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第八十五話

「でもやりましたね!」

「なにが?」

「ああもう!」


そう彼女は興奮する様に首を横に振る。

「皇帝のご寵愛を受けられることですよ」

そう彼女は私の手を両手で握る。


「久しくそういう理由で使用されてきませんでしたが」

彼女は手を部屋を示す様に広げ続ける。

「『緑竜の間』は元々そういった目的で造られた部屋なんですよ」


そう彼女はこの植物だらけの部屋を興奮気味に紹介する。

それでも私には何を言っているかわからなかった。

温度差が全然埋まらない。


「浴室につながってるのはそういう理由からなんです」

「どういう意味?」

「ああもう皇帝を身を清めて待てるようにって意味ですよ」


彼女は勝手に頬を抑えてああもうそこまで言わせないでくださいよーと独り頬を赤く染める。

それからまた私の手を強く握る。


「是非、終わったら感想を聞かせてくださいね!」

彼女は真剣な眼差しで私を見る。どうしてこう女同士の会話っていちいち生々しくなってしまうんだろ。


「……いやいや無いですよ。皇帝まだ子供じゃないですか」

「愛した人に愛されるってどんな気持ちなんでしょうね?」

彼女は自分の身体を細い腕で抱きしめながら感慨深く溜め息をつく。


こういう勝手に盛り上がっちゃう所はメニョに似てるなと思った。

「……きっと世界で一番幸せな気持ちなんだろうな」

そう小さく呟く彼女の声は少しだけ真剣なものに聴こえた。


その声に少しだけ心が揺れてしまう自分に気付く。

そうしていると扉が乱暴に開かれた。

廊下の光を背にした皇帝がそこにいた。

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