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姉妹の約束

ガールズラブタグを保険でつけました。


女の子同士がベタベタしてますので、苦手な方はお気をつけください。

「あの人とデートするってどういうこと?」



庭のテラスで向かい合わせに座って真顔で問い詰められている。恐い。

口調は刺々しい。明らかに怒っていらっしゃる。

当然だろう。危険を冒してまでセドリック様との結婚を阻止しようと必死に奔走してくれたのに、当の本人がこんな軽率な行動をとっているのだから。



「しかも、姉さんから言いだしたことらしいわね」


「あの、その情報はどこから」


「ジーナよ」



彼女か。ジーナはシャーロット付きのメイドだから当然報告するだろう。

心配で事の一部始終を見ていたらしくセドリック様が帰った後に「私がお通ししたばかりに……申し訳ございません」と謝られてしまった。

彼女は全く悪くないのに。申し話ないのは軽率な私の方だ。



「どうしてそんな約束をしたの?」


「なんだか興味が湧いてしまって」


「興味?」


「意外とシャーロットのことよく見ていたみたいだったから。セドリック様言っていたの。自分とシャーロットは似ているって」


「あの人と私が似ている?」


「セドリック様気付いていたの。あなたの〝退屈〟に」



シャーロットは虚を突かれた様子だ。徐々に苦虫を噛み潰したような表情になる。

疎ましく思っている相手が自分の内心に気づいていたなんて不快でしかないはずだ。



「シャーロットみたいな人に会ったことがないから。話をしてみたいな、と思って」


「私とあの人の類似点を確かめたくてデートに誘ったの?」


「うん」



ハァーーーっと深いため息を吐くと私の両手を包むようにとると顔をずいっと近づけてきた。



「私は姉さんに幸せになって欲しいの」


「うん」


「姉さんが好きになった人と一緒になってほしい。貴族の立場では難しい願いかもしれないけど」



シャーロットが私の手を強く握る。



「私が姉さんの幸せを守ってみせる。そのためなら、何でもするわ」



見慣れた宝石のような瞳が私を見つめる。澄んだ海の色彩に反する燃え盛るような力を感じる。



「そうね。前に私に誓ってくれたものね」



シャーロットの頬にサッと赤みが差す。



「お、覚えていたの」


「当たり前じゃない。私、とっても嬉しかったんだから。あの時のシャーロット、凛々しくて素敵だったわ」



シャーロットの顔が真っ赤に染まり上がる。照れている姿も可愛いけど、そんなに恥ずかしがらなくてもいいのに。



「とっともかく!姉さんにはもっと慎重に行動して欲しいの!」


「うん。気を付けるわ」



ほっとしたような表情を見せるシャーロット。心配してくれて嬉しいけど、私からも言いたいことがあるのよ?



「ねえシャーロット。あなた、セドリック様の周りで色々暗躍していたそうね?」



ギクリと体が跳ねる。シャーロットは私の前だと本当にわかりやすい。



「セドリック様、勘づいてらしたわよ?」


「……っそれは承知の上。このタイミングで嗅ぎまわる人間がいたら私だってすぐ気づく筈。

私だって当たりをつけても、証拠が一切ないから追及は出来ないわ」


「でも、危ない事には変わらないわよね?」


「……それは」


「あなたが私の為に危険な事をして、私が喜ぶと思う?」


「責任を感じていたの!私の問題に姉さんを巻き込んでしまった。

セドリック様が私に恋というより執着を抱いているのはわかっていたけど、こんな血迷った真似をするなんて思ってもいなかった。私のせいだから、何とかしないといけないって思ったの」



耐え切れずにといった感じで捲し立てるシャーロット。私の幸せを願ってくれる子だから、余計に苦しんでいたのかもしれない。



「あなたは悪くないわ。だから、そんなに自分を責めないで。悲しそうなシャーロットを見ると私も悲しくなるわ」


「姉さん」


「セドリック様とデートするときに考え直してもらえないか頼んでみるわ。話せばわかってくれるかもしれない!」


「本当にデートするのね……」


「するわ。私から言いだしたことだもの。チャンスになるかもしれないでしょ?」


「ピンチになるかも」


「大丈夫!慎重に行動するから!」


「本当に気を付けてよ」


「約束するわ。はい、指切り!」



小指を前に差し出すと苦笑してから華奢な見た目に反した硬い小指を絡めて来る。



「子供の時を思い出すわ」



懐かしむようにいうとシャーロットも笑顔を返してくれた。



『指切りげんまん嘘ついたらハリセンボン飲ーます!指切った!』

お読みいただきありがとうございます。


もう少しお付き合いくださいませ。

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