第四話
家に帰って寝る。
空腹で気持ち悪い時はいつもこれなんだ。
横になりながら窓から入る月の光を眺めていた。
「カーシャ」
そう窓から囁き声が聞えた。
その後に人影が部屋に飛び込んできた。
「今日。魚買えなかったでしょ」
そうメニョが布の包みを持って屋根から入って来た。
「うん」
「待っててね」
そう彼女は布の包みを開く。
中から魚の骨や小さな身が出てきた。
鍋に入った骨や屑の身のスープを飲みながら夜の風に吹かれる。
「魔法使いだから差別するなんてヒドイよ」
「ホントにね」
私はそうスープをすすりながら答える。
「でも私よりましかな」
彼女は頬に手を添えて呟く。
「学がないもん。拾われた時からずっと魚ばっかり」
「でも私も卒業したら奴隷みたいなもんだよ。魔法使うだけで」
二人で溜め息を吐く。
「あっそうだ。じゃさうちの魚屋においでよ。魚冷やす仕事に就いて」
彼女は名案を思いついた様に手を合わせる。
「あっごめん。それは無理。私、炎熱系なんだ」
メニョは不思議そうな顔をする。
私は説明しようと鉄製の鍋に触れた。
すると魚の油が浮いた液体が沸騰しはじめる。
「ね? こういうこと。暖める方が得意なの」
「なるほど。すごい!」
そう彼女は眼を輝かせる。