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第百七十七話

皇帝の軍も竜の登場で退却を一旦止めた。

だが暫くしてすぐに動き出す。

竜が撤退の時間稼ぎをするつもりなんだ。


また咆哮が響く。

残った軍が竜を囲む。

私もジャンも急いで丘を駆け下りる。


正直全然戦いたくなかった。

個人的にはヴァルディングスを殺したくない。

だけど戦争をしてるんだ。


向こうが戦うつもりなら私も戦うしかない。


間近で見ると竜の巨大さが際立った。

兵隊が蟻みたいに群がっている。

石のついた長い紐も一杯投げているが竜を飛ばさないようにするので精一杯だ。


それも直に引き千切られる。

あの炎はどうやら乱発できるものじゃないらしい。

しかし空に飛ばしてしまうのはまずい。


一方的に火炎で攻撃されてしまう。


炎が蓄積するまでは空に逃げて。

溜まったら時だけ地表に近づけば良いんだから。


今しか殺す機会が無いんだ。


竜も当初は地上に降り立っても逃げられると踏んだに違いない。

だがこっちも準備はしている。石紐しかりこの耳栓しかりだ。

そう乾いた草で固めた耳栓をする。効果あるのかなこれ?


「よしカーシャ爆殺しろ」

なんとなくジャンの言ってることがわかった。

「無理だよ」


「あ? お前この期におよんで。また……」

胸倉を掴まれたので慌てて否定する。

「最初の爆発魔法ぐらいの威力を期待してるんでしょ? 無理無理」


「は?」

「あの時は無我夢中だったから……。なんか精神的な高まりも関係してる気がするんだよね。私の場合」


彼は慌てて私の身体を揺さぶる。

「お前はなんでそんな大事な事をこんな時に言うんだ!?」

「なんだよー! ジャンが聞かなかっただけでしょ? それに教会の人間だからとっくに知ってると思ってた!」


私は竜をちらっとみる。紐が後、二、三本しか無い。まずい。


「別に威力が低いわけじゃない! 建物で使えないくらいだし! 対人相手なら全然充分だったの! だけどあんなでかい竜を一発で殺せる程の魔法は今すぐには出せない!」


こんな時に口喧嘩。どうしようもない。

人間打つ手がなくなると頭がおかしくなるんだろうか。


竜を飛ばさないくらいの魔法なら撃てる。

背中の上で爆発させれば良いんだ。

だけど致命傷にならないからもう一発撃つための魔力を蓄積してる間に絶対逃げられるぞ。


どうしよう何か精神を高ぶらせる方法を考えなきゃ。

そう親指を噛んで考えてると横に綺麗な銀色の髪の人が通って行った。


黒い服。ところどころ金色の刺繍がしてある。ゴーディさんと同じ服。

「しっかり抑えておけよ。俺が殺してやるからな」

そう銀髪の男が剣を抜く。彼も黒騎士だった。

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