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第百八十一話

「ここが皇帝の間か?」

「はい。そうです」

私はグランド将軍とその取り巻きを連れて案内する。


風の吹きこむ場所。

昔来たときよりずっと寒い。

慌ただしく逃げ出した形跡がある。


燭台が倒れているし赤い絨毯もたるんでいる。

「もう終わったようなもんだな。後は小城を潰していけば良いだけだ」

そう将軍は皇帝の椅子に座る。


「なかなか座り心地の良い椅子じゃないか?」

「そこから離れろ。教会の犬め!」

そうか細い声が広間に響く。


兵達がその声の主を簡単に組み伏せる。

馬鹿な人だなと思って顔を見ると瞳が大きくなった。

いつかの茶髪の召使だった。


「そ、そこはハンス様、皇帝の玉座だぞ!」

彼女は床に組み伏せられながらもつづける。

「己の野心で戦争を引き起こす貴様らなんぞが座って良い場所じゃない!」


兵が黙らせようと背中を強く踏みつけた。

「何が虐殺だ! 敬虔な教徒を保護するための戦いだ! もう誰も住んでない港町の民をどうして帝国が虐殺できるんだ! 嘘やごまかしも大概にしろ!」


その言葉に私の瞳が大きくなる。


「嘘や裏切りを繰り返し、人を人とも思わぬ人間がその玉座に座るな!」

あの弱虫だった召使が自分の身を顧みず正義を叫んでる。

それにひきかえ私は……。


側近の一人が彼女に近づく。

彼は彼女の鎖骨に蹴りを入れる。彼女の悲鳴が広間に響く。

彼は次に横腹を蹴る。他の兵士達もそれに参加する。たくさんの脚。彼女は苦悶の表情を浮かべそれに耐えていた。

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