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第百六十四話

圧倒的な戦果だった。

今度は教国側の。

どんどん皇帝旗が遠ざかっていく。退却してるんだ。


私の髪も頬ももう真っ赤だった。

黒いローブも血を吸って重い。

ジャンが斬る。私が焼く。


それの繰返し。彼に飛んでくるボウガンの矢すらもう難なく打ち落とせる。

背中を合わせながら戦う。

ようやく一緒の土台に立てたけど全然嬉しくないのは何でだろ。


「何人倒した?」

私は虚ろな眼で答える。

「数えてない。思い出したくないから。朝ご飯食べれなくなりそう」


息を乱しながら丘にのぼる。

こんなに敵兵を殺しても落ち着いた頭で状況が把握できた。

戦況はあきらかに教国が有利だ。


魔法使いの活躍もあるがもう地力で教国が押してる感すらある。

少なくともこの戦場はもらったと思った。もう組織的な抵抗は無い。

残りの二つはどうだかわからないが。


皇帝旗の動きが早くなる。本格的に退却してるんだ。

とうとう旗すら倒れた。追撃されてるのは明らかだった。

他の軍団が皇帝の首を狙ってるんだ。


ハンス……。


彼が捕まってしまう。胸が痛んだけどどうすることも出来ない。

すると身体に衝撃が来た。胸が痛い。だけどこれは私の胸の痛みじゃないぞ。


遠くの空に黒い影が見える。

最初鳥かと思った。

だけど翼の動きが鳥のそれじゃなかった。


その影が近づけば近づくほど巨大になっていく。

間違いない。

ヴァルディングスだ。


その咆哮が戦場に響いた。遠くにいる私ですら耳を押さえてしまった。

ついに竜が戦場にやってきたのだ。

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