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第百九十九話

「一週間」

大司教は短く言った。

「君たちに充分すぎる程の時間を与えた。答えを聞かせてもらおうか?」


そう彼が灰騎士の前を歩いてるのがわかる。

「君の名前は?」

「ジャン・クロックフィールドです」


なんでよりによってジャンが最初なんだよ。

そう袋の中で思った。ついてなさすぎだろ。

「君の答えを聞かせてもらおうか」


寒空の下に沈黙が広がった。

彼が口を開く。

「愛した人間の命を奪えるわけがない」


そう彼は簡単に言った。

私ですら面喰ってしまった。もっと時間を稼いでよ。


大司教だってきっと私と同じ様な顔になったに違いない。

「ほー。君、死んじゃうけど良いの? 私は寛容な人間だからまだ間に合う。撤回したら許してあげるよ。そのみんなと中身が違うずた袋に剣を突き刺せば今のは聞かなかったことにしてあげよう。さ、どうする?」


ジャンは答える。

「撤回する気はない。誓いを守るのが騎士だ。世界を敵にしても俺は彼女を守る」


大司教の溜め息が聴こえる。

「はい。一名死にましたー。次期、黒騎士君達。彼を殺してあげなさい」

その声が寒空に響く。


沈黙がつづく。

風の音すら聴こえた。

「どうした? 聴こえなかったのか? お前ら黒騎士になりたいんだろ?」


「大司教、僭越ですが間違いを指摘させて頂きます」

ジャンの小さな声が響く。


「袋の中身はみんな一緒ですよ」


袋からみんなが出てきた音がする。

私も慌てて遅れて出る。

陽の光が眩しい。


大司教の驚いた顔が最初に眼に入った。

「命のある魔法使い達です。そしてもうもう一つ驚くことが」

ジャンが指を立てて説明すると大司教は後ずさりする。


「私たちは教国に反逆します。そして」

そうジャンは淡々と言う。

「本日、教皇の命をもらい受ける所存です」


その言葉に大司教は色を失った。

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