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第九十二話

「お前の話は信じられんな」

そう彼は机を指で叩く。

「おそれながら事実であります」


もう舌が疲れてきた。

私は元々ものを説明するのが苦手だし。

普段からそんなに話す方じゃないんだ。


「身体に拷問の形跡も認められないんだったな?」

「はっ。ございませんでした!」

そう戸に立っている兵士らしき人間が言う。


「薬物投与や洗脳の可能性は?」

「前者は現在調査中であります。後者は専門家が精神分析をしている段階ですが可能性は低いとのことでした」


「もうわけがわからんな」

「イヴォークの皇帝は人道を愛し、いささか破天荒な人間と聞いております。……あるいは」


残った一人が唇を鳴らし指を振る。

「君、破天荒は良いが『人道を愛する』は困るよ。それは機密だ」

彼は笑う。


「彼には『残虐非道な皇帝』であってもらわなきゃいかんよ」

そうでしたねと追従笑いがおこる。

こんな光景を見てると教国に帰ってきたことを後悔する気持ちが湧いてきた。


「確かにお前の話は筋が通ってる部分もある」

彼は咳払いをする。

「だがもう我々の裁量を越える問題だ。教皇の指示を仰がなければならん」


そう彼は私を睨むように言った。

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