っておいた筈だぞシルビア!」

 額に青筋を浮かべながらバサラは更にシーマに目を向け、

「シーマ!お前はお前で、イチイチ死者に深入りするなとあれほど言ったにも関わらず、また何かと世話をやいた様だな!」

「「すみませんでしたー」」

 もうしません。

 バサラの怒声を右から左に聞き流しつつ、二人は声をそろえて謝辞を述べる。

 その声に反省の色は全く伺えなかったが。

「で、始末書書けばいいですか?」

「それとも査問会ですか?」

 慣れたもので、そう問う二人に、バサラは額に手を当て、うう、と呻いた。

 この二人にはもう何を言っても無駄かもしれん。

 今更ながら、そう思い悩むバサラに追い討ちを掛けるように、第一課(事務処理課)から苦情・始末書云々の連絡書の山がバサラの机に、デンッ、と届けられた。

「あらら、課長、大変なことで」

 シルビアのまるで無責任な言葉に、バサラの堪忍袋の緒が、プチッ、と切れた。

「二人とも査問会行きだー!!! さっさと行けー!!!!!」

「「ハイッ」」

 第二課室から飛び出すように退室した二人は、その勢いのまま査問会議室へ入り、バサラ以上に渋い顔をした査問委員達から、予想通り、年季の更新を告げられたのだった。


 査問会から開放され、二人は再び第二課室に戻るべく、長い廊下を歩いていた。

 査問会で突きつけられた、年季更新の辞令書を眺めながら、

「あー、くそ、プラス7年かよー。ってぇ事は、オレはあと39年か……」

「オレはまたプラス50年で合計116年になったか」

 随分差がひらいた。

 シルビアがそう思っていると、パシンッ、と後ろから頭を叩かれた。

「なにすんの?シーマ」

 大して痛くも無かったが、叩かれた頭を軽くさすりながら、シーマを見下ろす。

「オレにやらせりゃ良かったのに、今のお前の年季、オレの三倍はあるじゃねぇかよ、このバカ!」

 もう一度、シーマの平手がシルビアの後頭部を襲う。

「シーマ……痛いって」

「とにかく!次やる様な事があったら今度はオレがやるからな! もし約束破ったら、絶交だぞ!」

 シーマは、シルビアの前に回ってそういうと、先に第二課室の方へ走っていってしまった。

 後に残されたシルビアは、シーマの後姿を見ながら、

「絶交って、小学生かシーマは、まあそこが可愛いんだけど……ああ、でもシーマは13歳で死んだんだったっけ……」

 そうつぶやきながら、シルビアは、言いようの無いやるせなさが胸にこみ上げてくるのを感じた。


 シーマから遅れる事数分で、シルビアは第二課室に戻ってきた。

「おお、やっと戻ってきたか。シルビア、お前もチョット来い」

 部屋に入るなり、バサラの呼び出しをくらいそちらを向くと、すでにシーマもそこに立っていた。

 まだ何か説教か?

 と、しぶしぶシーマの隣に並ぶ。

「ゴホン。 査問会ご苦労だった。また随分と年季が伸びたようだが……、まあこれはいつもの事だから省くぞ。 本題に入ろう。今回、ウチに新人が入る事になった。そこで、お主らがしばらくその新人の指導をしてやれ」

「え?でも死神は二人一組が基本ですよね?コンビはどちらかの年季が終わらない限り変わる事も無いと思ってましたが?」

「いま一人になってるヤツがおらんだろうが。 だが、幸い半年後には、セフィーロが年季を終える予定だ。それまで、仕事の内容を、“ベテラン”のお前らが教えてやれ。 ただし!いらん事は一切教えるな!第3のお前らの出現だけは止めてくれ、いいな?」

