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第四十二話

「馬鹿野郎! 何で戻ってきた!?」

ジャンは私が逃げたことなんてすっかり視界に入ってたんだ。

彼は剣を振りながら私を見るが私は答えず手を高くかざす。


魔力が集まってくるのを感じる。

息を切らしながら考える。できるはずだ。簡単な魔法式だ。

自分がしてきた努力を信じるんだ。


私が魔力を集めると辺りに雷に似た紫色の光が飛び交う。

兵士たちがざわめき始める。

魔力を蓄積する。それがこの魔法式と今までの魔法式が違う所だ。

今までただ放出するだけだった魔法。それを一気に爆発させるイメージだ。


身体が痛い。魔力が身体中を駆け巡る感覚がする。

歯ががたがた鳴る。こんな強い魔力を身体に宿すのは初めてだ。

メニョ。私こんなに頑張れるんだよ。見たら褒めてくれるかな。


「うぅっ! ああっ!」


痛みで眉をひそめると紫の稲妻が地面を切り裂いた。魔力を抑え切れてないんだ。敵兵ですら動きが鈍くなっていく。初めてみる光景にたじろいでるんだ。そりゃそうだ私だってこんなの初めてだ。


魔学院のみんな。先生。メニョ。

お願い。誰かを守れる強さを私にください。

紫色の閃光がほとばしる手を合わせる。


魔力で身体が壊れそうだ。

身体中が軋んでるのが解る。

それでも私が出来る最高をするんだ。


限界の身体で唇を動かす。


「イクスプロジオンッ!」


そう唱えた瞬間目の前が真っ白になった。

爆音がその後に続いてやって来る。

同時に前髪に物凄い熱風が飛んで来た。


敵の兵隊が何人か爆風で転がってくる。焼け焦げてばらばらになった状態で。

その瞬間。まるで時間が止まった様に全ての兵士の動きが止まった。

全員が平原に突如出現した黒い巨大な爆炎を眺めている。


私から生まれた炎は私の手を離れた後もしばらく反応を続けていた。

私は座り込む。まだ身体がずきずきとする。

「……これ? 私がやったの?」


そう震える唇で呟いても答えてくれる人は誰もいなかった。

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