表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/242

第四十五話

私は馬上で興奮を抑えられなかった。

握り拳を二つ作って眼を輝かせる。

「どうした?」


城門を通ってる時に隣で馬を歩ませるジャンが面倒臭そうに訊く。

「やっと独りで馬に乗れるのが嬉しくて。それにっ」

私は笑顔を堪えきれないまま続ける。


「生まれて初めての大都会なんだよ!」

そう商業都市ベリューブックの門をくぐった。

広場に華やぐお店達。花屋や香水売り見たことも無い食べ物。

もう一度に見渡せないぐらい綺麗なものがたくさんある。


「おいあいつだろ」

「あの黒髪の女か?」

「噂の……」


そう知らない兵士達が何やら私を見ながら話してる。


「なんかたくさん兵隊さんがいるね」

「三軍団で陥落させたからな。次の命令があるまで駐留してるんだろ」

「ふーん」


私はそういうものなのかと頷く。

「ねぇ? いつ買い物行けるの?」

「なんで行けるのが前提で話を進めてるんだ」


彼は教会の前で馬から降りる。

「ここで待ってろ」

「……うん」


そうちらちらと街の人形屋を見る。

彼は溜め息を吐く。

「しょうがないな。ただし俺の視界に入る位置にいろよ」


私は思わず笑顔になる。

「ありがとうジャン!」

私は早足に人形屋の前まで行く。なんだろ氷の壁?


触ってみる。でも冷たくない。

その透明な壁のおかげで商品が外からでも見えた。

兎の人形が可愛い。緑のビーズの瞳が輝いている。


その透明な壁に顔を近づける。

「……素敵」

すっかりその人形に心を奪われてしまった。


ふと視線をずらすと隣に人がいたのに気付いた。

顔が近い。その人も同じ兎を見ていた。

「あっ。すいません」


そう言った瞬間。胸が止まるかと思った。

見慣れた黄金色の髪。白い肌。

メニョが私の隣にいた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