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第二話
四元素説を否定する内容が黒板に書かれた時だった。
「質問があります!」
一人の生徒が手をあげた。
「我々が使う力が魔法と呼ばれることは頭の悪い俺にもわかりましたよ」
そう彼は得意気に鼻の下をこすった。
周りから当たり前だとかバカ魔法使いとか野次が飛ぶ。
「そうですね熱や冷気などを扱う我々の能力は魔法と呼ばれてますね」
先生はそう微笑んで優しく説明する。
「ではカラティーヌ教の『奇跡』は魔法ではないんですか?」
辺りが静まり返った。
先生は咳払いを一つ入れる。
「……治癒の力ですか。教会は魔法ではないと否定していますね」
質問した生徒は続けた。
「古代に存在した白魔法ではないかって説がありますよね」
このビラに書いてましたと彼は紙を叩く。
他の生徒は笑う。
「噂話ばかり書いてる三流紙だろ。それー」
「そーそ。誰が出版してるかもわからない」
「そんなの読んでるからお前は馬鹿なんだよ」
先生はまあまあと抑える。
「しかしね。生徒の中にも御両親にも信奉する方はたくさんいますから」
彼は眼鏡を直す。
「とりあえず授業に戻りましょうか」
そう先生は白墨を手に取った。