第五十三話
教会の扉を開けると冷えた空気が足元に広がってきた。
既に兵士たちが何人か先行している。
「魔法使い。き、き貴様。こんな事をしてただですむと思うなよ」
そう髭面の部隊長らしき人間が言う。
視線の先を見ると凍ったカラティーヌの像に座る女性がいた。
「静かにしてよ」
そう彼女が言うと口から白い息が流れる。
瞬間、部隊長の腹部が氷柱に突き刺された。急に地面から伸びてきたのだ。
「冷えれば少しは清潔に思える」
そう彼女は掌を宙で回す。
すると部隊長の周りの地面が凍結していく。
彼の死体は完全に青白い細菌のような氷で覆われてしまった
「ルォージ隊長!」
そう周りにいた兵士の一人が叫ぶ。
「きっきっ貴様。絶対に許さんっ。よくも俺の大事な隊長を!」
そう彼女に駆けていく。
彼女は氷柱をまた地面から伸ばす。
彼はさっと横に跳び避ける。
「単純な攻撃だっ!」
彼女はまた白い息を吐いて手を動かす。
すると彼の動きが止まった。
「うぅんっ何だ!?」
彼の靴底だけが凍っていた。彼は不自然な体勢になり身体を揺らす。
「暑苦しいよ」
四方からその兵隊は氷柱で穴を開けられた。
彼の血が我々の足元まで流れてくる。
その魔法使いの顔は明らかに私より幼い顔立ちだった。




