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第二十一話

「つまり即位した皇帝は軍事の天才だったんですか?」

私が聞いてみると外では雷が鳴っていた。

灰色の服の男は首を横に振った。


「敗因は別にある。純粋な戦闘力では我が軍の方が上だった」

「教国の兵は精鋭で有名ですもんね」

老軍人が続きを説明する。


「端的に言うと調略に失敗したのじゃ」

「調略?」

私が首を傾げると先生が口を開く。


「簡単に言うと相手側に裏切り者が出るように工作することだよ」

なるほどと私は頷く。

「新皇帝は即位して間もない。後継争いに敗れた兄弟やその側近達。現状に不満な領主。内応の約束を取るのは簡単だった」


「じゃあ勝ったも同然じゃないですか」

私がそう楽観的に言うと老軍人に睨まれた。

「そう教会上層部も考えた」


灰色の服の男は落ち着いた口調で言った。

「だからウェルトミッド草原では敵陣深い位置に布陣した」

「短期戦で勝てると踏んだんじゃな」


「それで負けたということは」

私は唇を指で軽く叩きながら考えた。

「『裏切り者』に裏切られた?」


灰色の服の男は頷いた。

「その通り。約束していた全ての軍勢がこちらの味方に付かなかった」

「結果、我が軍は包囲される形となった。しかし敗因はそれだけではない」


老軍人は思い返しても苛立つような様子で言った。

「イベニアが妙な動きをしなければ包囲されようが地力で勝てたのじゃ」

私は記憶を探ってみる。イベニア。確か帝国の北側にある辺境の王国だ。

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