「はあ」

「ってかさー、だったらオレらじゃなくて、もっと別の、パルサーとエルグランドのペア辺りに任せた方がいいんじゃねぇんすか?」

 最もな意見である。

 普通なら、問題コンビである二人に新人指導の役など回ってこない筈だ。

 バサラは、ふー、と深いため息をつき、

「まあ、ワシとしてもそうしたいのはやまやまなんだが、上からお前らを名指しできてな」

「名指し、ですか?」

「ああ。……そろそろ着く頃だと思うが―――」

 バサラが、横の壁にかかった大時計に目をやると同時に、第二課室の扉がゆっくりと開いた。

「失礼します!」

「おお、来たか」

 シーマとシルビアは、バサラの台詞にその新人とやらが入ってきた事を察知し、後ろを振り向いた。

「本日付で、こちらに配属になりましたティエナです!よろしくお願いします!」

「「あっ!!」」

 扉の所で、元気よくあいさつをしたその新人、とは、シーマとシルビアが良く知っている人物、―― 佐崎 美奈 ――だったのだ。

 美奈――ティエナは、バサラの机の前までやってくると、もう一度、挨拶をした。そして、シーマとシルビアの二人を見て、にっこりと笑いながら、

「また、会えましたね。シーマさん、シルビアさん」

「ああ……」

「予想外の再会だったけどな……」

「と、言うわけだ。シーマ、シルビア、しっかりと指導するんだぞ」

「「はあ……」」

「これからもよろしく。シーマさん、シルビアさん」

「ああ、よろしく美奈ちゃん、じゃなくて、ティエナちゃん」

「よろしくな……、ってか、子どもはどうしたんだよ?」

「光だけ、転生させてもらったの。私はやっぱりマイナスが大きかったって言われて、で、光を無事に転生させてもらう変わりに、死神の役を受けたの」

「そっか、年季は?」

「10年って言われてるけど、延びたり短縮されたりするんでしょ?」

「ああ、オレやシルビアは延びまくってるタイプだからな。早く転生したけりゃオレらの真似をしないのが、一番の近道だ」

「肝に銘じておくわ」

「ゴホンッ」

 バサラの机の前で、しばらく雑談を続けていた三人だったが、バサラの重々しい咳払いで話しを止め、そのまま帰路に着いた。


 死神は、それぞれに一軒家が与えられている。

 何の因果か、ティエナの家はシルビアの家のすぐ近くであった。そして、シーマの家とは正反対の方向という事になる。

 当然の事ながら、ティエナを家まで案内するのはシルビアの役目となった。

 シルビアは嬉しそうだが、シーマは複雑そうな顔をし、ティエナは何かを考えている様子を見せている。

「じゃ、シーマ。また明日」

「ああ。ティエナ、シルビアには気をつけろよ」

「分かってるわ」

 真顔で釘をさすシーマにシルビアは、やや引きつった顔で、

「シーマ、そりゃないんじゃないの……オレを何だと思ってるわけ?」

「万年発情期」

 間髪いれずシーマが答える。

「しーまちゃん……」

「じゃ、オレ帰るわ。ティエナ、また明日な」

「え、ええ。明日」

 傷ついた、と言う表情を浮かべているシルビアを無視して、シーマはティエナにだけ別れの挨拶をし、そのまま空を飛んで帰っていった。

「じゃ、ティエナちゃん、オレ達も帰ろうか」

 早いもので、もう立ち直ったシルビアが、ティエナの肩に手を置いて誘導する。

 ティエナは呆れ顔で、

「恐ろしく立ち直りが早いですね」

「オレらはいつもあんな感じだからね。シーマはオレより切り替えが早いよ」

「いいコンビですね……」

「ああ、そうだな」

 じゃ帰ろうか、とシルビアは歩き始める。

「あれ、飛んで行かないんですか?シーマさんみたいに」

「ああ、すぐそこだからね。歩いて五分もかからないよ」

「私の家もですか?」

「ああ、オレの家の隣になるし、オレの家より手前だよ、ティエナちゃんの家は。シーマの家は結構遠くの方にあるんだよ」

「そうなんですか」

「うん」

 そのまま、会話も途切れ、しばらく二人並んで白い土の道を歩いていたが、ティエナが突然、ふと思いついたようにシルビアを見上げ、

「シルビアさんってさぁ、」

「ん?」

「実はシーマさんの事好きでしょ?同僚として、とかじゃナシに」

「……!!」

 ティエナのその言葉に、シルビアが思わず凍りつく。

 その様子を見て、ティエナはニコッと笑いながら、

「図星でしょ。 いつもの事って言いながらも、さっきからずっとシルビアさん機嫌悪いし。シーマさんにあんな風に思われてるの、ホントは嫌なんじゃないんですか?」

「別に、そう言う訳じゃあ無いんだけど……まいったな、女の勘ってヤツ?」

「じゃあやっぱり」

「……随分と長い間一緒にいるし、シーマは、オレの恩人だからね」

「恩人、ですか?」

「ああ、シーマが居たから、オレはここでこうしていられる。彼女は特別なんだ、俺が変えちゃいけないんだよ」

 シルビアは、何かを思い出している様子で空を見上げた。

 シーマとの出来事を思い出しているのか、スッと目を細める。

「ふーん……、それで他の女の子で間に合わせてる訳ですか?シーマさんに手出し出来ないかわりに」

「ん? まあ、それとは別にオレは純粋に女性が好きだけどね」

「ふふっ、ま、そういう事にしておきます」

「あ、そうそうさっきから言おうと思ってたけど、敬語はいらないよ。同僚に関してはね。ココでは先輩も後輩も無いも同然だし」

「そうですか?じゃあ明日からそうします」

「あ、ストップ!」

「は?」

 突然の台詞に、ティエナが軽く前につんのめりながら立ち止まる。

 ティエナがこけないように、身体に軽く手を添えながら、シルビアがティエナの左手の方を指した。

「ここだよ、ティエナちゃんの家」

「え?」

 言われてそちらを見ると、そこには都会で暮らしていた頃では考えもつかない大きな一軒家が広い庭付きでそびえ立っていた。

 想像もしていなかった家に、ティエナが言葉を失う。

 そんなティエナの様子を見て、シルビアは、ククッ、と笑いをこぼしながら、

「驚いた?大体の家がこんな感じなんだ。大抵が一人暮らしなのに」

「驚きました……、下界の、都会じゃ考えられないですね。一人暮らしじゃない人達っているんですか?」

「ああ、相方同士で住んでるヤツらも居る。マーチとセフィーロのペアがそうだ。いずれ会う事もあると思うけど。セフィーロはもうすぐ年季があけるから、多分ティエナちゃんはマーチと組む事になる筈だ」

