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第百九十一話

「お前。今日、俺の誕生日だけど来るか?」

そう学校帰りにジャンが貴族の子に声をかけられていた。

「え? 僕なんかが良いの?」


彼は嬉しさと驚きとが混じった顔をする。

妹も彼の傍にいた。

「お兄ちゃん」


そう小さく呟く。

透明な私は二人を眺められる位置に立っていた。

「ははっ! お前妹といっつも一緒にいるな。変態なの?」


そう小太りの男の子が笑う。

「なっ。違っ!」

ジャンが慌てて否定する。


「お兄ちゃん」

「ああもう来るなよ! いつもの場所! わかるだろ!?」

「……うん」


彼女は寂しそうに踵を返しとぼとぼと歩く。

「このまま来いよ」

そう意地悪そうな貴族風の男の子が言う。


「え? このまま? でも……」

「じゃあ仲間に入れてやらないぞ。もうこれっきりチャンスは無いからな」

「行くよ! 行く行く!」


彼は妹の方に向きかえり叫ぶ。

「ミチカ! 今日兄ちゃん帰らないからな! 合鍵使えよ!」


彼女は振り向き小さく呟く。

「アイカギ?」


「そう! 鉢植えの下に置いてあるから!」

彼は男の子たちが歩き出したことの方が気がかりみたいだ。

急いで彼らに追いつこうと駆けだす。


「……アイカギってなんだろ?」

そう彼女は頬に指を置いて考える顔をする。辺りには小さな雪が降り出していた。

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