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第二十六話

そう言った瞬間ボウガンを持つ腕が宙に舞った。

後ろから剣が振り抜かれたのだ。

「ん? あれ?」


彼は何が起きたか解らないような顔で煙草をふかしている。

暫く自分の腕が床に落ちているのを馬鹿みたいに眺めていた。

それから断末魔に似た奇声が教会に響く。


「俺の腕! 俺の腕がぁっ!」

「馬鹿め! 聖職者には手練れの騎士が護衛につくのを知らなかったのか?」

神父がそう言うと血塗れの男は後ろから来た騎士に髪をつかまれた。


「許しを乞えよ」

騎士はそういって男の頭を床に叩きつける。

鈍い音が鳴った。小さな血の川が流れる。


「遅いぞ」

そう神父が苛立った口調で言うと騎士が答える。

「万が一があってはならないと思い隙を伺っておりました」


まあいいと神父は吐き捨てるように言って血塗れの男に近寄った。

騎士が前髪を掴み男の顔を上げる。

鼻血が出ていた。歯も折れていたかもしれない。


「地下組織の人間だな? ただで済むと思うなよ」

男は血だらけの顔で笑う。

「お前らは怖れているんだろう。教会の秘密が暴かれることを」


神父は冷酷な眼で話を聞く。

「魔法使いと同じというだけじゃない。もっと深い闇だ……」

彼は口の中の血で咳き込みながらしゃべり続ける。


「だから隠そうとするんだろう? あの」

そこまで話したところで騎士が再び顔を床に叩きつける。

「喋らせ過ぎましたか?」


神父は膝をついたまま首を横に振る。

「いいえ。そんなことはないですよ」

彼は服の埃を落としながら立ち上がる。


「偽りをいくら語られても怖れる教会ではないですから」

彼はそう聴衆に向き直りいつもの聖職者らしい笑みを浮かべた。

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