表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/242

第六十一話

「戦勝パーティ?」

そう街を歩きながらジャンに訊く。

「そうだ司教の屋敷で今夜開かれる」


「私に参加しろと?」

「ああ」

「そんな気分じゃないよ」


そう枯葉が舞う街を歩きながら言う。

靴の先を見ながら言う。

「……魔法使いなんてお呼びじゃないんでしょ?」


「引きずるなよ」

「私がなってたかも知れないんだよね」

まだ下を見ながら歩く。煉瓦細工の道は夕陽で茜色に染まっていた。茶色の革靴を風に舞った枯葉がかすめていく。


「ただ一緒にいた騎士が違ってただけで」

「お前はお前だ。同じ思考になるとは限らない」

「戦争行ってやっと生き延びたと思ったら夜は兵士達の相手? 心が擦り減っちゃうよ」


彼は立ち止まる。

私もそれに合わせる様に止まる。

「いい加減にしろ。お前がそうだったわけじゃない」


秋の風が私の髪を撫でる。

「そうならない様に俺がお前を守ってやる」

不覚にも泣きそうになってしまう。


「絶対だよ」

「ああ絶対だ」

「……私を離さないでね」


そう彼とまた歩き出す。

茜色の夕陽に包まれた二人分の黒い影が伸びてゆく。

出来ない約束を彼とした。


ずっと人を守るなんてできっこないよ。

そんなのを信じるほど私は妄想家じゃない。

だけどなんでだろ。その嘘にひどく心が落ち着いてしまうんだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