創造魔法(クリエイト)
シ、シルバーゴブリンTUEEEE、速すぎだろ…攻撃が当たらん。
まるでスターマリオのように素早く動くシルバーゴブリンに対し、俺の動きはのこのこレベル。
シルバーゴブリン、こいつできる!
「くっそ、広範囲魔法とか撃てないか?亜紀
」
「MPが厳しいです」
先ほどから魔法で援護してくれているからMPが残り少ないのか。
こうなりゃ………あー、どうしよう。
考えよう、考えなきゃなにも変わらない!考えてもなにも変わらないのが現実、でも考えなきゃ始まらない。……あっ、これ無限ループだわ。
「どうする?徹、このままじゃ埒が明かないぞ」
「ん〜〜、よし、いい作戦を思いついた」
「ほう」
俺が考えた作戦とは、まず俺が囮となり敵を引き付ける、亜紀はアイテムでMP回復、クロウツェルは亜紀を守る。というものだ。
シンプルだが、勝率が一番高いものだろう。ちなみになぜ俺が囮となるかというと、一つ試したいことがあるからだ。
「これでいこう、亜紀の上位魔法でフィニッシュだ」
「了解した」
作戦を聞き、それぞれが行動に移した。
俺達が作戦会議をしている間、シルバーゴブリンは木になっていたバナナのようなフルーツを食べていた。
…この野郎舐めやがって。
「オラオラ、猿がぁ」
挑発し、シルバーゴブリンを引き付ける。
近くに落ちていた石を拾い、シルバーゴブリンめがけて投げた。
ひゅっと音を立てながら飛ぶ、そしてバナナのようなものを食べていたシルバーゴブリンの顔面にぶつかった。
「ゴ、ゴゴガ」
完全に怒っている。
ものすごいスピードで俺に襲いかかってきた。
「ふん、甘いな」
シルバーゴブリンの動きがピタリと止まる。止まったのは俺の1メートル先ほどでだ。
「罠をしかけておいたんだ、とっておきのな」
シルバーゴブリンの足下には、どっかのゲームで見たことあるような罠が仕掛けられている。
その罠からは、電流がはしっていた。
「その名もシ○レ罠!」
「そんなものどこにあったの⁉︎」
亜紀がツッコムが、俺は説明する。
「Amaz……冗談だ。これは下北沢で買った」
「冗談に冗談はやめて下さい」
「す、すいません…。実はなんか新しく使えるようになってた創造魔法を使ったんだ。頭で創りたいものを想像すればイケると思ったらできた」
「そんな魔法いつ?」
「分からん、いつの間にか冒険者カードの欄にあったんだ」
「もしかしたら、ユニーク魔法かもしれんな。私は創造魔法なんて聞いたことはないぞ」
俺達が会話している間、シルバーゴブリンは筋肉を硬直させ固まっていた。
「そろそろ時間が切れるころだ。亜紀、あとは頼んだぞ」
「任せてください!」
亜紀は詠唱にはいった。
「魔を焼き殺す絶縁の炎よ、悪の魂に鉄槌を、踊り、苦しみ、恨み、笑い狂え!!『火炎地獄』」
俺はすぐさまその場から離れた。
俺が離れた後、2秒ぐらい経ったらシルバーゴブリンの周りがゆがんで見えた。
アレだな、砂漠とかだと暑くてゆがんで見えるやつだな。
シルバーゴブリンのいる上下から魔法陣が現れる。
その後、魔法陣から灼熱の炎が放たれた。
さすがに、上位魔法をくらって生きていないだろう。
……それがフラグだったのかは知らないが、灼熱の炎が消えた後、シルバーゴブリンの姿が見えた。
「そ、そんな…」
「おいおいまじかよ、こいつタフすぎねぇか」
「…….来るぞ」
クロウツェルが言った後、シルバーゴブリンが怒り狂ったかのように突進してきた。
まるで銃弾のようだ。
「ぐほぉっ」
「徹君!」
その突進が俺の溝うちに入る。
かるく三十メートルほど飛ばされた。
「…や、やべ、え。HP、が…」
このまま死ぬのか?
いや、まだ手は残されている。
創造魔法だ。
あれで俺の想像する最高の回復薬を創造すればなんとかなる。
力を振り絞り、創造魔法を使った。
手元が虹色の光に包まれる。
その後、手には秘薬が握られていた。
「…んっ、ぐっぐっ……ふぅ」
俺の創造した黄色の瓶のようなものに入った秘薬を飲み干すと、力が溢れてきた。
秘薬TUEEEE!!
「……こうなりゃヤケクソだぁぁぁぁぁぁ!」
創造魔法を使い、俺の知っている最強の武器を創造する。
「いでよぉぉぉエクスカリバーァァァァ!!」
魔法陣から、キラキラと輝く聖剣が現れた。
握ってみると、ズシリと重い。
「フハハハハハハ、伝説の聖剣を創造したぞ、かかってこい猿」
「グガ、ガァァォォ」
頼むぜ聖剣、お前の力を見せてくれ。
見た目だけじゃないよな?お前の力は。
俺は適当に横に聖剣を振るった。
気がつくと、森の木々がスパリとキレイに全て切り倒されていた。
せ、聖剣ヤベェ。チート臭え。
シルバーゴブリンは、体が横に真っ二つになり、そこらへんに転がっている。
亜紀とクロウツェルは俺より後ろにいたため、なんの影響も無かった。
「勝ったぞ、お、お前ら」
「そ、そうですねぇ!」
「さすが覇王だ」
あんなに苦労したにもかかわらず、こんなあっさり終わってしまうのも、なんか……残念なもんなんだな…。
「か、帰るか…町に」
「そ、そうですねぇ!」
「さすが覇王だ」
森なのに、空気はあまりおいしくなかった。
まあとりあえず………せ、聖剣TUEEEE……。
受験が終わったので更新しました。
……いやぁ受験の結果は期待できないんですけどね笑