「そうなんですか。その前に、セフィーロさんにも会ってみたいですね」

「ま、運が良ければ会えるさ。じゃ、オレはこれで」

 立ち去ろうとするシルビアに、ティエナが慌てて声をかける。

「あ、あのっ、ありがとうございました。明日は何時に出たらいいんですか?」

「ん?あー、多分、明日の朝に爆発音が聞こえると思うから、それを合図に出たらいいよ」

「は?爆発、ですか?……わかりました?」

 この平穏そのものといった世界と、爆発音がどうにも結びつかなかったが、シルビアの至って真顔で当たり前の様に言う様に、ティエナは頭をひねりながら庭の周りを囲っている柵に付いた鉄製の門を開け、中に入りながら、それじゃあまた明日、と軽く会釈しながら挨拶をした。

 シルビアも、じゃあまたね、と言ってそのまま立ち去っていった。

 ティエナは、再び爆発音の意味を考えていたが、全く想像もつかず、次の日を迎える事となった。



 ドガーン!!!


「キャア!!」

 シルビアの言っていた通り、朝から窓ガラスがビリビリと震えるほどの巨大な爆発音が周辺に響き渡った。

 驚きのあまりにバクバクと鳴る心臓を抑えつつ、ティエナは家を出る。

 職場までの短い道のりの途中で、後ろから自分を呼ぶ声に気付き振り向くと、シルビアがゆっくりと片手を挙げながら歩いてきている所だった。

「シルビアさん、おはよう」

「あ~、おはよう。言ったとおり爆発音しただろ」

「ええ、何の音なんですか?思ってたより大きかったんですけど……」

「ハハッ、すぐにわかるさ。閻魔庁の前まで行けば」

「はあ……」

 一体なんなのか、疑問に頭をめぐらせながら少し行くと、すぐに閻魔庁の建物が見えてきた。と、共にモクモクと灰色の煙がその前に立ち込めているのが目に入った。

 恐らく先ほどの爆発が原因なのだろうが、一体何が爆発そのものの原因なのか、気になってしかたがないティエナはその現場に駆け寄った。

「え……、シーマさん!!?」

「よう、おはよう」

 煙の中にいたのは、シーマだった。

 驚いて声を張り上げるティエナに、シーマは素面であいさつをしてくる。

「何してるんですか!?さっきの爆発音、シーマさんが何かしたんですか?」

「ああ、オレは炎系だからな。攻撃タイプ」

「は?なんですか、それ?」

「あれ?聞いて無いのか? 死神には個人能力が与えられるんだ。能力やタイプはまちまちだけどな。近いうちに、授与があると思うけど」

「ちなみにオレは風で、攻撃タイプだよ」

 シルビアが話しに割り込んで言う。

「で、どうして毎朝のように爆発が……?」

 気を取り直して、ティエナは本題に話しをもどした。

 シーマの周りに倒れている数人の犠牲者も気になるところである。

「ああ、毎朝毎朝、懲りもせずオレに挑戦してくるヤツらがいてな。そいつらを吹っ飛ばすのには爆発が一番便利ってだけだ」

「挑戦、ですか?」

「ああ、オレは一応攻撃タイプの中では、トップクラスの部類に入るからな。作戦課の連中がオレの引き抜きにかかってくるんだよ。敵が多い分、質と量が必要な部署だからな。で、もし作戦課のヤツらが、オレを倒せたら今居る収集課から移るって事になってるってわけさ」

 手を腰にあて、自慢げにそう語る。

 シーマは、自分の能力には、結構な自信があるようだ。

 つまり、今回りに倒れているのは、その作戦課の課員達という事になる。

「作戦課、って何らかの事情で地上に残って凶悪化してしまった魂を狩る部署でしたよね?」

「ああ、そうだ」

「シーマさんなら、そっちの方があってるんじゃないんですか?」

「……まぁ、オレは今の仕事が気に入ってるし、それに……」

「それに?」

「ま、いろいろあるさ。さ、今日から早速仕事だぜ、ティエナ。行くぞ、シルビア!」

「はいはい、朝から元気だねぇ。シーマは」

 シーマを先頭に、三人は閻魔庁の門を潜ったのだった。


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