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第百四十二話
夕焼けの聖都を歩く。
好きな人の生まれ故郷。
そう彼が教えてくれたんだ
綺麗な街だなと思った。
薄黄色の石壁で統一された街。
世界の中心にそびえ立つ教会の大聖堂。
あそこに教皇がいるんだ。
「お前はこの戦争が終わったらどうするんだ?」
彼がこんなことを聞くのはめずらしい。
私は後ろに手を組みながら答える。
「ん。そうだなソルセルリーに帰るよ。それで帽子屋さんでもやろっかな……」
「帽子屋?」
「うん。私こう見えても手先器用なんだよ。ほら魔法使いってローブが地味でしょ? ……だからさ帽子ぐらいお洒落しても良いかなって」
戦争が終わったらまたいつもの日常。
またいじめられる日々。
彼とも一緒にいられなくなる。
そう思うとなんだか切ない気持ちになった。




