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第百七十八話
「よーし。ここからは俺が指揮を取ってやる」
そう銀髪の剣士が言う。
「バリスタは用意してるか?」
兵は頷く。
「……ゴーディ様の命令通り用意しておいて良かったです。流石、最強の騎士。頭の冴えも」
銀髪の髪の男がその口を塞ぐ。
「誰が最強だって?」
彼はそのまま片手で持ち上げられる。頬骨をつかまれてるんだ。
「あんな老いぼれのどこが最強なんだ? あ?」
兵士は足を宙でばたばた揺らしてる。
「最強ってのは一番強い奴を指す言葉なんだぞ? だったら一度も敗けたことのない俺こそが相応しいだろうが」
兵士は苦しそうな声で答える。
「はっ。はい」
彼はその兵士を降ろす。
「最強って二つ名はな」
彼は息を溜める。
「このルーシャス・ベロック様にこそ相応しいんだよ」
そう彼は銀色の髪をなびかせ黒い皮手袋をはめなおした。




