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第六十三話

「アマリアさんって魔法学院の生徒だったんですか?」

「魔法学院? あ、いえ私はずっとお屋敷の召使でしたよ」

彼女はそう言って柔らかな笑顔を見せる。


「お父様の家で働いてましたが」

「父親が貴族なんですか?」

彼女は頷く。


「意外とそういう魔法使いは多いんですよ。魔法使いは貴族の家の召使いになることが多いですから……」


彼女は言葉を探す様に宙を見た。

それから勇気をつける様に白色の葡萄酒を口に含む。

「手をつけられるって言うんですか? 私のお母様もそうでした」


彼女はお酒を飲むとすぐ顔が赤くなる。

「でもまだ良い方なんですよ。本当なら世間体を気にして腹が大きくなった時点で女の魔法使いは追い出されるのが常ですから」


彼女はひくっとしゃっくりをした。

「それでもお父様は私に教育を授けてくれたんです」

感傷的に語る彼女の言葉に頷く。


「今でも感謝してます。もう亡くなってしまいましたが」

「そうなんですか私と一緒ですね」

「ああ一緒ですね。ホント私達一緒ですね」


そう彼女は酔っぱらってるのか同じ言葉を繰り返す。

陽気な顔でワイングラスを揺らす。

「天蓋孤独なんですか?」


そう彼女は私に抱きついてゆらゆら身体を動かす。

「そうですね。……孤独です」

アマリアさんはまたしゃっくりをして笑う。


「私もそうです。お母様も亡くなりましたし。もう誰かほんとなんとかしてくださいよお」

そう雷神と呼ばれた魔法使いは子供みたいにだらしなく座り込み陽気に笑う。

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