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第四十四話

川の水が冷たくて気持ち良い。

濡れた布を服の内側に入れて身体を拭く。

川底に浸してたローブも取り出す。もう血の臭いは抜けたかな?


水が滴るそれを石の上に置く。

「あんまり無理するなよ」

「平気平気。もう充分寝たもん。逆に身体がなまっちゃって」


笑ってみたけどジャンはまだ心配そうだ。

「今度いつ戦うの?」

そう全然怖くない振りして聞いてみた。


「お前は暫く戦場で使わない」

彼ははっきりとした声で言った。

「何で?」


裸足のまま聞いてみる。

「お前の魔力の増幅の程度が俺が知らされていた情報と違いすぎるんだ」

彼は口に手を当て訝しげな表情をする。


「あの魔法式は……」

彼は独り顔に手を当て考えている。

私が無言で見つめているとこごほんと咳払いをした。


「今教会に手紙を送っている。その返事が来るまでお前を戦場に出さない」

「やったー!」

彼は苦笑いをする。


「そんな素直に喜ぶなよ。ここでは良いけど兵士達の前では止めとくんだな」

あっそうだった。少し胸が痛んだ。

「良いのかな?」


「元々いない扱いだしな。良いんじゃないか」

なんか彼にも私の適当さがうつってきた気がする。

「それにお前の魔法で敵の士気はがた落ちだ。いきなりあんなのが来ると思ったら敵も及び腰になる。充分仕事はしたんじゃないか」


彼が淡々と言うと何故だか笑ってしまう。

「なんかジャン変わったね。すごい楽観的な考え方」

「お前の影響を受けたのかな」


人のせいにするなよーっと彼に笑いかける。

水飛沫でも飛ばしてやろうかと思ったが可哀想だから止めた。

代わりに独りで小さく水を蹴った。たくさんの滴が宙に散らばる。

それが陽の光を受け輝いていた。

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