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第三十五話
「がははっ! 待ってたぞ小娘!」
そう陣で久しぶりに会った白い髭を蓄えた軍人は笑う。
私は苦笑いをしながら握手をする。
「グランド将軍。御命令の通り魔法使いを調達して参りました」
「うむ! 御苦労だった。しかしわざわざ卒業まで待ってやるとはな」
そう彼は白い髭を触りながらひざまづくジャンを見る。
「教会の人間にしては気骨がある! 気に入ったぞ灰騎士!」
彼はまた大きな口を開けて笑う。
「せいぜいその小娘を守ってやるんだな!」
「はっ!」
そうジャンが答えると将軍は頷き参謀達と軍幕に戻っていった。
「……卒業式まで待ってくれたの?」
そう私は彼に小声で問いかける。
ジャンはひざまづいたまま何も答えなかった。