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最後の吟遊詩人  作者: 路寄りさこ
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隊商 第三日

路寄りさこワールドへようこそ!


3日目の旅がはじまりました。

が、なかなか前へ進めません。

そこで……


 三日目は、さらに砂嵐が激しさを増していた。

 もうもうとした砂煙が、視界を曇らせ、隊商の行く手をきつく阻みはじめていた。

 前日から抱いていた不安が、ラハヌトの心をより多く支配するようになった。

 王子の話は、隊商の人々の興味をおおいに惹き、王子は、隊商のなかにあって注目される存在となっていた。


 隊商の鈴の音は、何を呼び寄せようというのか、何を知らせようというのか、どこまで遠く響き、流れているのか。


「不吉だ」

 ついにラハヌトは不穏の言葉を口にしてしまった。

 そばに付いていた牧童が、そのラハヌトの声を聞き逃さなかった。

 牧童は黙って付いて歩いていたが、いつしか側を離れ、隊商と少し距離をおきながら、後方へと位置をずらして行き、商人のひとりに何やら耳打ちをした。

 ラハヌトは、もはや進行は無理であると判断し、出発からわずか一時間ほどで、野営の準備に取りかかった。


「旅は無事に進むのでしょうか」

 商人のひとりがラハヌトに問い掛けた。牧童に耳打ちされていた男だ。

「心配はいりません。砂漠もときに機嫌を損ねますが、我々にその罪はないでしょう」

「そうですか。しかし、この隊商は一風変わった取り合わせですからな」

 商人は含みのある言い方をした。が、ラハヌトは取り合わなかった。


 いつもはラクダの背中で頬張るナンと水の昼食だが、今日はテントを張って、お茶を沸かすことになった。

 砂の粒子が目に飛び込んでくるのを避け、みなテントのなかで休んだ。ラハヌトと何人かの牧童は、空と砂の表情を見極めようと、しばらく表に立っていた。

「隊から離れるな。道を見失うぞ」

 ラハヌトは、数名の牧童に隊商を見回るように指示した。ホー、ホー、という牧童の掛け声が、はぐれたラクダをおびき寄せ、逆にはぐれようとするラクダを引き止めた。


 昼寝をよくしたせいか、夜は旅人たちの目がひどく冴えていた。

 三度目の夜ともなると、いささか退屈の雰囲気を免れなかった。

「今夜は、私の話を聞いていただきましょうか」

 あかあかと焼けた炭でタバコに火をつけながら、ひとりの商人頭が言った。

 先ほど砂嵐のなかで牧童に耳打ちをされ、昨日はラクダの背からルメトモン王子に意味ありげな問い掛けをした男である。

「それとも、王子様の話の続きをお聞きになりたいですか」

「お若い勇者よ、それがしの話はもう終わったのですか。ならばおおいに結構だが、あやふやな結末ですな」

 もうひとりの商人が、気を使ってか、それとも自分の好奇心をおさめようとしてか、ひと言意見をした。

「昨晩お話しした理由で、私はこの吟遊詩人とクリスタルを満たす砂を捜しているのです」

 王子はそれ以上何も語ろうとはしなかった。


 吟遊詩人は、王子の隣りに座し、瞼を閉じてじっとしていた。


今度は商人が不思議な話を語ってくれるようです。

はたして、いよいよ砂の秘密は明かされるのでしょうか。


次話投稿は7月24日を予定しております。

どうぞ、お楽しみに!


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