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第百五十九話

アマリアさんは磁力で曲げる。

じゃあ私は?

矢を眺めながら考える。


熱だ。

自分の周りに球体をイメージする。

蜃気楼みたいな揺らめいた膜を張るイメージ。


異質な熱、高速で動く熱がその空間に入ってきたら爆破する。

でも矢が入ってきてから反応するようじゃ駄目だ。

反射的に爆破しなきゃ。


出来るか。

一発勝負だ。

集中しろ。


掌を前に出す。

それからボウガンを持った男を睨む。

いつでも打ってこい。そう息を整える。


私の真剣な瞳に男は怯んでいる様だ。

弓を放つ指が震えている。

来る。


遠くに熱の感知膜を張ったからまず矢が侵入してきたのがわかった。

次に矢が回りながらこちらに向かってくるのがわかる。

感覚が研ぎ澄まされてるのか。死ぬ前だからなのか。


ゆっくり物事が見える。

この私に向かってくる矢が私の敵だ。

これを落とさなきゃ私は死ぬ。


唇を噛む。今までの自分を考える。

ホント駄目だな私。こんなに追い込まれなきゃ頑張れないなんて。

凄い魔法使いになる努力だって全然してこなかった。


でも。

駄目な私でも。

自分のためならちょっとぐらい。


真剣になれるよね?


手を振ると眼に黄色い光が飛び込んでくる。

その小さな閃光に続いて宙に炎が広がった。

矢が粉々になったかどうかはわからない。


でも私は生きているみたい。

地下組織の人達の雰囲気が変わった

驚きの声がもれている。


「矢を落とす魔法使い……」

「もう最強じゃねえか。何でもありもいい加減にしろよ」

「くそっ。その力を教会なんぞに利用されやがて」


私は息を整えるのが精一杯で言ってることの半分も耳に入らなかった。

ただ彼らが私を見て怯えていることだけはわかった。

私が誰かに恐怖を与える存在になったのか。すごい不思議な感じがする。


いろんな軽蔑の眼で見られきたけど。

恐怖の眼で見られたのは初めてだった。

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