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第四十六話

「うん?」

その女の人は不思議そうな顔で私を見つめる。

すごい顔が似てるけどメニョじゃなかった。


私よりも身長が高いしマントを着ていたが服装も何処となく上品だ。

メニョが大人になったらこんな綺麗な人になるのかな。

「あなたもこの兎ちゃんが気に入ったんですか」


そう彼女は見た目よりも人懐っこい声で話す。

「あっ。はい」

そうたどたどしく答えた。


「可愛いですよね」

そう彼女は白い頬を赤く染めて微笑む。

その笑顔もメニョにそっくりだと思った。


だけど良く見ると長い髪を丹念に巻き上げてたり細い指が全然荒れてない辺り立派な家柄の人なんだろう。


「ああでも時間が無くて買えないな」

そう彼女は名残惜しそうにその兎を見つめている。

「おーいアマリア行くぞ」


そう男の人の呼ぶ声がする。

「はい」

アマリアと呼ばれた目の前の女性は答える。


するとその人は私の瞳を見て最後に微笑む。

「私達似てますね。証拠に二人とも買い物の趣味が良いです」

そう彼女はいたずらめいて笑った。


貴族の人でも冗談なんか言ったりするんだ

その茶目っ気に私も笑ってしまった。

彼女は会釈をして私の横を通り過ぎ声のした道へ歩いていく。


後姿も素敵だな。私もあんな風になれたらみんなに愛されるのかな。

視線を戻すと兵士の一団が蒼白な顔を浮かべてるのが見えた。

震えている者すらいる。


「……あれが『雷神』」

「でもすごい美人だったぞ」

「そんなの関係ねえよ。あんな顔で敵将の首を六つもあげてるんだぞ」


彼らは感嘆の眼で彼女の背を追っている。

「あれが今回の戦で最大の戦果を上げた魔法使い……アマリア・ヴァルトロメイ」

そう兵の一人が馬鹿みたいに口を開けて言った。


私も振り返って彼女を見る。

もう坂を曲がったのか。その姿は見えなくなっていた。

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