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異世界で始める覇王ライフ  作者: 冷麦冷奴
冒険編
4/6

新たな仲間

「おっ、レベルが上がってる」


 冒険者カードのステータス画面に表示されているレベルが6になっていて、なんだか達成感を感じた。

 やはりドラゴントカゲを30体あの時倒したからだろう。


「また新しい魔法を覚えられるな」


 覚えることが可能な魔法一覧を見てみる。

 移動加速(アクセル)攻撃力上昇(パワーブースト)防御力上昇(ディフェンスブースト)

 自分のステータスを上昇させるタイプの魔法が三つ並んでいた。


 どれがいいのかあんまりわからんな。

 まあ、後で亜紀からアドバイスをもらうとしよう。


 しばらくすると、冒険者ギルドに着き、中に入った。

 受付娘に冒険者カードを渡す。


「クエスト終わりました」

「ご苦労様です」


 冒険者カードを受け取ると、右手から何かの魔法を発動させ、冒険者カードに触れる。その後紙に触れた。

 冒険者カードの情報が紙に写されていく。


「終わりました、カードをお返しします。では、これはクエスト達成料です」


 金の入った袋を受け取った。中には15000G入っている。

 チャリチャリと小銭が擦れる音がした。


「どうも」


 俺はさっさと冒険者ギルドを出た。

 もうすぐ待ち合わせの時間だ。遅れるのはなんだかかっこ悪い。


「よかった、まだ来ていない」


 俺は「大丈夫、今来たとこ」って言いたいだけに急ぐ男だ。

 ……人生で一度は言いたいよな。


 〜10分ほど経った。


「あっ、徹君待った?」

「大丈夫、今来た…」

「この男はお前のことを10分ほど待っていたぞ」

「え??だ、誰」


 俺があの台詞を言おうとしたら横から事実を述べたのは、一人の少女だった。

 歳は13歳くらいか。身長は俺の半分くらいだ。

 金髪で、猫耳をつけている。髪はさらさらのロングヘアだ。目は赤色、種族は獣人、その中のキャットシーだろう。服装は身軽そうな服に、マントだ。

 またこの子も可愛いなぁ……いかんいかん、見とれている場合ではなかった。


「私はクロウツェルだ、職業は盗賊、レベルは18。私をお前のパーティーに入れてくれ」

「……歳は?」

「18だ」


 18⁈その歳でその体⁉︎

  日本にはそんな合法ロリなんて存在しなかったぞ。

 しかも同い年か……あ、ありえねぇ。


「なんで俺らのパーティーに入りたいんだ?他にもあるだろ?もっと強いところとか」

「私わね、覇王とパーティーを組みたいのだよ」

「覇王ね……、確かに職業は間違って覇王を選択してしまったけど、過去にいた覇王とは別だから何も悪いことなどはしてないぞ」

「……町の人々が『あの邪悪なる覇王が来た』って言っていたのを聞いたのだよ」

「町の人々が⁉︎なんだそれ」


 まさか職業が覇王になってしまっただけでそこまで言われるのか?

 それに邪悪って……妄想が過ぎるのではないか?


「徹君は何も悪事はしていませんよ」

「まあ、私にとって悪事をしているしていないは関係ないがな。私は覇王に興味があるのだ」

「まあ、パーティーに入りたいんなら入れてやるよ。俺は坂町徹だ。別にいいよな?亜紀」

「はい、歓迎しますよ。私は立花亜紀ですよろしくお願いしますね」

「ありがとう、これからよろしく頼む」


 町の正門前では大勢の人が通る。そのため意識して見ると、確かに多くの人々が俺の方を見ているように感じた。

 あの冒険者ギルドで感じた視線も俺が「覇王」だからか。納得がいった。

 

 多分、そいつが悪いことをしたしてないは関係ないのだろう。俺だってある人が悪いことをしたという噂を聞いたらそれを信じるかもしれない。その人は無実なのにも関わらず。…それが人なんだ。


