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第三十八話

お昼に芋と豆を煮る。

焚火にかけた鍋の火力を魔法で調節する。

「出来たよー」


そうテントにいるジャンに声をかけた。

私たちは近くにある大きな石に腰かけ野菜のスープを器に盛る。

「なんか私達だけ軍から離れてるね」


彼は岩塩をナイフで削りながら答える。

「まあ俺達は正確には教会の所属だからな」

「ってことはジャンは軍人じゃないの?」


そうスプーンを咥えながら聞いてみる。

「違う。本来、灰騎士は聖職者の護衛につくものだ」

私はなるほどと頷く。そういえば神父にも騎士がついてたな。


「それが軍まで出張して来てわざわざ私の護衛か……」

私は唇を指で叩きなが考える。それから指を鳴らし眼を輝かせた。

「つまり私は重要人物ってわけね! 実はすごい魔法の才能があるとか?」


「無い。違う。お前は試験的に軍隊で運用される魔法使いの一人にすぎない」

そう彼は削った塩を鍋に入れる。はっきり言われて少し傷つく。

「俺達みたいな魔法使いと騎士が他にも百組ほどいる」


彼は鍋をかき混ぜる。

「各地でそいつらが戦ってるってわけさ」

「ふーん。その中で一番成績良ければ何かもらえたりする?」


ジャンは笑った。

「学校の競争じゃないんだぞ。でも今回の戦争で英雄になりたい奴はごまんといるだろうな」

「英雄?」


彼は頷く。

「ある意味チャンスだからな。自分の望みを叶える。俺もそうさ」

ジャンは静かな声で言う。


「今回の戦で黒騎士になってみせる。そして教皇に謁見する」

彼は玉杓子を鍋に当てスープを切る。

「俺の望みを叶えてもらうためにな」


そう彼は自分に誓うように言った。

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