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第四十一話

そうだ逃げればいいんだ。

そもそも私にはこんな戦争関係無いんだ。

這いつくばって血と土が混ざった地面を進んでいく。


魔法使いなんて戦場に連れてくるからこうなったんだ。

役に立たない奴だ。

肉でも焼いてれば良かったんだ


そんな風に怒る人すらいない。

この戦場はみんながみんな自分のことで精一杯だ。

だから私が私のこと大事にしたって許してよ。


息を切らしながら這って逃げるとさっきいた場所から大分離れられた。

ようやく立ち上がっても大丈夫そうだ。

ここからでもジャンが活躍してる姿が見える。


その姿を見ると涙を流してしまう。自分の情けなさに泣いてしまう。

だって私と違うもん。あんな風に頑張れるのは元から強い人だからだよ。

唇を噛みながら彼の戦う姿を見つめる。


私の服ボロボロだ。何にもしてないのに。逃げただけなのに。

ごめんね。ごめんねジャン。

私は彼に背を向けて歩き出した。


涙を拭いて逃げていると彼のことをたくさん思い出してしまう。

嘘が上手だった彼。すごい嫌だった。

守ってくれた彼。すごい嬉しかった。

励ましてくれた彼。すごい優しかった。


そんな彼が死んでしまう。

唇を噛みしめて悩むと「ぐううっ」と意味の解らない声が出る。

空を見上げると灰色の空だ。


メニョ私に勇気をください。誰かを守る勇気を。

そう眼をつぶり心で唱えた後、何も考えずに振り返って走る。

戦場に向かって息を切らして駆ける。私を助けてくれた人を助けるために。

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