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第三十四話
朝霧の中を馬で進む。
まだ眠たくて私の首までこっくりこっくり鳴る。
眠気を覚まそうと彼と会話をしようと思った。
「灰騎士って何なんですか?」
「教会に所属する騎士の階級の一つだ」
わかったような解らないような。私は首を傾げる。
「もうちょっと言うと?」
「黒騎士に次ぐ騎士で私を含め二百人いる」
「なるほど更に上の階級があるんですね」
私は頷き質問を続ける。
「黒騎士は何人いるんですか?」
「本来なら十二人いるが……」
彼は何故か少し考えるようにして答える。
「今は減って五人しかいない」
「欠員補充しないんですね」
彼は手綱を操りながら頷く。
「一応最高位だからな。簡単には補充しない。それに試験にちょっと癖があってね……」
私はまた首を傾げる。
「それもそのうち説明するよ」
そのうちばっかりだなと思った。
「ほら見えてきたぞ」
そう彼は丘の下の草原を指差す。
朝霧が晴れたその先には広大な緑色の平原が広がっていた。
布陣している軍から炊煙が上っているのが見える。