「そういや亜紀、今日は何する?」

「そうですね、パーティーメンバーが増えたことですしクエストでも受けましょうか」

「じゃあ冒険者ギルドにいくのか?」

「いえ、町の掲示板などにもクエストを受ける場所があるのでそこに行きましょう」

「了解した」


 クロウツェルは、亜紀と共に歩き出した。俺はその後ろから歩く。

 ……いい眺めだなぁ。


◇◇◇◇◇◇◇◇◇


 結局、☆4クエスト「シルバーゴブリンを討伐して!」というものを受けた。

 亜紀が言うには、シルバーゴブリンとはとても希少なゴブリンで、いくつかの群れに一体いるかいないかってほどらしい。

 強さは普通のゴブリンよりは遥かに強いが、☆4クエストほどまでの強さは無く、発見が難しいから☆4だとか。


 今はゴブリンの住処に向けて歩いている。


「私は盗賊、得意な攻撃は基本的にナイフによるものだ。魔法はそこそこ使えるが、基本的に身体能力強化系だ」

「へぇ、やっぱり盗賊だからモンスターとかからアイテムを盗んだりできるのか?」

「もちろん可能だ。それに人の持ち物だって盗める。ほれ」


 クロウツェルはお金の入った皮の袋を手に持っていた。

 俺はなにか見覚えがあるなぁ、と思い後ろのポケットを探る。


「……それ、俺のだな?」

「ご名答」

「おい、返せ!」

「悪かった悪かった、まあこんなこともできるってことさ」


 クロウツェルはその皮の袋を俺に向けて投げた。

 そしてそれを俺はキャッチする。

 

 もう次盗られないよう、冒険者カードに入れとこう。


「覇王はなにが得意なのだ?」

「覇王じゃねぇよ、徹だ」

「……君たちは珍しい名前なのだな」

「そうなのか?」

「たしかに、私も他の人たちの名前はみんな英語だなって思ってました」

「…てことは向こうから来たやつの名前は日本語なのか」

「日本語?初めて聞いたな」


 ……俺たちが異世界から来たことは内緒の方がいいだろう。

 わざわざ話す必要もあるまい。


「俺たちの出身の国の言葉さ、ここからすごく遠いところにあるんだ」

「ほう、そんな国から来たのだな」

「まあな…」


 それにしてもクロウツェルの喋り方はなにか気になるな。

 アニメとかを見ていてもこんな喋り方のやつはいるが、大体は探偵というか、そんな役割のやつの喋り方に似ている。

 もしかしたら知識が豊富なのかもしれない。


「それで、徹は何が得意なのだ?」

「俺は剣かな、魔法も使えるがメインは剣だと思ってる。そういや最近中位魔法を使えるようにもなったんだ」

「レベルは?」

「まだ冒険者になりたてでな、レベルは6だ」


 俺が一通り話した後、亜紀の方を見てみると、ポカンとした顔をしていた。


「ど、どうした?亜紀」

「ち、ち、ち、中位魔法が使えるようになったんですか⁉︎私は使えるようになるのになったのレベル15くらいなのに!ずるいよ徹君」

「ずるいって言われてもな…」


 だって勝手に使えるようになってたんだし。


「職業が覇王だからかもしれないな。かの昔に存在した覇王は様々な魔法を放ったと言う」

「覇王だから……ね。そういえばレベルが上がって新しい魔法が覚えられるようになったんだ、移動加速(アクセル)攻撃力上昇(パワーブースト)防御力上昇(ディフェンスブースト)。どれがいいと思う?」

「何個覚えられる分のスキルポイントがあるんですか?」

「ええと、全部かな」

「なら全て覚えた方がいいと思いますよ。基本的にその魔法は汎用性が高いので」

「私もそう思うぞ、その魔法は上級者でもよく使う」

「へぇ、アドバイスサンキュー」


 スキルポイントを振り、その魔法三つを覚えた。

 

「亜紀、君は何が得意なのだ?」

「私は遠距離からの魔法ですね、火属性が得意です。一応上位魔法は使えますが、MPが尽きてしまいます。レベルは22です」

「ほう、上位魔法がそのレベルで使えるのか。なかなかの才能の持ち主だと私は思うぞ」

「ありがとうございます」


 亜紀がぺこりと一礼する。

 礼儀正しい子、俺好きよ。


「ふむ、このパーティー基本的にバランスはとれているな。近接タイプの私、近接もでき魔法で攻撃もできる中間タイプの徹、そして遠距離タイプの亜紀」


 たしかに、クロウツェルが入ったことによってパーティーが安定したと俺も思う。

 

「もうすぐですよ、ゴブリンの住処」


 喋って歩いていたらいつの間にか目的地周辺に到着していたようだ。


「ああ、そうだった、ここら辺だ」

「ほぉ、雰囲気あるな」


 目の前に広がっていたのはシャングルのように様々な木が生えた場所だった。

 ジャングルというか森だな。

 空には鳥が鳴きながら飛んでいる。


 草原を抜けるとこの森に繋がっているのか。ということは草原のモンスターよりもレベルが高い可能性がある。


「まあ、入るか」

「そうですね」

「そうだな」


 俺たちは森の中に一歩踏み出したのだった。

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