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第百九十三話

彼女は身体を震わせてベンチに座っている。

ジャンを待っているんだ。

「お兄ちゃん……」


そう掌を擦る。

その手も色を失っていた。

この雪だ相当寒いに違いない。


誰か助ける人はいないんだろうか。

そう辺りを見まわしてみる。

雪で白く染まった公園には人影は見当たらなかった。


「寒いよ。早く帰ってきて」

もう深夜を回ってる。

彼女はきっと時計の針が回ったらすぐに帰って来てくれると思っているんだ。


「お腹も減ったよ。もう耳も頬も痛くなくなっちゃったよ。だから。……お兄ちゃん。もう。……待てない」

彼女の身体が背もたれにゆっくり滑っていく。


そこに積もっていた雪も彼女の身体に合わせて落ちる。

彼女の身体はベンチに積もっていた雪の布団に埋もれた。

そしてそのまま彼女は動かなくなった。


夜の雪が静かに揺れる。

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