第二十三話
魔学院の中庭でパンを齧りながら友人たちの話を聞く。
「ったくまだ臭いが取れねえよ!」
「ゴミ野郎だな」
眼鏡をかけた生徒が冗談気に言う。
「否定はしないさ。ゴミの山から帰還してきたんだからな。ゴミの勇士と呼んでくれ」
そう市の焼却所から戻ってきた友人も答える。
「日雇いで行って良かった。いくら金が良くてもあんな仕事は続かねえよ」
「炎熱系にはお似合いの仕事だな」
「そういう冷却系は倉庫で一生肉でも冷やしてろ」
我々は出がらしたお茶で何時間でも話す。
こんな当たり前なことでも何故か感傷的になる。
「……シャ。カーシャ」
「ん?」
知らぬ間に周りの眼が私に集まっていた。
「いや熱と冷気の二大系統の他にもう一つ加わるって話……」
「ああ! ああ! 特殊系ね。学長とかまさにそれだよね」
そう慌てて欠けたカップのお茶を飲む。
「いや。それは今まで通り別枠だ。空に雷ってあるだろ。あれに似た、」
そう男の子が説明している時に別の子が口を挟んだ。
「カーシャ。最近どうした?」
心を見透かされてびくっとした。
「……なんでもない。ちょっとお腹が減っただけ。ねえ! 何か食べに行こうよ」
どんだけ食うんだよ。と仲間たちの笑い声。
私も無理して笑ってみる。
こうした青春もあと僅かだと思うとなんだか切ない。
蒸し暑かった風が少し乾いてきた気がする。