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第七十四話

「魔法は他に何種類ある?」

何種類? 系統のことかな。さっきから質問され通しで少し頭が疲れてきた。

「炎熱。冷却。……雷撃? その三大系統の他に特殊系も入れて四つですね」


「お前らの魔力は生まれ持ったものなのか?」

「はい」

ふむと小太りの重臣は私の顔色を伺いながら周りを歩く。


「では何故。教国はそれほどの力を持つお前ら魔法使いを迫害する?」

「……それは」

私は言葉に詰まる。他の重臣達の眼も光っている。


「そもそもお前は本当に魔法使いなのか?」

そう小太りの重臣が重たそうな服を引きずりながら聞くと紫の髪の男が慌てて答える。

「そっそれは間違いなくっ……」


「お前には聞いとらん!」

そう彼がたるんだ頬を揺らしながら唾を飛ばす。

「閣下。恐れながらそちらは間違いないかと。魔晶石に反応が出ました」


そう重臣にしては若い男が報告する。


ふむ。と彼は杖でぽんぽんと掌を叩く。

何か情報を提供できないと自分の命が危ないと思ったのか紫の髪の男が慌てた様に口を開く。


「かっ開戦当初に変貌したんです! こいつら魔法使いは!」

その言葉に全員が紫の髪の男に視線をやる。

「……続けろ」


小太りの男がそう顎でしゃくる。


紫の髪の男は褒められた犬の様に喜び口を開く。

「魔法使いは元来強い力なんぞ持ちません。一部の特殊な魔法使いを除いて鍋を沸かしたり肉を冷やす程度の魔力が関の山です」


「……おい。ちょっと手をつけ」

「手を?」

紫の髪の男は不思議そうな顔をしたがその言葉通り石畳に手を置いた。


「ああそうだ。それでいい」

その手の甲の上に物凄い勢いで杖の先が叩きつけられた。

鈍い音と共に紫の男の悲鳴が響く。


小太りの男が杖の上に顎を載せるようにしてぐりぐりと体重をかけるとますます悲鳴が強くなった。


「んなわけねえだろ。一体こっちが何人魔法使いの犠牲になったと思ってんだ。あ? 何が肉を冷やすだ」


そう貴族とは思えない物言いで彼は杖に体重をかけ続ける。

「本当です。本当なんですっ!」

まあいいと彼は杖を離し今度はその先を私に向けた。


「お前にはこれ以上の苦痛が待ってるぞ。拷問でたっぷり情報を吐いてもらうからな」


そう小太りの男は強い口調で言った。

もう舌を噛むしかないのかな。

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