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第三十六話

私たちにあてがわれたテントを掃除する。

「よし。こんなもんかな」

そう荷物も固めて置いてみる。


「しっかしあれだよねー。こんな軍の一番端に置かれる当たり私達あんまり期待されてないんじゃない?」

ジャンは剣を布で拭きながら答える。

「逆だ。むしろ将軍の配慮だろう」


私は意味がわからなくて首を傾げる。

「お前は女だ」

「だから?」


彼は剣を鞘に納め溜め息を吐く。

「ここは男しかいないんだぞ」

「どういうこと?」


彼は説明するのも面倒だといった調子で語気を強める。

「いいか。絶対俺から離れるな。どんな時でもだ」

「わかった。わかりましたよ」


そう私は唇を細めながら頷く。

「絶対だぞ」

「はいはい」


そう返事をして私たちは寝る準備をする。


梟が鳴いてる。きっと月でも出てるんだろう。

私は完全に眼が冴えて眠れなかった。

魔法使いは神経質なのだ。


枕が変わっただけでも眠れないのに環境が変わったら尚更だ。

実は昨日も眠れなかった。

私は横目で彼をちらりと見る。


どうやら熟睡してる。

月光欲にでも行こうかと思った。

テントの外に出ると予想通り蒼い月の光が草原に広がっていた。


「綺麗……」

そう蒼い光に照らされた草原を眺める。

冷たい風も余計に私を感傷的にさせた。


メニョにも見せたかったな。

そんな風にどこまでも続く蒼い世界を眺めていた。

すると急に後ろから口を押えられた。


すぐに地面に身体を叩きつけられる。

私は押さえられた手で痛みにも声が出なかった。

私を地面に抑え付けてる男は何故か息が荒い。


「すぐ済むからよ」

そう私のローブを緩める。其処で私は状況を察した。助けてという気持ちで頭が一杯になる。


すると何故かその手が止まった。

「そこまでにするんだな。殺されたくなかったら今すぐ消えろ」

そうジャンの声が聞えた。


私が振り返ると彼は満月を背にして男の後頭部に剣を向けていた。

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