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第百四十三話
「ジャンはどうするの?」
そう夕陽の茜色を映した瞳を見る。
「俺はまた護衛や教会に与えられた任務をこなす毎日だろうな」
「……そっか。聖都に戻るんだね」
そう二人で街を歩く。
一緒に来ないかとは言ってくれないか。
身分の差。見えない壁。
そう空を見て溜め息を吐く。
どれほど努力すれば。
どれほど貴方を愛したら。
この壁は無くなるんだろう。
彼を横目で見る。
私の気持ちを知ってるくせに。
はっきりした言葉をくれない彼。
最後の戦いで活躍したら。
この手を、身体を、幾らでも血に塗れさせたら。
教皇は彼を私にくれるだろうか?




