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第六十話

「……信じられない」

そう敵の魔法使いですら驚嘆する程の威力だった。

速度、破壊力共に桁違いの魔力だ。


「降参するなら命までは取りません」

そうアマリアさんが掌を向けるとその細い腕に絡むように雷が瞬いた。

今までみたことがないくらい真剣な瞳だった。


こんな雷を見せられたら誰だって戦意喪失する。

「包囲したぞっ! そこまでだ魔法使い!」

そう野太い声と同時に教会の扉が開けられた。


その声に続いて赤い服を着た兵士たちがなだれこんできた。

「ん? え? 何ですか?」

何故か彼らはアマリアさんを囲み床に押さえつける。


「確保!」

「良し! たっぷり魔吸石に魔力を吸わせてやれ!」

そう彼らは腰道具から緑色の石を出しアマリアさんに当てる。


それが彼女の身体に触れると石の中心部から鈍い光が煌めいた。

「馬鹿野郎! アミィは味方だ」

その言葉に彼らもようやく状況を察したのか急いで彼女を引き起こす。


「うう。ひどいです」

そうアマリアさんはぐったりしていてる。

なんだかもう戦闘できる様子には見えなかった。


「ということは敵は……」

ジャンが部隊長の視線を誘導する様に指差す。

「あの青髪の魔法使いだ! ボウガン隊。周囲に展開しろ。最悪殺してもかまわん!」


「はっ!」

命令を受けた兵士たちが赤い波の様に動く。その中の一団が倒れていたクルスさんを無理やり引き連れていくのが見えた。


「よくもまあ仲間をここまで殺してくれたな」

そう部隊長が悲しそうな声で言う。

「俺の部下たちも……。ただで済むと思うなよ」


彼自身もボウガンを取り出し続ける。

「まあお前の未来はどっちにしろ地獄だがな」

彼は怒りと軽蔑が入り混じった様な複雑な笑顔を浮かべる。


リリィと名乗っていた少女は冷たい瞳でその話に耳を傾ける。

「裁判では魔法使いというだけで有罪は確定だ。誰が弱者なんぞ好き好んで弁護するかよ」


彼はくくっと笑う。

「捕縛後も苦しみが待ってるぞ。あの魔法式を使用した魔法使いの身体を知りたがってる軍部のいかれた研究者はごまんといるからな。薬漬けか。はたまた人間の尊厳が無くなるほど身体が調べられるか。おおっと済まなかった。私としたことが間違えてしまった。『人間』じゃなかったな!」


彼はそう言って高笑いをする。その声が教会に響き渡る。

「俺にはどっちが本当に狂ってるのかわからなくなってきたぜ」

そう隣にいるクルスさんがもう我慢できないといった表情で言った。


「というわけだ魔法使い。お前には絶望しかないんだよ。ある意味ここで死んだ方が幸せかもしれんぞ? だからせいぜい抵抗してくれ。俺はお前を殺したいんだ、仲間を殺したお前を。殺す口実をくれよ俺に……」


そう彼は怒りに満ちた眼でボウガンの先の彼女を見据える。

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