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第百六十六話
これが竜の心なのか。
なんだかどんどん共感してしまう。
まるで私と竜の心が完全に一つになってしまうみたいだ。
私は膝をつく。
目も瞑った。
『ハンス。お前は初代皇帝にそっくりだ』
翼を急いで振っているのがわかる。
『馬鹿で純粋で誰よりみんなの幸せを願っていた』
風を切る感覚すら共有できてる。
『お前を洞窟で初めて見たとき眼を疑ったよ』
竜の瞳が敵兵。皇帝の位置を確認している。
『小さな身体。栗毛の髪。澄んだ瞳。あいつとうり二つだった』
竜の懐かしむ様な喜ぶような気持ちが心に伝わってくる。
でもなんだろ悲しい思いでの様な寂しさの気持ちも伝わってくる。
過去に何があったの?
私がそう思うと身体に衝撃が来た。
気を失いそうになる。眼を閉じてるのに真っ白な視界。
なんだこれ。
竜の過去なの?
そう眼に飛び込んでくる光景を見て思った。
身体がぐったりして倒れそうになる。




